マーケティングリサーチャーの渡邉です。
2025年に厚生労働省が発表した日本人の平均寿命は、男性81.4歳、女性87.3歳。女性は41年連続で世界一だそうです。
今日はこの「平均寿命」が、実はどう計算されているのかをお話しします。
多くの方がこの計算方法を誤解していますし、これを正しく理解すると、サブスクビジネスなどの「平均契約年数」などの計算にも使えます。
まず「亡くなった人の年齢を平均する」は間違い
9割以上の方は、平均寿命を
「その年に亡くなった人の年齢を全部足して、人数で割ったもの」
だと思っているのではないでしょうか。確かに簡単に計算できそうですが、これでは国の本当の寿命を表せません。
実際に使われているのは、亡くなった人の年齢そのものではなく、「その年に、何歳の人が何%亡くなったか」という年齢別の死亡率です。
3歳までしか生きない国で計算してみる
人間が最長でも3歳までしか生きない国があるとします。今年1年間の死亡状況は次の通りでした。
0歳の子は、1年間で10%が亡くなった
1歳の子は、1年間で20%が亡くなった
2歳の子は、その年に全員が亡くなった
この国で今年赤ちゃんが100人生まれたとして、死亡率をそのまま当てはめます。
0歳の1年間:100人全員が過ごすので、100年。10%が亡くなり、1歳を迎えるのは90人
1歳の1年間:90人が過ごすので、90年。その20%が亡くなり、2歳を迎えるのは72人
2歳の1年間:72人が過ごすので、72年。残りの72人は全員亡くなる
この100人が過ごした年数の合計は、100年+90年+72年=262年です。これを最初の人数100人で割ると2.62年。
これがこの国の「平均寿命」です。日本など実際の国の計算も考え方は同じで、年齢の上限を110歳程度まで広げているだけです。

なぜ回りくどい計算をするのか
理由は、単純平均だと人口構成に結果が左右されてしまうからです。
できたばかりの新興住宅地を想像してください。若い夫婦と子どもばかりなので、亡くなった人の年齢を単純に平均すると、30〜40歳程度の若い数字になります。
逆にお年寄りばかりの村なら、90歳近くになるかもしれません。
そうすると、この数字を単純に比較すれば「新興住宅地は不健康で早く亡くなる」という結論になってしまいますが、そうではないですよね。
年齢別の死亡率を使えば、人口構成に関係なく、その時代・地域の医療や生活水準だけを反映した数字になります。年齢構成の違う国同士でも、公平に比べられるのです。
マーケティングへの応用:解約率とLTV
この考え方は、サブスクリプションの解約率やLTV(ライフタイムバリュー:1人のお客様が継続する間に生む価値)の分析にそのまま使えます。
「年齢」→「契約からの経過期間」
「年齢別の死亡率」→「経過期間ごとの解約率」
に置き換えれば、同じ計算でお客様の平均継続期間が出せます。
ここで、「解約した人の利用期間」だけを単純に平均してしまうと、本来より短い数字が出ます。今も解約せずに使い続けている優良顧客が、計算にまったく入らないからです。この計算のまま「うちのサービスはこんなに早く解約される」と社内に報告してしまっているケースは、少なくありません。月謝制の教室や会員制のサロンでも、同じことが起こり得ます。
まとめ
平均を出すときは、「誰のデータが計算から抜け落ちていないか」を確認してください。数字の出し方ひとつで、経営判断は大きく変わります。