「人前に立つと、いつもより早口になってしまう」
「自分では普通に話しているつもりなのに、聞き取りにくいと言われる」
「ゆっくり話そうとすると、今度は不自然になってしまう」
ボイストレーニングでは、こうしたご相談もよくあります。
早口を改善しようとすると、多くの方がまず
「もっとゆっくり話そう」
と考えます。
もちろん話す速度も大切ですが、実はそれだけでは改善しないことがあります。
早口になる背景には、呼吸や間の取り方、そして「早く話し終えたい」という緊張が関係している場合があるからです。
今回は、早口が気になる方にまず確認してほしい3つのポイントをご紹介します。
1.文章を一息で話そうとしていませんか?
早口の方に多いのが、話し始めると文章の最後まで一気に進んでしまうことです。
例えば、
「本日はお時間をいただきありがとうございますそれでは早速ご説明します」
と、一つながりで話してしまう。
これでは聞き手も情報を整理する時間がありません。
まずは文章を、
「本日は、お時間をいただきありがとうございます。」
【一拍】
「それでは、早速ご説明します。」
と分けてみましょう。
ポイントは、話す速度を無理に遅くすることではなく、意味のまとまりごとに区切ることです。
区切りが入るだけでも、聞き手にはずっと落ち着いて聞こえます。
2.息が足りなくなっていませんか?
緊張すると呼吸が浅くなりやすくなります。
すると、
「息がなくなる前に言い切らなきゃ」
という身体の反応から、無意識に話す速度が上がることがあります。
そんなときは、話す前にたくさん息を吸う必要はありません。
一度、
「ふーっ」と軽く息を吐く。
そのあと自然に入ってきた息で、最初の一文を話します。
そして文章の区切りで、もう一度小さく息を入れます。
話すときの呼吸は、
吸う → 全部話す
ではなく、
話す → 区切る → 息を入れる → また話す
という流れをつくることが大切です。
3.「間」が怖くなっていませんか?
人前で緊張すると、
「止まったら変に思われるかも」
「早く次を言わなきゃ」
と感じることがあります。
その結果、文章と文章の間がなくなり、どんどん早口になってしまいます。
でも、聞き手にとっての「間」は、不自然な沈黙ではありません。
内容を理解するための時間です。
例えば、
「今回のポイントは、3つあります。」
ここで一拍。
「まず一つ目は……」
この短い間だけでも、話し手には落ち着きが生まれ、聞き手にも「これから大切なことを話すんだな」と伝わります。
早口を改善するには、言葉を遅くするよりも、間を使えるようになることが大きなポイントです。
1分でできる「早口チェック」
次の文章を声に出してみてください。
「今日は、最近取り組んでいることについてお話しします。最初に現在の状況をお伝えして、そのあと今後の予定をご説明します。」
まずは普通に読みます。
次に、
「今日は、最近取り組んでいることについてお話しします。」
【一拍】
「最初に、現在の状況をお伝えします。」
【一拍】
「そのあと、今後の予定をご説明します。」
と読んでみてください。
話す速度そのものを大きく変えなくても、印象がずいぶん違って聞こえるはずです。
さらに、「今日は」「最初に」「そのあと」など、聞き手にとって目印になる言葉を少し丁寧に言うと、内容がより伝わりやすくなります。
早口は「話す速度」だけの問題ではありません
早口には、
呼吸が浅い
一文が長い
間を取らない
言葉を早く出そうとする
緊張して早く話し終えたくなる
など、さまざまな要因があります。
だから、
「とにかくゆっくり話そう」
だけでは、かえって話しにくくなることもあります。
まずは、
一文を短くする。
意味の区切りで一拍置く。
息がなくなる前に小さく呼吸する。
この3つから試してみてください。
大切なのは、ゆっくり話すことではありません。
相手が受け取れる速さで届けること。
その感覚が身についてくると、話している自分にも余裕が生まれ、自然と落ち着いた話し方につながっていきます。