「解説を読んだときは分かったのに、次の問題では間違える」
「知っている単語なのに、聞くと分からない」
「毎日勉強しているけれど、できるようになった実感がない」
こんなとき、勉強時間を増やす前に確認してほしいことがあります。
どこで、何ができなくなっているのか。
ここが分かると、次に取り組む勉強を具体的に決められます。
こんにちは。英語講師のTaka先生・根岸貴規です。
私はこれまで、累計14,000人以上の方に英語学習をご指導してきました。授業で大切にしているのは、「正しい順番」「正しい方法」「必要な学習量」の3つです。
分からないところを理解し、できるようになりたいことを練習し、それが身につくまで繰り返す。
言葉にするとシンプルですが、自分の勉強を振り返ってみると、どこかが抜けていることがあります。
今回は、よくある5つのつまずきについて、具体的な練習と確認方法をまとめました。勉強がうまく進まないときに、ご自身の状態と照らし合わせて使ってみてください。
■まずは、自分に当てはまる項目を見つけてください
① 英文を読んでも意味が分からない
→ 単語と文の構造を確認する。
② 読めば分かるのに、聞き取れない
→ 文字と音声を照らし合わせ、短く区切ってまねて何度も声に出して言う。
③ 意味を考えている間に、音声が先へ進んでしまう
→ 理解済みの英文を、語順に沿って意味を捉えながら何度も音読する。
④ 英文を見れば分かるのに、自分では言えない
→ 英文を暗記して、自分の話に置き換える。
⑤ 昨日はできたのに、今日は出てこない
→ 答えを隠して、翌日や数日後に解答を導き出す理由を自分自身に説明する。
まずは、一番困っている項目を一つ選んでください。
例えば、読んでも意味が分からない英文なら、先に単語や文の構造を確認します。その準備ができてから音声の練習に進む。これが、僕の考える「正しい順番」です。
■1.英文を読んでも意味が分からないとき
知らない単語が多いなら、まず意味を調べます。
ただ、単語の意味を並べるだけでは、文の内容がつかめないこともあります。そんなときは、「誰が・何が」「どうする・どんな状態か」を確かめてください。
例えば、次の英文です。
The book on the desk belongs to my brother.
机の上にある本は、私の兄のものです。
book、desk、brotherの意味が分かっていても、文のつながりを捉えられなければ、内容は曖昧なままです。
この文では、The bookが主語で、on the deskはどの本なのかを説明しています。そして、belongs to my brotherで「私の兄のものである」と伝えています。
長文の中でも、分からない1文をこのように確かめていきます。
ここで急いで音読の回数を増やすより、まず意味をはっきりさせてください。理解できた英文を使うことで、その後の音読でも内容を意識しやすくなります。
【練習後に確認すること】
英文を見ながら、その文が何を伝えているか、自分の言葉で説明してみてください。
日本語訳を見て「分かった」と感じても、自分で説明すると曖昧なところが見つかることがあります。そこを確認し直せば、次の練習に進めます。
■2.読めば分かるのに、聞き取れないとき
この場合は、知っている単語の「文字」と「音」が、まだ十分につながっていない可能性があります。
英語では、単語が一つずつはっきり発音されるとは限りません。前後の音がつながったり、一部が弱く発音されたりします。
練習するのは、聞き取れなかった箇所です。
① スクリプトを読み、意味を確認する。
② 文字を見ながら、その部分の音声を聞く。
③ 短く区切って、音声をまねして言う。
④ 文字を閉じ、もう一度聞く。
④まで取り組むのがポイントです。
文字を見ながら聞くと、「全部聞こえる」と感じることがあります。そこで文字を閉じてみると、どこまで耳だけで捉えられるようになったかを確認できます。
それでも難しければ、さらに短く区切って戻れば大丈夫です。1回分のリスニング問題を最初から最後まで繰り返す前に、聞けなかった1文を丁寧に復習してみてください。
【練習後に確認すること】
スクリプトを閉じた状態でも、練習した部分が聞き取れるか試します。
翌日以降も、最初は文字を見ずに聞いてみてください。聞き取れなかった箇所だけ、分かるまで文字と音声を照らし合わせます。
■3.音は聞こえるのに、意味の理解が追いつかないとき
一つの文を頭の中で日本語に訳している間に、次の文が流れてしまう。こういう場合は、英語の語順で内容を捉える練習を入れます。
例えば、次の文です。
I usually take a walk after dinner.
私は普段、夕食後に散歩します。
読むときは、
I usually / take a walk / after dinner.
私は普段 / 散歩する / 夕食後に
と、前から内容をつかんでいきます。
最初は、このように意味のまとまりを確かめても構いません。慣れてきたら、散歩している場面を思い浮かべながら、文全体を滑らかに音読します。
私は、理解した英文について、まず50回の音読を一つの目標にしています。数回読んで終わりにせず、同じ英文に繰り返し取り組んでほしいからです。
ただし、数えるだけでは十分ではありません。
・口だけが動いていないか。
・読みながら、内容もつかめているか。
・以前止まっていた部分が、滑らかになったか。
途中でこうした点を確かめてください。
【練習後に確認すること】
音声だけでも内容を追えるか試してみましょう。
慣れた英文でできるようになったら、同程度の別の英文でも理解できるかを確かめます。そこで難しく感じた部分が、次に練習する箇所です。
■4.見れば分かるのに、自分では言えないとき
先ほどの英文を、もう一度使ってみます。
I usually take a walk after dinner.
意味が分かったら、今度は英文を隠して、「私は普段、夕食後に散歩します」と英語で言ってみてください。
usuallyの位置で迷う。
「散歩する」が出てこない。
after dinnerが思い出せない。
そうなったら、その部分が練習する箇所です。
英文を確認して音読し、もう一度隠して言う。これを繰り返します。
言えるようになったら、自分の生活に合わせて一部を変えてみてください。
I usually study English after dinner.
私は普段、夕食後に英語を勉強します。
I usually watch TV after dinner.
私は普段、夕食後にテレビを見ます。
この練習なら、覚えた文を使って、自分のことを話すところまで進められます。
英作文が目標なら、見ずに書く練習も加えます。口では言えた文でも、書いてみるとスペルの間違いや単語の抜けが見つかることがあります。
私が大切にしているのは、「分かる」から「できる」へ進む、このひと手間です。
授業や解説動画で理解した後に、自分の力で言う、書く、答える時間を取ってください。
【練習後に確認すること】
見本を見ずに、自分について1文言ってみましょう。
書く練習をした方は、書き終えてから見本と比べます。間違えた部分を確認したら、翌日もう一度、何も見ずに書いてみてください。
■5.昨日はできたのに、今日は出てこないとき
覚えた直後には答えられても、時間がたつと出てこないことがあります。
そんなときは、思い出す機会を増やします。
単語なら、意味を隠して確認し、次の3つに分けてください。
○:すぐに意味が出る。
△:考えれば出る。
×:出ない、間違える。
△と×は、その日のうちにもう一度。そして翌日以降も確認します。○も数日後に、順番を変えて答えてみましょう。
「昨日は○だったけれど、今日は出なかった」という単語は、復習する範囲に戻します。
同じページを繰り返すときは、単語の位置や並び順で覚えていないかにも注意してください。ランダムに指さして答えてみるだけでも、確認の仕方が変わります。
英作文や会話表現も同じです。
練習したその日に言えたら、翌日は見本を開く前に言ってみる。そこで出てこなかった表現を、その日の復習に入れます。
【練習後に確認すること】
時間を空けても、順番を変えても答えられるかを確かめます。
その場で言えたことを確認したら、翌日や数日後にも試してください。復習する内容は、その結果を見て決めると具体的になります。
■忙しい日の20分は、こう使う
毎日まとまった時間を取れない方は、最初に「いつ勉強するか」を決めておきましょう。
朝食後、帰宅後、夕食後など、普段の生活の中に置くと始めやすくなります。
トータルで20分取れる日なら、例えば次のように使えます。
【最初の5分】
昨日練習した単語や英文を、何も見ずに確認する。
【次の10分】
今日の課題を一つ選んで練習する。聞き取れなかった1文、言えなかった表現など、範囲を絞る。
【最後の5分】
文字や答えを隠して、できるか試す。出てこなかった箇所に印をつけ、翌日の復習に回す。
これなら、机に向かってから何をするか迷わずに済みます。
もちろん、長文の精読や試験の通し練習には、別にまとまった時間が必要です。受験日などの期限がある方は、週全体で必要な学習量を確保できているかも確認してください。
■週末に使う「確認と次の行動」
週に一度、次の4つを試してみてください。できなかった項目が、そのまま翌週の課題になります。
□ 覚えた範囲から単語を40〜50語選び、順番を変えても意味を答えられるか?
出なかった単語に△・×をつけ、翌朝もう一度確認します。
□ 練習した英文を、内容を理解しながら滑らかに読めるか?
止まった箇所の意味や発音を確かめ、そこを含む1文を練習します。
□ 覚えた表現を使って、自分について1文言えるか?
言えなかった部分を見本で確認し、全文を隠して言い直します。
□ 間違えた問題を解き直し、答えの理由を説明できるか?
理由が曖昧なら解説に戻り、必要な単語や文法を確認します。
学習記録には、勉強時間やページ数と一緒に、「できるようになったこと」も一つ残しておくとよいと思います。
「昨日は出なかった10語が答えられた」
「1文だけ、自分のことを英語で言えた」
こうした記録があると、自分の進歩と、まだ練習が必要なところの両方が見えてきます。
■明日の勉強で、一つ変えてみてください
私自身、英検1級の学習でも、同じ英文を100〜150回音読していました。意味を理解した後も、滑らかに読めるようになるまで、音声だけで内容を追えるようになるまで、繰り返し取り組みました。
英語学習には、そうした地道な練習が必要です。だからこそ、せっかくつくった勉強時間を、今の自分に必要なことに使ってほしいと思っています。
今回の記事で当てはまる項目が見つかったら、明日はその練習を一つ入れてみてください。
例えば、音声を聞くだけで終えていた方は、聞き取れなかった1文をスクリプトで確認する。
解説を読んで終えていた方は、英文を隠して一度言ってみる。
その結果を見て、次の日に練習することを決めていけばよいのです。
私の講座でも、英文や問題の解説とあわせて、授業後に何を、どの順番で、どのくらい練習するかをお伝えしています。
自分ではつまずきの原因が分からない方や、勉強の進め方に迷っている方は、ぜひご相談ください。
今の英語力と目標に合わせて、次に取り組むことを一緒に整理していきましょう。
根岸貴規