野菜を増やす。
食物繊維を意識する。
栄養豊富な食材を選ぶ。
健康のために、毎日の食事を工夫している方は多いと思います。
でも、「何を食べるか」と一緒に考えたいことがあります。
それは、食べたものを、体がどのように消化・吸収しているのかということです。
こんにちは。ニューヨークを拠点に、食事と健康についてお伝えしている栄養学博士のいとうゆきです。
このたび、バイタミックス公式サイトで、私が取材に協力した記事が公開されました。
テーマは、海外で話題の「Fibermaxxing(ファイバーマクシング)」。さまざまな植物性食品から食物繊維を取り入れる考え方と、ポタージュなどへの活用法をご紹介いただいています。
▶ バイタミックス公式記事「Fibermaxxingとは?腸活は『量』より『種類』だった」を読む
今回は、そのお話から一歩進んで、食事の工夫に役立つ「消化と酵素」のポイントをお伝えします。

① ブレンダーで細かくすることと、酵素で分解することは違います
野菜を細かく刻んだり、ブレンダーでなめらかにしたりすると、食べ物の形や大きさが変わります。
一方、消化酵素が行うのは、栄養素を吸収できる小さな単位に分解することです。
例えば、でんぷんは最終的にブドウ糖などへ、たんぱく質はアミノ酸などへと分解され、小腸で吸収されます。
つまり、「なめらかになった=消化がすべて終わった」ではないのです。口でかみ砕く働き、胃で混ぜる働き、消化酵素の働きなどが連携して、消化は進みます。
バイタミックスのようなブレンダーは、食材を食べやすい形に整える便利な道具。そのあとには、体の中で行われる消化・吸収の工程が続いています。
スムージーやポタージュも、急いで流し込まず、ひと口ずつ味わっていただきたいですね。
② 食物繊維は、「消化されないこと」にも意味がある
「消化によい食事が大切なら、食物繊維も完全に消化されたほうがよいのでは?」
ここが、栄養学のおもしろいところです。
食物繊維は、人の消化酵素では小腸で分解しきれない成分です。その一部は大腸に届き、腸内細菌によって発酵されます。種類によって、便のかさを増やすなどの働きもあります。
つまり、自分の体が消化・吸収する栄養と、腸内細菌が利用する成分では、役割が違うのです。
「消化されないものは、体に不要」というわけではありません。
ただし、食物繊維を急に増やすと、お腹の張りやガスにつながることがあります。種類を増やす場合も、一度にたくさん詰め込むより、少量ずつ取り入れて反応を見ましょう。
例えば、いつものスープに野菜をひとつ加える。毎日同じ副菜なら、翌日は別の食材にしてみる。
多様性は、必ずしも「1杯に全部入れること」で実現する必要はありません。数日間の食卓を通して、無理なく広げていく方法もあります。
③ 「酵素を食べること」と「消化酵素が働くこと」を分けて考える
「酵素が大切なら、生野菜や果物をたくさん食べればよい?」
「食後に胃が重いのは、酵素が足りないから?」
こうした疑問を持つ方もいらっしゃると思います。
まず知っておきたいのは、私たちの体自身が消化酵素を作っていることです。
例えば、アミラーゼはでんぷん、プロテアーゼはたんぱく質、リパーゼは脂肪の分解に関わります。牛乳の乳糖を分解するラクターゼなど、特定の成分に働く酵素もあります。
食品に含まれる酵素を摂ることと、体内の消化酵素の働きを補えることは同じではありません。「酵素の多い食品さえ食べれば、消化の問題が解決する」とは考えないことが大切です。
胃もたれや膨満感だけで、酵素不足かどうかを判断することもできません。
「何を足せばよいか」を探す前に、食べた量や食べ方、不調の続き方を振り返る視点も持ちたいですね。
今日の食卓で試したい、ひとつの工夫
今回の記事で取り上げられているポタージュは、食材の取り入れ方を変える選択肢のひとつです。
生野菜のサラダばかりになっていたら、加熱した野菜を使ったスープにしてみる。大きな器にたっぷり盛る代わりに、まずは小さな器で味わってみる。
そのとき、材料・量・調理法を一度にすべて変えないのも、振り返りやすくするコツです。
「この食材はよい・悪い」と決める前に、どんな食べ方が自分に合うかを観察してみましょう。
※皮・芯・種などは、食用に適した部分だけを使い、必要な下処理や加熱を行ってください。
「栄養のあるものを食べる」から、消化の仕組みを知る一歩へ
何を食べるかに加えて、どう食べるか。
食べたものが、体の中でどう処理されるのか。
その仕組みを知ると、食材選びや調理法に、理由を持てるようになります。
ストアカの講座「貴方の消化不良の原因はコレだ!仕組みを学び対策を考える★消化と酵素」では、消化と酵素の基本、食事や生活で工夫できるポイントを、わかりやすく解説しています。
食後の胃もたれや膨満感が気になる方
消化酵素について、情報を整理したい方
ご家族の食事や、料理教室のレシピ作りに知識を生かしたい方
そんな皆さんに向けた、Zoomでの約90分の講座です。スライドを使い、質問を交えながら学びます。
なお、不調が続く場合は、食事の工夫だけで解決しようとせず、医療機関で相談してください。
毎日の食事を、栄養の知識でもっとおもしろく。
体の仕組みを知り、ご自身に合う食べ方を一緒に考えていきましょう。
NY在住の栄養学博士 いとうゆき