「お母さん、これだけは用意しておいて」
先日、看護師をしている娘と話していたときのことです。
災害時の支援について学んでいる娘が、備えておくように勧めてくれたのは、携帯トイレでした。
災害への備えといえば、水や食料。
私も、まずはその二つを思い浮かべていました。
でも、断水などで水洗トイレが使えなくなっても、トイレに行きたくなるのは待ってくれません。
熊本地震後の調査では、約4割の人が地震発生から3時間以内にトイレに行きたくなったそうです。
防災グッズが必要なことは、私も頭ではわかっていました。
それでも、どこかで「まだいいかな」と、先送りにしていたのです。
娘の言葉を聞いて初めて、「わが家ではどうするんだろう」と考えました。
「この家、いずれどうするの?」
その日、娘からはもうひとつ、問いかけがありました。
「この家、いずれどうするの?」
子どもたちは、それぞれ家を出ています。
今は私たちが暮らしていても、その先、この家をどうするのか。
いつか考えなければいけない。
そう思いながら、具体的には話してきませんでした。
空き家のニュースを見ても、どこか遠くの話として受け止めていた私。
でも、娘に聞かれると、急に自分たちの暮らしの話になります。
すぐに答えは出せなくても、これからどう暮らしたいのか、子どもたちはどう考えているのか。
少しずつ話しておきたいと思いました。
備えるのは、これからを楽しむため
ちょうど同じ頃、雑誌で心療内科医の海原純子さんのインタビューを読みました。
年齢にとらわれず、自分を退屈させないことを大切にしているというお話が、心に残りました。
私も、これからやってみたいことがあります。
旅行に出かけたい。
会いたい人に会いたい。
仕事でも、新しいことに挑戦してみたい。
そんなことを考えたとき、娘の言葉と、読んだ記事が、私の中でつながりました。
防災も、家のこれからを考えることも、つい気が重くなります。
何から手をつけたらいいのかわからず、後回しにしたくなることもあります。
けれど、気になっていることをひとつ済ませたら、
「あれも考えなきゃ」という心の引っかかりが、少し減るかもしれません。
そのぶん、楽しみな予定を考えたり、やってみたかったことに手を伸ばしたりできる。
備えることは、これからの自分が安心して動けるようにしておくこと。
そう考えると、少し気持ちが変わりました。
まずは、ひとつだけ
これからどう生きたいか。
どんな時間を過ごしたいか。
大きな問いの答えは、すぐには見つからないかもしれません。
でも、今日できることなら、ひとつ選べそうです。
私はまず、防災グッズを準備するところから。携帯トイレも。
家のことは、家族と少しずつ話していこうと思います。
一度ですべてを決めなくても、話し始めることはできます。
あなたにも、「まだいいかな」と思いながら、心のどこかで気になっていることはありませんか。
これからの時間を、安心して楽しむために。
今日できそうなことを、ひとつだけ選んでみませんか。