「最初は普通に話せるのに、途中から声が震えてくる」
「人に見られていると思うと、急に喉が詰まる」
「練習では大丈夫なのに、本番になるとうまく話せない」
ボイストレーニングで、この様なご相談をよく受けます。
声が震えると、「もっと落ち着かなきゃ」「震えないようにしなきゃ」と思ってしまいますが、意識すればするほど身体に力が入り、かえって声が不安定になることがあります。
大切なのは、震えを止めることより、声が震えるとき自分の身体に何が起きているのかを知ることです。
今回は、人前で声が震える方にまず確認してほしい3つのポイントをご紹介します。
1.息を吸いすぎていませんか?
緊張すると「深呼吸しよう」と、一生懸命息を吸う方がいます。
ところが、すでに身体が緊張している状態でたくさん息を吸うと、胸や肩が上がり、喉にも力が入りやすくなります。
声は、吐く息に乗って出ています。
そのため本番前は、息を吸うことよりも、まず
「ふーっ」とゆっくり息を吐く
ことです。
息を最後まで吐き切る必要はありません。
肩の力が少し抜ける程度で十分です。
そのあと自然に入ってきた息で、短い一言を話してみます。
例えば、
「おはようございます」
「本日はよろしくお願いいたします」
など、短い言葉から始めます。
声を出そうと頑張るのではなく、息の流れに声を乗せる感覚を確認してみてください。
2.喉だけで声を支えようとしていませんか?
緊張すると、声をちゃんと出そうとして喉に力を入れてしまうことがあります。
すると、声が細くなったり、高くなったり、途中から震えやすくなります。
そんなときは、大きな声を出す練習よりも、
首や肩を軽く動かす
あくびをするように口の奥をゆるめる
「んー」と小さくハミングしてみる
などで、まず余計な力を抜いてみましょう。
特にハミングは、強く声を出さなくても響きを感じやすい練習です。
「大きく出す」ではなく、
ラクに響かせる場所を探すことを意識してみてください。
3.「震えないように」と思いすぎていませんか?
これはとても大切なポイントです。
「絶対に震えたくない」
「また失敗したらどうしよう」
そう考えるほど、自分の声を監視するようになります。
すると、
「今、震えていないかな」
「変に聞こえていないかな」
と意識がどんどん自分の内側に向き、話す内容に集中しにくくなります。
人前で話すときの目的は、
きれいに話すことではなく、相手に伝えることです。
震えが少しあっても、内容が伝われば十分です。
実際のレッスンでも、最初は声の震えばかり気にしていた方が、
「相手に何を伝えたいか」
に意識を向けることで、声が少しずつ安定してくることがあります。
本番前にできる1分練習
最後に、簡単な練習をひとつご紹介します。
肩を一度上げて、ストンと落とす
「ふーっ」とゆっくり息を吐く
自然に息が入るのを待つ
最初の一文だけ、いつもの8割くらいの速さで話す
例えば、
「本日はお時間をいただき、ありがとうございます」
この一文だけで構いません。
本番前に何度も全文を練習するより、最初の一文を安心して言える状態をつくると効果的です。
最初が落ち着くと、その後の呼吸や声も整いやすくなります。
声の震えは「声だけ」の問題ではありません
声の震えには、
呼吸
身体の緊張
喉の使い方
話す速さ
「失敗したらどうしよう」という不安
など、いくつもの要素が関係しています。
だからこそ、一つひとつ整理していくことが大切です。
「震えをゼロにする」ことを目標にしなくても大丈夫。
まずは、
「緊張しても、声を出せる」
「少し震えても、最後まで話せる」
という状態をつくること。
そこから少しずつ、自分の声への安心感を育てていきましょう!