インターバルはやったほうがいい。ランナーならよく聞く話だと思います。でも何mを何本、どのくらいのペースで走ればいいのかが分からない。分かっていても、走りに行く時間が取れない。やれと言われるけれど、なかなかできない練習です。
これから寒くなります。11月まではまだいいとして、冬になると外に出るのもどんどん億劫になります。飲み会のシーズンも重なってきます。
そんな日は家の下でパパッとタバタをやって済ませてください。20秒全力で動いて10秒休む。これをくり返すだけなので、数分で終わります。私も朝に新聞を取りに下りるついでに、ポイント練習を終わらせてしまう日があります。それでも意外とマラソンはカバーできます。
インターバルができない日も、ポイント練習はゼロにしない
ランニングは「3日で初心者に戻る」とよく言われます。ほかのスポーツに比べて、感覚やタイミングで補える場面が少ないからです。走りを支えているのは心肺と筋肉なので、走らなかった分はそのまま落ちていきます。
レッスンでよくやる400m×5本のインターバルでも、つなぎのジョグを入れると20分ほどかかります。会社員ランナーには、その20分が取れない日があります。インターバルができない日の代わりを、1つ持っておいてください。レッスンでも時間がない日のポイント練習として、お客さまにタバタをすすめています。
タバタは「20秒全力・10秒休み」のくり返し
タバタは田畑泉先生らが1996年に発表した研究がもとになっています。自転車をこぐ運動を20秒やって10秒休み、これを7〜8セットくり返します。強さは最大酸素摂取量の約170%です。20秒もつかどうかという全力の強さです。
この練習を週5日・6週間続けたところ、最大酸素摂取量は体重1kgあたり毎分7ml増えました。無酸素性の能力(最大酸素借)も28%増えています。
同じ研究では、最大酸素摂取量の70%の強さで60分こぐ練習も週5日・6週間行われています。こちらは最大酸素摂取量が体重1kgあたり毎分53mlから58mlに増えた一方で、無酸素性の能力ははっきりとは増えませんでした。数分の練習で心肺の力を伸ばせる。これが忙しい方にタバタをすすめる理由です。
20秒は測らず、全力15回で区切る
論文のとおりにやるなら20秒を測ることになります。ただ毎回タイマーを見るのは面倒です。私はバーピージャンプを全力で15回やって、それを1セットにしています。研究は自転車で時間を測っているので、回数で区切る私のやり方は研究とまったく同じではありません。
休みの10秒も測りません。呼吸を数回したら次に入ります。私の場合は次の4つを続けます。
バーピージャンプ 15回
もも上げ 100回
ジャンピングスクワット 20回
ジャンピングジャック(手と脚をXの形に開いて跳ぶ運動) 50回
回数は目安なので、自分に合わせて調整してください。
ジャンプで、インターバルの動きを走らずに身につける
4つのうち、ポイントはバーピージャンプと3つ目のジャンピングスクワットです。どちらも全身を使って跳ぶ運動です。ジャンプの動きはインターバルと同じで、ジョギングより大きな負荷を腱のバネにかけます。
心肺の力を上げることに加えて、私がこの動きを入れているいちばんの理由があります。インターバルなどでやるダイナミックな動きを、走らずに身につけることです。
バーピーは、腕立て伏せの姿勢を崩さずに脚を戻す
バーピージャンプはしゃがんで手をつき、脚を後ろへ伸ばしてから前に戻して跳ぶ運動です。手をついたら、腕立て伏せと同じ要領で直角三角形をきちんと作ります。横から見て、床についた腕とまっすぐな身体と床で作る三角形です。できているようで、腰が落ちている方・腰が反っている方・お尻が浮いている方がとても多いです。
いちばんきついのは、腕立て伏せの姿勢から脚を前に戻すところです。ここでも姿勢をあまり崩さずに戻せると、腸腰筋を一気に使えます。この動きはランニングに限らず、いろいろなスポーツで使います。脚を後ろへ伸ばすときは、思い切って奥まで一気に伸ばしてください。
最後に上へ跳ぶときは、手の指先をできるだけ高い位置へ突き上げます。そうすると全身を使った運動になります。
ジャンピングスクワットは、上半身をぐらつかせないことが大事です。いつも脚の上に体重を乗せたまま、跳ぶ高さを意識します。
8セットは、アスリートでもきつい
論文は7〜8セットで、私も8セットやっています。ただとても強度の高い練習なので、8セットはアスリートのレベルだと考えてください。お客さまには4セットをすすめています。20秒・10秒で行えば、4セットなら2分で終わります。頻度に決まりはありません。慣れてきたら毎日やってもかまいません。体調に不安がある日は、無理をしないでください。
タバタと1kmのジョグで、マラソン3時間6分
私はお客さまのために、自分をサンプルにしていろいろな練習を試しています。インターバルだけ・ジョグだけ・タバタだけ・筋トレだけで、マラソンに挑んだこともあります。いちばんいいのはこれらを混ぜることです。それでも1つずつ試したなかでは、タバタがいちばんだと思っています。
2025年の青島太平洋マラソンの前は、タバタを毎日続けていました。走ったのは、タバタの前に公園まで1kmジョグするくらいです。それでも本番は3時間6分で走れました。
おすすめは公園でタバタをする形です。公園までの1km弱をジョグで行ければベストです。行き帰りの往復でもかまいません。朝の準備運動としても素晴らしい練習だと思います。
心肺の力を高めておけば、走る量が少なくてもある程度は走れます。普段の目標と比べても、意外とそこまで変わらないと感じてもらえるはずです。もともと4時間を切っている方なら、バーピージャンプのトレーニングをしっかりできるようになるだけで十分です。自己ベストから30分落ちくらいまでなら、ジョグなしでもカバーできると思います。
インターバルができない日はタバタ、週末はジョグ
時間がない方には「走れない日はタバタでポイント練習。週末の空いている時間にジョグ」と伝えています。タバタで心肺の力を保ちながら、走れる日に「意外と走れる」を積み上げていく形です。
最後にポイントをまとめます。
インターバルができない日も、ポイント練習はゼロにしない
タバタは20秒全力・10秒休みのくり返し(研究では7〜8セット)
20秒は測らず、回数で区切ってよい(バーピーなら15回)
ポイントはバーピーとジャンピングスクワット。インターバルのダイナミックな動きを走らずに身につける
バーピーは腕立て伏せの姿勢を崩さずに脚を戻し、最後は指先を高く突き上げて跳ぶ
8セットはアスリートのレベル。まずは4セットから
参考:Tabata I, Nishimura K, Kouzaki M, et al. Effects of moderate-intensity endurance and high-intensity intermittent training on anaerobic capacity and VO2max. Medicine and Science in Sports and Exercise. 1996;28(10):1327-1330.