「健康のためにヨーグルトを食べているのに、お腹がゴロゴロする」
「野菜や豆を増やしたら、かえってガスが気になる」
「砂糖を控えてシュガーレスのお菓子にしたのに、お腹がゆるくなった」
こんな経験はありませんか?
それは、食べ物の「健康によい・悪い」だけでは説明できない、お腹との相性の問題かもしれません。
こんにちは。ニューヨークを拠点に、食事と健康についてお伝えしている栄養学博士のいとうゆきです。
今回は、自分に合う腸活を考えるうえで知っておきたい「FODMAP(フォドマップ)」について、身近な食品を例にお話しします。
FODMAPとは、食品の名前ではなく「糖質のグループ」
FODMAPとは、小腸で消化・吸収されにくく、腸内細菌によって発酵されやすい糖質の一群を指す言葉です。
野菜、果物、乳製品、豆類など、普段の食卓に並ぶ食品にも含まれています。代表的なものを整理してみましょう。
グループ代表的な成分含まれる食品の例オリゴ糖類フルクタン、ガラクトオリゴ糖玉ねぎ、にんにく、小麦製品、一部の豆類二糖類乳糖牛乳、一般的なヨーグルトなど単糖類ブドウ糖に対して過剰な果糖はちみつ、マンゴーなどポリオール(糖アルコール)ソルビトール、マンニトールなど一部の果物・きのこ、これらの甘味料を使った菓子など
食品によっては複数のグループを含み、製法や食べる量によってもFODMAPの摂取量は変わります。この表は「食べてはいけないリスト」ではありません。
なぜ、お腹の張りや痛みにつながるの?
ポイントは、腸の中の「水分」と「ガス」です。
吸収されずに残ったFODMAPは腸内に水分を引き込み、大腸では腸内細菌によって発酵され、ガスが生じます。
これは、誰にでも起こりうる現象です。ただ、過敏性腸症候群(IBS)の方などでは、腸の動きや刺激の感じ方の違いによって、張りや痛み、便通の変化として現れやすい場合があります。
つまり、ガスが出るから、必ず「悪玉菌が多い」「腸内環境が悪い」とは限らないのです。
この仕組みを知ると、「もっと発酵食品や食物繊維を足さなきゃ」と考える前に、食材や量を振り返る視点が持てますね。
知っておきたい① 「体によい」と「今のお腹に合う」は別のこと
例えば、オリゴ糖のなかには腸内細菌のエサになるものがありますが、同時に、FODMAPとしてお腹の症状に関わるものもあります。
同じ食品でも、ある人には無理なく食べられ、別の人には張りのきっかけになる。それは矛盾ではありません。
「健康によいと聞いたから、調子が悪くても続ける」より、食べたあとの自分の反応にも目を向けることが大切です。
料理教室でも、「腸によいので、皆さんたっぷり食べましょう」より、「お腹の調子に合わせて量を調整してくださいね」と添えられると、受け取る方の選択肢が広がります。
知っておきたい② 食品の種類だけでなく、「量と組み合わせ」も関係する
「少しなら平気なのに、たくさん食べると張る」
「単品では気にならないのに、いろいろ組み合わせると調子が悪い」
FODMAPを考えるときは、こうした違いも重要です。
一度の食事で複数の食品からFODMAPを摂ると、合計量が増えて症状につながる場合があります。少量ずつでも、組み合わせによっては負担が重なることがあるのです。
例えば、スムージーに果物、ヨーグルト、はちみつ、オリゴ糖入りのパウダーを加えている場合。
お腹が張ったからといって、すぐに「果物は全部ダメ」と決めるのではなく、何をどれくらい入れたのかを確認してみましょう。
まず役立つのは、食材名だけでなく、量もメモすること。
「ヨーグルトを食べた」より、「どの商品を、どれくらい食べたか」まで残しておくと、専門家に相談する際にも手がかりになります。
知っておきたい③ 低FODMAP食は、「ずっと避け続ける食事」ではない
低FODMAP食は、主にIBSの方の症状を和らげるために研究されてきた食事療法です。誰もが健康のために行う食事制限でも、減量のための方法でもありません。
基本的には、次の3段階で進めます。
一時的に減らす
通常2〜6週間、高FODMAP食品を低FODMAPの選択肢に置き換え、症状の変化を確認します。段階的に戻す
症状が改善した場合、グループごとに食品を戻し、何をどれくらい食べられるか調べます。自分に合わせて調整する
食べられる食品を戻し、必要な範囲だけ調整した、できるだけ幅広い食生活を目指します。
大切なのは、最初の「減らす」段階で止まらないこと。
目標は、禁止する食品を増やすことではなく、自分が楽しめる食事の幅を見つけることです。
実践する場合は、まず医療機関で症状を確認し、低FODMAP食に詳しい管理栄養士などの支援を受けて進めましょう。お腹の不調には、IBS以外の原因もあります。
今日からできるのは、「全部やめる」より「記録する」こと
この記事を読んで、冷蔵庫の食品を次々と避ける必要はありません。
まずは数日間、次のことを簡単に記録してみませんか?
食べたものと、おおよその量
食後のお腹の張り・痛みや便通
睡眠やストレスの状況
記録だけで原因を確定することはできませんが、食生活を振り返り、相談するための材料になります。
なお、血便や意図しない体重減少などがある場合は、食事の工夫だけで様子を見ず、医療機関で相談してください。
FODMAPを知ると、腸活の見方が変わります
腸によい食品を選ぶことに加えて、自分に合う種類・量・組み合わせを知ること。それも、大切な腸活です。
ストアカの講座「健康の要🍀腸活決定版:IBS、SIBO、FODMAPまで徹底解説」では、FODMAPの考え方に加え、IBSやSIBOなどの関連用語、腸内細菌と健康の関係を整理しながら学びます。
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「体によいはずなのに、なぜ?」という疑問を、自分のお腹を知るきっかけに。
食べる楽しみを大切にしながら、一緒に学んでいきましょう。
NY在住の栄養学博士 いとうゆき