読めば意味はわかるのに、いざ話そうとすると頭が真っ白になる。
「今年こそ」と始めた英語の勉強が、気づくと1か月で止まっている。
レッスンで、この2つの悩みを本当によく聞きます。
そして多くの方が「私の意志が弱いから」と言います。
日本の中学校とアメリカの大学、両方の教室で教えてきた経験から言うと、私はそうは思いません。
どちらも、意志の強さより「しくみ」の問題だと思っています。
英語が出てこないのは、頭の中の「検閲官」のせい
第二言語習得の研究には「情意フィルター」という考え方があります。
不安や緊張が強いと、外国語がうまく入ってこなくなり、口からも出にくくなる、というものです。
私はこれを「頭の中の検閲官」と呼んでいます。
I think... と言いかけた瞬間に、「その文法、合ってる?」「発音おかしくない?」とチェックが入る。
そのあいだに、会話は先へ進んでしまいます。
日本の英語の授業は、長いあいだ「正解か不正解か」で評価されてきました。
テストは減点方式で、間違えると赤ペンで直される。
私自身も中学校で教えていたので、この感覚はよくわかります。
一方、アメリカの大学で日本語を教えていたとき、学生たちは堂々と間違えていました。
「先生、私は昨日ピザを飲みました」と言って、教室が大爆笑。
本人もケラケラ笑っている。
でも次の週には、ちゃんと「食べました」に直っているんです。
間違える、笑い合う、覚える。
このサイクルが回ると、検閲官はだんだんおとなしくなります。
検閲官を黙らせる「3秒ルール」
レッスンでおすすめしているのは、とてもシンプルな方法です。
言いたいことが浮かんだら、3秒以内に声に出す。
文法を組み立ててから話すのではなく、まず音を出します。
I... uh... でもかまいません。
話し始めてしまえば、頭は「どうにか続きを言おう」というモードに切り替わります。
考える時間が長いほど、検閲官のチェックも長くなるんです。
続かないのは、意志力が「消耗品」だから
もうひとつの悩み、「続かない」についてです。
意志力は、朝がいちばん多くて、仕事や家事でいろいろ判断するたびに減っていくと言われています。
夜にやっと自分の時間ができたとき、もうあまり残っていない。
そこで「さあ英語をやろう」と気合いを入れるのは、かなり分の悪い勝負です。
そこで使えるのが、心理学で「if-then プランニング」と呼ばれる方法です。
「〇〇したら、△△する」と、先に決めておくだけ。
コーヒーを淹れたら、英語のポッドキャストを1分聞く
電車に乗ったら、昨日覚えたフレーズを1つ思い出す
歯みがきを始めたら、今日あったことを英語で1文考える
「いつやろう」「何をやろう」と考えること自体に、エネルギーを使っています。
先に決めておけば、その判断がいらなくなります。
小さすぎるかな、と思うくらいでちょうどいいです。
(参考:Gollwitzer, P. M. (1999). Implementation intentions: Strong effects of simple plans. American Psychologist, 54(7), 493–503.)
「できた」を感じられると、続く
もうひとつ大事なのが、「できた」の感覚です。
単語帳を黙々とめくっているだけだと、なかなか手応えを感じられません。
でも、1文でも英語で言えた、相手に伝わった、という経験は、次もやろうという気持ちにつながります。
だから私のレッスンでは、毎回どこかで「できた」を感じてもらうことを大切にしています。
レッスンの最初には言い淀んでいたことが、レッスンの最後にスラスラと言えるようになる瞬間や、自己紹介の動画をコーチングスタート時と3ヶ月後に比べた時の違いに驚く瞬間にも立ち会って来ました!自分のことより嬉しいかも!
今日からできること
言いたいことが浮かんだら、3秒以内に声に出してみる
「〇〇したら、英語を1分」を1つだけ決める
できたことを1行だけメモしておく
英語が出てこないのも、続かないのも、あなたのせいではないと思います。
しくみを少し変えるだけで、検閲官の声は小さくなっていきます。