糖尿病の食事というと、どんなイメージがありますか?
「ご飯を減らさないといけない」
「油や塩分を控えて、薄味にする」
「好きなものを我慢する」
そんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
でも、糖尿病の食事は、ただ制限すればいいというものではありません。
大切なのは、自分に合った食事量や栄養バランスを考えながら、おいしく、無理なく続けられることです。
先日、調理師専門学校で糖尿病食の調理実習を担当しました。
そこで私が大切にしたのは、栄養バランスだけではなく、「食べる人が満足できる料理に仕上げること」でした。
糖尿病食は、特別な食事ではない
糖尿病の食事療法の基本は、一人ひとりに合った量で、主食・主菜・副菜をバランスよく組み合わせることです。
ご飯を極端に減らしたり、特定の食品だけを食べたりすることが正解ではありません。
例えば、鶏むね肉。皮を除けば脂質が比較的少なく、たんぱく質をとれる食材ですが、ただ茹でただけでは物足りなく感じる方もいるかもしれません。
そこで大切になるのが、料理の工夫です。
おいしく続けるための3つの工夫
私が料理を考えるときに意識しているのは、次の3つです。

① スパイスやハーブで香りを楽しむ
塩や油をたくさん使わなくても、スパイスやハーブを加えることで料理の風味は豊かになります。香りをアクセントにすれば、同じ食材でも違ったおいしさを楽しめます。
② 彩りをよくして、見た目も楽しむ
赤、黄、緑などの野菜を組み合わせると、食卓が一気に華やかになります。「おいしそう!」「食べてみたい!」と思える見た目も、食事の楽しみの一つです。
③ 食感や調理法に変化をつける
焼く、煮る、ローストするなど、調理法を組み合わせることで、食べ飽きない献立になります。やわらかいもの、歯ごたえのあるものを組み合わせるのもおすすめです。
鶏むね肉も、工夫次第でごちそうに!
今回、調理師専門学校の実習で考えたのは、こちらの洋食献立です。
もち麦入りターメリックライス
鶏むね肉のポルケッタ風 ~きのこと粒マスタードのソース~
彩野菜のロースト ~バルサミコマリネ~
ひよこ豆と野菜のミネストローネ

(これは実際に、生徒さんが実習で作られたお料理です!)
主食にはもち麦を加えて食物繊維をプラス。ターメリックで黄色く仕上げ、見た目も華やかにしました。
メインの鶏むね肉は、ハーブを巻き込んで焼き上げる「ポルケッタ風」に。きのこと粒マスタードのソースを合わせることで、ごちそう感のある一皿に仕上げました。
野菜は彩りを意識し、ローストとスープで違った食感や味わいを楽しめるようにしています。
同じ鶏むね肉でも、調理法や味付けを工夫するだけで、食事の印象は大きく変わります。
今回、調理を学ぶ学生たちにも伝えたかったのは、栄養価を計算するだけでなく、食べる人の気持ちを考えて料理を作ることの大切さです。
健康のための食事こそ、おいしく、楽しく
糖質を減らす、脂質を減らす、塩分を減らす。食事改善では、どうしても「減らすこと」に意識が向きがちです。
でも私は、それと同じくらい、「どうしたらおいしく食べられるか」を考えることが大切だと思っています。
香りを足す。彩りを足す。食感に変化をつける。そんな小さな工夫が、食事の満足感につながります。
健康のための食事だからこそ、おいしく、楽しく、無理なく続けられるものにしていきたいですね。
オンライン料理教室でもご紹介します
今回の献立は、オンライン料理教室でもご紹介します。オンラインでは、さらに「豆腐の濃厚ココアムース ~ミックスベリー添え~」を加えた5品を作ります。

デザートまで楽しみながら、栄養バランスにも配慮した献立です。「ヘルシーな料理は物足りない」と感じている方にも、ぜひ料理の工夫を楽しんでいただけたらうれしいです😊
※糖尿病と診断されている方は、治療内容や合併症などによって適切な食事量が異なります。主治医や管理栄養士と相談しながら調整しましょう。
管理栄養士・料理講師
藤田えみこ
【参考資料】
厚生労働省「糖尿病の食事」
国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「糖尿病の食事のはなし(献立編)」