「単語がなかなか覚えられない」
「知っているはずの英語が、聞き取れない」
「長文を読むのが苦手だ」
「勉強しているのに、話せるようにならない」
そんな悩みをお持ちの方に、まず振り返っていただきたいことがあります。
その単語、その英文を、これまで何回繰り返しましたか?
単語帳で一度確認した。
問題を解いて、解説を読んだ。
英文を2、3回音読した。
それで次に進み、しばらく触れないままになっていないでしょうか?
こんにちは。英語講師のTaka先生・根岸貴規です。
私はこれまで、累計14,000人以上の方に英語学習をご指導してきました。
指導を通じて、強く感じていることがあります。
英語が伸び悩んでいる方の多くは、単語や英文を身につけるための反復回数が、圧倒的に足りていません。
単語帳を何周も繰り返し、同じ英文を何十回も音読する。
そうした練習を積む前に、「覚えられない」「できるようにならない」と悩んでしまっているのです。
まず見直してほしいのは、英語を身につけるために必要だと考えている練習量です。
英語は、知識を理解すると同時に、「読む」「聞く」といったスキルを上達させるプロセスです。そのつもりで考えると、必要な練習量の見え方が変わるのではないかと思います。
■サッカーやピアノなら、繰り返すことを当たり前だと思いませんか?
サッカーが上手になりたい人は、ボールの蹴り方を教わった後、何度も実際に蹴って練習します。
野球なら、バットの振り方を理解した後に、素振りや打撃練習を繰り返します。
ピアノなら、楽譜が読めても、指が思うように動かなければ、同じ部分を何度も弾きます。
ギターなら、コードを覚えた後も、滑らかに押さえられるようになるまで練習します。
一度説明を聞いた。
やり方は分かった。
2、3回やってみた。
それだけで上手にならなくても、「自分には才能がない」とは、なかなか結論づけないはずです。
「まだ練習が足りない」
「できるようになるまで、繰り返そう」
そう考えるのではないでしょうか?
ところが英語では、単語を数回見ただけ、英文を数回読んだだけで、「なかなか身につかない」と悩んでしまう。
スポーツや楽器には必要だと思っている反復を、英語では十分に行わないまま、結果を求めていないでしょうか?
英語にも、同じように反復練習が必要なのです。
■解説を読んで分かった後に、練習する時間を取っていますか?
英文法の解説を読む。
先生の説明を聞く。
日本語訳を確認する。
こうした学習は大切です。分からないところを、そのままにしてはいけません。
ただ、「理解した」ところで勉強を終えると、自分で使う練習が抜けてしまいます。
例えば、次の英文です。
I usually study English after dinner.
私は普段、夕食後に英語を勉強します。
読めば意味は分かる。
usuallyの位置も理解できる。
では、英文を隠して、すぐに言えるでしょうか。
音声だけで聞いても、流れに遅れず意味をつかめるでしょうか。
できなければ、そこを練習します。
音声を聞く。まねして読む。内容を思い浮かべて読む。
英文を隠して言う。止まった部分を確認し、もう一度言う。
理解した後に、こうした時間をどれだけ取っているか。
ここを振り返っていただきたいのです。
英語を聞いたり話したりする力を伸ばすときは、スポーツや楽器と同じように、「できるようになるまで練習する」という姿勢で取り組んでください。
■「毎日勉強している」と「同じものを繰り返している」は違います
毎日1時間勉強している方でも、同じ単語や英文を繰り返した回数は、意外と少ないことがあります。
今日は単語帳の新しいページ。
明日は別の長文。
その次は、別の解説動画。
これなら、新しい内容には毎日触れています。
でも、昨日覚えようとした単語を、今日もう一度思い出す機会はあったでしょうか?
昨日読めなかった英文を、今日は滑らかに読めるまで練習したでしょうか?
新しいことを学ぶ時間と、一度学んだことを身につける時間。両方を取る必要があります。
特に見直していただきたいのは、「何回かやりました」の中身です。
先週取り組んだ英文を一つ選び、実際に何回音読したか、数えてみてください。
「何度も読んだつもりだったけれど、実際は3回だった」
もしそうなら、まず取り組むべきことが見えてきます。
勉強時間だけでなく、同じ単語を何回確認したか、同じ英文を何回声に出したかも記録してみてください。自分の反復量を、感覚ではなく具体的に把握できます。
■30回、50回も、長期的な定着を保証する数字ではありません
私は、意味を理解した英文について、まず50回の音読を目標にすることがあります。
数回読んだところで終わりにせず、繰り返すことを学習の中に組み込んでほしいからです。
そもそも、そこまで反復していない方には、まず練習量を増やしていただきたいと思っています。
そして、もう一つ知っておいてください。
30回、50回取り組んだとしても、それだけで、その単語や英文が長く使える状態になるとは限りません。
ピアノの難しい部分を、ある期間に50回練習したとします。
その後はまったく練習しなくても、いつでも滑らかに弾けるでしょうか?
「できるようになった後も、弾く機会は必要だろう」
そう思いますよね。
英語も、今日できるようになったら、翌日や数日後にも確かめる。
出てこなければ、また練習する。
覚えた表現を、別の文や実際の会話でも使ってみる。
そこまで含めて、身につけていく過程です。
必要な回数は、人や教材、目標によって変わります。
大切なのは、「何回やったから終了」と決めず、時間が空いても使える状態を目指して練習を続けることです。
■単語は、覚えるまで同じ範囲に戻ってください
単語の暗記では、1ページを確認したら次へ進み、忘れたまま何日も戻らない。これでは、一つひとつの単語に触れる回数を増やせません。
まずは、繰り返せる範囲を決めてください。
英単語を見て、日本語の意味を隠して答える。
出てこなければ、すぐに意味を確認する。
少し先まで進んだら、また戻って確かめる。
この流れを、何度も繰り返します。
覚えている単語と、出てこない単語を分けると、復習もしやすくなります。
○:すぐに意味が出る。
△:考えれば出る。
×:出ない、間違える。
△と×は、その日のうちに何度も繰り返し確認する。
翌日以降も、答えを見る前に試す。
○になった単語も、数日後に順番を変えて確認する。
「見たことがある」から、「すぐに意味が出る」へ。
そこまで練習してください。
単語帳を最後まで進めることと、掲載されている単語を覚えることは、同じではありません。
■音読は、理解した英文を何度も口に出してください
音読も、一度読んで終わり、授業で読んで終わりでは、練習回数が増えません。
意味と文の構造を確認し、音声で発音を確かめたら、同じ英文を繰り返し声に出してください。
一度つかえた部分を、もう一度読む。
言いにくい部分は短く区切り、音声をまねする。
その後、文全体を通して読む。
そして翌日も、同じ英文に戻ります。
回数を数えると同時に、読みながら内容をつかめているか、前より滑らかに読めるかも確認してください。
私自身、英検1級の学習では、同じ英文を100〜150回音読していました。
意味が分かっても、そこで終わりにしませんでした。
滑らかに読めるように、音声だけでも内容を追えるように、繰り返し取り組みました。
英語を身につけるためには、理解した後にも、それだけ練習する時間が必要だと考えていたからです。
■「覚えられない」と決める前に、反復量を増やしてほしい
「自分は記憶力が悪い」
「英語のセンスがない」
「年齢的に難しいのかもしれない」
そう結論づける前に、確かめてください。
その単語を、何回思い出そうとしましたか?
その英文を、何回声に出しましたか?
今日だけでなく、昨日も、その前の日も、ずっと継続的に繰り返しましたか?
数回取り組んだ段階で、自分の能力に結論を出してしまうのは早すぎます。
スポーツや楽器なら、上達するまで繰り返すことを自然に受け入れられるはずです。
英語でも、そのつもりで練習を積み重ねてほしいのです。
方法を理解する。
実際にやってみる。
うまくできないところを直し、何度も繰り返す。
できるようになった後も、使い続ける。
英語学習は、こうしてスキルを育てていく過程です。
だから私は、正しい順番、正しい方法とともに、「必要な学習量」を大切にしています。
今日の勉強では、新しいページへ進む前に、昨日覚えられなかった単語に戻ってください。
昨日つかえた英文を、もう一度、そしてさらに繰り返し読んでください。
一度戻っただけで終わらせず、明日以降も続けてください。
私の講座では、英文や問題の解説に加え、授業後に何を、どの順番で、どのくらい練習するかもお伝えしています。
自分の勉強の進め方や練習量に迷っている方は、ぜひご相談ください。
「分かった」で終わらず、「できるようになるまで繰り返す」。
そのための練習を、一緒に積み重ねていきましょう。
そのためのペースメーカーにして頂きたい。
根岸貴規