マーケティングリサーチャーの渡邉です。
マーケティング調査ではないですが、皆さんの身近にある定量調査として『内閣支持率』があります。しかし、
「内閣支持率って、どの会社のものが一番正確なの?」
「どうしてマスコミによって数字が違うの?」
なんて疑問を抱く人も多いのではないでしょうか?
内閣支持率は様々なメディアが調べて発表しています。
今日はその調査がどうやって行われているのか、そして数字をどう受け止めればよいのかを調査のプロの視点で解説します。
※本記事の数値は、動画の収録当時(石破内閣)のものです。調査方法の考え方は、現在の報道を見るときにも共通します。
数字の差は、実はそれほど大きくない
当時、日本経済新聞は内閣支持率をほぼ横ばいの33%と報じていました。各社の数字を見比べると、少しずつ違いはあるものの、支持率が上がれば各社そろって上がり、下がれば各社そろって下がる傾向があります。
「一社だけ大きく違う」ということは、あまりありません。
内閣支持率はどうやって調べている?
例として、NHK・朝日新聞・読売新聞・日本経済新聞の4社の調査方法を見てみます。4社に共通しているのは次の点です。
調査方法は電話調査
対象は、全国の18歳以上の有権者
対象者の選び方は「RDD方式」
RDD方式とは、ランダム・デジット・ダイヤリングの略です。コンピューターで数字を無作為に発生させて電話番号を作り、かけて、出た人に答えてもらう方法です。昔は固定電話だけでしたが、固定電話を持たない人が増えたため、今は携帯電話の番号も対象に含めています。
各社で違うのは「人数」と「聞き方」
① サンプルサイズ(何人に聞いたか)
NHKは毎回約1,200人、朝日新聞は約1,100〜1,200人、読売新聞は約1,000人、日本経済新聞は約800〜1,000人です。大きな差ではありません。
② 支持率の聞き方
NHK・朝日新聞:「支持しますか、しませんか」の2択で聞き、「支持する」と答えた人の割合を支持率とする
読売新聞・日本経済新聞:「どちらとも言えない」など曖昧な答えの人に、「どちらかと言えば支持しますか、しませんか」と重ねて聞く。最初に「支持する」と答えた人と、重ね聞きで「どちらかといえば支持する」と答えた人を合算する
どの聞き方が正しい?
正直に言うと、どちらが正しいということはありません。ただ一つ言えるのは、一度その聞き方に決めたら、ずっと変えないことが大切だということです。聞き方を変えると、変える前と後の結果を単純に比べられなくなり、データの連続性が失われてしまうからです。
これは、受講後アンケートやお客様アンケートを続けている方にも当てはまります。毎回少しずつ質問を変えていると、「満足度が上がったのか下がったのか」が比べられなくなります。
誤差はどのくらいある?
内閣支持率は、全国の18歳以上(1億人ほど)から1,000〜1,200人を選んで聞く、サンプル調査です。そのため、誤差があります。おおよそ3〜4ポイントです。
たとえば支持率33%と出たなら、実際は30〜36%のあいだにありそう、と読みます。この程度の誤差であれば、判断を誤るほどではありません。逆に誤差が10〜20ポイントもあれば、33%と出ても実際は50%を超えているかもしれず、信頼できません。
電話調査の課題
私は、RDD方式の電話調査という方法は、見直してもよいのではないかと思っています。方法を変えると過去のデータと比べられなくなるため、変えどころが難しいというのが各社の本音でしょう。
ただ、今は若い人は知らない番号の電話にあまり出ません。1,200人に聞いたとしても、その中身が年配の方に偏っていないかは気になります。将来は、インターネット調査に移っていくのではないかと考えています。
まとめ
ニュースで内閣支持率を見るときは、次の4点を頭に入れておくと、数字の見え方が変わります。
各社とも、RDD方式の電話調査で、全国の18歳以上が対象
各社の違いは、サンプルサイズと質問の仕方
どの聞き方が正しいということはなく、大切なのは聞き方を変えず、データの連続性を保つこと
サンプル調査なので、3〜4ポイントほどの誤差がある
どの会社のやり方が正しい・間違っているとは言えません。そして、調査結果には必ず誤差があります。この2点を覚えておいてください。