言葉にできない「センス」の正体とは?-世界観研究所-
センスとは何ですか?|才能ではなく、選び方で育つ6つの答え
「センスがいいね」と言われる人と、自分は何が違うのだろう。
そう感じたことは、好きな写真や表現に、真剣に向き合ってきた証かもしれません。
この記事では、センスの正体を、6つの質問に沿って整理します。
4分で読めます。。
【図0:6つの質問の地図】
Q1. センスとは何ですか?
A:結論:センスとは、ある状況における最善の選択とそれらの組み合わせのことです。

服、Webデザイン、お土産選びなど、日常で「センスがいい」と言うとき、
多くは、限られた状況の中での選び方を指しています。
ひとつの完成形は、複数の要素の組み合わせでできています。
コーディネートなら、トップス、ボトムス、小物です。
ファッション撮影なら、光、場所、レタッチの色です。要素を選び、組み合わせた結果が、その人のセンスとして現れます。
センスの核心は、要素の選択と、組み合わせ方にあります。
同じ要素を持っていても、選ぶものと組み合わせ方が違えば、できあがるものは変わります。同じ「光・場所・色」を使いながら、1枚ずつ違う印象になるのは、そのためです。センスは、完成した1枚そのものより、その背後にある選び方に宿る、と言い換えられます。

【図1:センスの正体の図解】
Q2. センスは、生まれつきのものですか?
A:生まれつきだけで決まるものではない、というのが私の考えです。
選ぶには、選択肢が必要だからです。

【図2:知識量と経験値の図】
選択肢は、知識量と経験値から生まれます。
見たことのある表現が多いほど、選べる候補が増えます。
実際に試した回数が多いほど、その候補がどう働くかを、手応えとして知っています。
知識には、定番とされるもの、歴史的な背景、いま扱われているトレンドが含まれます。
経験は、代わりがきかないものです。
一度も経験していないことは、手応えとして残りません。
泳ぎ方の本を読んでも、水に入らなければ泳げるようにならないのと、似ています。
特にA Iの時代、この経験値が最大の強みとなります。
Q3. 「センスがいい」と言われる人は、何が違いますか?
A:違いは、観察の細かさにあります。
細かく観察できる人は、1枚の写真を、要素に分けて見ています。
たとえば、「光がきれい」で止まらずに、
「どんな光か」まで見ます。やわらかい逆光なのか、窓からの斜光なのか。
分けて見えているから、言葉にでき、次の撮影で選び直せます。
センスがあるのに説明が苦手な人もいます。
感覚で選べているものの、まだ言葉にしていない状態、と言えるかもしれません。
説明できないことは、センスがないこととは別です。
細分化して言葉にできれば、他の人にも伝わります。
質問への答えが「それは撮る人のセンスだよね」で
終わってしまう場面を、見聞きしたことがあるかもしれません。
その背景には、3つの理由が考えられます。
①本人が自分の感覚を言葉にできていないこと。
②説明の伝え方がまだ整っていないこと。
③説明できるだけの撮影経験が足りないこと。
どれも、あとから整えられるものです。
また、人の認知の多くは視覚情報から始まります。
現象を見て、解釈し、感情が動き、行動し、結果が出ます。
理想の結果に近づくには、最初の「見る」の精度を上げることが、近道になります。
観察力が鍵になるのは、そのためです。

【図3:1枚を要素に分ける図】
Q4. センスは、どう育てますか?
A:育て方は、3つあります。
1. 細分化して観察する
要素を取り出せれば、あとは候補の中から選ぶだけです。
好きな写真を1枚ずつ見て、気になる要素を書き出します。
2. 抽象化して、自分のルールにする
書き出した要素の共通点を探し、「この撮影では、この光」のように定番を決めます。
定番があると、迷う時間が減り、進むのが早くなります。
たとえば、人物撮影の定番を「ソフトボックスとグリッドの組み合わせ」と決めておけば、
毎回ゼロから考えずに済みます。
抽象化は、好きなものを集めたあと、1つずつ細かく観察し、気になる要素を抜き出し、その共通点を探す順で進めます。

3. 他の分野の知識を、応用する
料理の考え方が、美術の制作に役立つことがあります。
動物の関節の仕組みが、機械の部品の設計に転用されることもあります。
アイデアは、既存の要素の掛け算だからです。
持っている知識量が多いほど、発想は広がります。
明日突然よくなることはなくても、
1か月後、3か月後、1年後には変わっていく、と考えています。
A:

【図4:センスを育てる3つの流れ】
Q5. なぜ、「好き」から始めるのですか?
A:好きなものは、集めやすく、追求しやすく、続けやすいからです。

①集めやすい
好きなものは、脳が覚えています。カレーが好きな人は、街にカレー屋が多いと気づきます。情報が自然に入ってきます。
②追求しやすい
北インドの豆カレーが美味しかったので、次はネパールの豆カレーを食べてみる。
好きは、次の関心を連れてきます。
同じ好きでも、深まる方向は人によって違い、その違いが、その人らしい選び方の土台になります。
③続けやすい
好きなものは、苦になりにくく、長く続けられます。継続性こそセンスの鍵です。
この3つは、お互いに影響し合います。
集めるほど追求したくなり、追求するほど続き、続けるほど集まります。

【図5:集める・追求する・続けるの循環図】
Q6. 今日からできることは、何ですか?
A:土台になる考え方が、3つあります。
①すべては、分解して考えられる
②分解できれば、再構築できる
③ルール化できれば、再現できる
この3つを前提に、好きな写真を3枚、選んでみてはいかがでしょうか。
それぞれを、光・場所・色などの要素に分け、一語ずつ書き出します。
3枚に共通する言葉が見つかれば、それが、あなたの選び方の入口です。

【図6:3枚から共通点を見つける図】
次の記事では、この選び方が積み重なって現れる「世界観」を扱います。