フォームの理論は、前回までで全部です。最後は、レッスンの前後で実際にいただいた質問のうち、よく聞かれる4つに答えます。1つの答えが、フォームの話とつながっていることが多いので、該当する回も添えます。
Q1. 大会で、気づくと前半が速くなっています。後半で失速します
いちばん多い相談です。初めてのフルで最初の5kmを突っ込みすぎて関門で止まった方、35km以降に毎回失速する方。「うまく走れないと総崩れする癖がある」と自分で言われた方もいます。
前半が速くなる理由は、脚が軽いからだけではありません。マラソンの大会は、アップができないからです。大きな大会ほど、スタート前に30分ほど突っ立って待機します。身体が冷えた状態でスタートするので、前半の数kmはアップに使わないといけない。そこで目標ペースに乗せると、温まっていない身体で突っ込むことになります。
だから、出だしは「抑える」というより「リラックスして、何百人に抜かれてもいい」くらいのペースで入ってください。温まってきた5〜6kmあたりから、徐々に自分の目標ペースに上げていく。これでちょうどいいです。
「抑える」は感覚では無理なので、2つ用意してください。
関門から逆算したペース表。制限7時間、スタートロス10分なら、平均9分40秒/km前後。これを5kmごとの通過タイムにして腕に書く
途中で切り替える目印。「5kmまではアップ」「6kmから目標ペースへ」「20kmから少し上げる」と、区間ごとに目標を分ける。前半の貯金は後半で倍返しになります
姿勢の回で「傾ける角度はペースに合わせる」と書きました。前半はほぼ直立のジョギングの姿勢で入ってください。
Q2. 補給は、いつ、何を取ればいいですか
目安は1時間に1回、少量ずつ。ジェルでも、沿道のバナナでもいいです。
大事なのは「お腹が空く前から」。長い時間走ると、体の中のエネルギー源になる糖がだんだん減っていくので、切れてから取っても遅い。30km走で「10km、20kmより手前で食べるべきだった」と振り返った方がいました。給水感覚で、早めに。
ジェルは、味や食感が合わないという方も多いので、本番前の長い練習で1つ試してください。量と間隔も、製品や走る時間、胃腸との相性で変わります。合わなければ沿道のパンやバナナで。ただしお腹が重くなって腹痛が出やすい方もいるので、どちらが合うかも練習で確かめてください。
Q3. 大会前の1か月、どう過ごせばいいですか。走り込むべきですか
逆です。「1週間前に20km走って、当日疲れていた」という方がいました。多くの方が同じ失敗をします。
20〜30kmの距離走は、2〜3週前までに終わらせる
1週前は距離を踏まない。いつもどおりの短いジョギングか、少しきつめの短い刺激(4000m×3の変化走など)
前日は休んでいい。「前日も走ってしまった」という方が本当に多い
筋トレも、レース週は木曜から半減
陶芸をイメージしてください。最後に泥を追加する人はいません。1週間前までに形は作ってあって、最後は仕上げだけ。これをピーキングといいます。
Q4. 後半に脚がつります
脚がつる原因は、接地や蹴り方だけでは決まりません。まず、ペースが速すぎないか、疲れがたまっていないかを見直してください。そのうえでフォームの面から見ると、ふくらはぎがつる方は、つま先接地になっていることが多いです。接地の回で書いたとおり、つま先接地はふくらはぎへの負担が大きくなります。土踏まず接地と、縄跳びの力加減(脱力)に戻してください。
ハムストリング(太ももの裏)がつる方は、蹴っていることが多いです。接地の強さの回で書いた「体重で押す」に戻す。
あとは、Q2の補給と、つり防止のタブレット。10kmごとに口で割って水で流し込むか、当日のドリンクに溶かしておく。