あなたの写真が伝わらない理由|ゴールと「好き」から考える6つの答え
写真を撮り続けているのに、見てほしい人に届いている感じがしない。
そう感じることは、真剣に撮ってきた証かもしれません。この記事では、あなたの写真が伝わるようになるには?を、技術ではなく「ゴール」と「好き」の側から、
6つの質問に沿って整理します。読む時間は約4分です。

【図0:6つの質問の地図】
Q1. 写真が「伝わらない」とは、どういう状態ですか?
多くの場合、写真の出来栄えそのものが原因ではありません。
ピントも露出も整っているのに、
見た人の印象が残らない、誰に向けた写真なのか分からない、という状態です。
たとえば、曇りの日の森を撮った写真が10枚並んでいれば、
見る人は「この人は、静かなものを見ているのかもしれない」と受け取れます。
同じ10枚が、森、夜景、料理、と散らばっていると、
1枚ずつが美しくても、人物像は結びにくくなります。
伝わるためには、受け取る側に「この人は何を見ているのか」が見えている必要があります。
1枚ごとの完成度とは別に、複数の写真を並べたときに、
同じ方向を向いているかどうかが分かれ目になります。

【図1:うまい写真と、伝わる写真の違い(1枚の完成度/並べたときの方向)】
Q2. 一番の理由は、何ですか?
そもそもゴールが決まっていないことです。
ゴールとは、あなたは写真を通して、誰に、何を、どう感じてほしいか、という観点です。
ここが決まっていないと、撮るたびに基準が変わります。
今日はトレンドの色味、明日は人気の構図、というように、選ぶ理由がその場ごとに入れ替わります。
ゴールは、三つの問いに分けると言葉にしやすくなります。誰に届けたいか。何を見てほしいか。どう感じてほしいか。たとえば、「静けさを求める人に」「曇りの日の森の空気を」「ほっとする感覚で」のように、短い一文で構いません(説明用の例です)。
この一文があると、光の選び方も、色の整え方も、余白の取り方も、同じ方向へそろいます。
目的地を決めずに歩いていると、どれだけ歩数を重ねても、どこにも着かないのと似ています。
努力が足りないのではなく、向かう先が決まっていないだけかもしれません。
【図2:目的地のない努力と、目的地のある努力(矢印の向き)】

Q3. 「どうしたいか」が決まっていないと、何が起きますか?
三つのことが起きやすくなります。
一つ目は、判断が難しくなることです。
撮影でも現像でも、何を選択、何を手放すかの基準がなく、毎回迷います。
選別に時間がかかるのに、
選んだあとも「これでよかったのか」という感覚が残ります。
二つ目は、学ぶ内容が散らばることです。
機材、ライティング、レタッチと、人気の話題を順に追いかけても、どれが自分に必要なのか分かりません。学ぶほど情報は増えるのに、写真は変わらないという状態になりやすくなります。
三つ目は、写真に一貫性が出ないことです。1枚ずつは良くても、並べると方向がばらばらに見えます。見る側は、その人が何を大切にしているのかを、読み取る手がかりを失います。
この三つは、どれも技術不足とは別のところで起きています。
技術を足す前に、向かう先を置くことが先になります。

【図3:決まっていない状態で起きる3つのこと(判断・学び・一貫性)】
Q4. では、「どうしたいか」はどう決めますか?
根元にあるのは、「好き」です。『世界観ポートレート ライティング図解』には、次のように書きました。
「好き」は、全ての原点。
「どうしたいか」を、正しさや人気から探すと、他人の物差しになりやすくなります。好きから探すと、あなたの基準になります。
好きのない構造は、ただの設計図。図面に、あなたらしさは宿りません。
もう一つ、好きには続けやすいという利点があります。好きなものは、集めやすく、追求しやすく、苦になりにくいため、ゴールに向かう道のりを長く歩けます。人気から選んだゴールは、人気が移ると足元が揺れます。好きから選んだゴールは、その人の中に根があります。
好きな理由を、すぐに説明できなくても大丈夫です。理由は、あとから分解して見つけられます。まずは、なぜか何度も選んでしまう写真を集めるところから始まります。
【図4:好き→どうしたいか→ゴール、の順に置く図】

Q5. 好きな写真は、どう調べますか?
探す、分解する、分析する、数える、の4つの流れです。
1. 探す 好きな写真を10〜20枚ほど集めます。数が少なくても始められます。
2. 分解する 1枚ずつ、光・場所・被写体・色・余白・距離などの要素に分け、一語ずつ書き出します。「なんとなく好き」が、「やわらかい逆光」「広い余白」のように、言葉に変わります。
3. 分析する 書き出した言葉を並べ、共通点を探します。同じ要素が何度も出てきたら、それがあなたの選び方の手がかりです。
4. 数える 要素ごとに、何枚に出てきたかを数えます。1枚の分解の例を挙げると、霧のかかった森に、ひとりが立つ写真なら、場所は森、被写体はひとり、光は曇りの拡散光、余白は広め、のように書き出せます。これを20枚分並べて集計します。たとえば20枚中、逆光が12枚、広い余白が9枚、といった形です(数値は説明用の例です)。数えると、印象ではなく、自分の傾向として見えてきます。

【図5:探す→分解→分析→数える、の4ステップと集計表の例】
Q6. 「どうしたいか」が決まると、何が変わりますか?
必要なスキルが分かるようになります。
たとえば、集計で「やわらかい逆光」が多く出たとします。すると、学ぶ対象は、逆光の露出の取り方、レフ板の使い方、現像でのコントラストの整え方、のように絞られます。広い余白が多ければ、構図の勉強が優先です。ひとりの被写体が多ければ、ポーズの付け方や、距離の取り方が候補に上がります。人気の技術を順に追うのではなく、ゴールから逆算して、足りないものを選べるようになります。
ゴールが決まっていると、判断の基準も、学ぶ順番も、写真の一貫性も、同じ方向へそろっていきます。伝わる写真は、その結果として現れる、と考えています。
今日の終わりに、好きな写真を5枚選び、光・場所・被写体の三つに分けて、一語ずつ書き出してみてはいかがでしょうか。

【図6:ゴールから逆算して、必要なスキルを選ぶ図】