単語テストでは高得点なのに、長文になると意味が取れない。単語帳を何周もしたのに、英文を読むと止まってしまう。もしそんな状態なら、単語の覚え方が「単語テストのための覚え方」になっているのかもしれません。
私は約20年、主に大学受験生を指導してきました。私自身、例文暗唱で飛躍的に英語力を伸ばして名古屋大学に合格しました。この記事では、「単語テストのための覚え方」とは何か、そこから抜け出すのに例文の暗唱がどう役立つのかをお伝えします。
「単語テストのための覚え方」とは
単語と日本語の訳語を、一語ずつ対応させて覚える方法です。英語を見て訳語を言う、訳語を見て英語を言う、という確認を繰り返します。
この覚え方は、単語テストには向いています。多くの単語テストが、一語に対して訳語を答える形式だからです。ただ、その形式で高得点が取れても、語彙力が身についたとは限りません。実際の英文で求められるのは、文脈の中で意味を判断し、適切に使う力だからです。
たとえば、run を「走る」と一語で覚えていると、He runs a small restaurant. という文で止まりやすくなります。ここでの run は「経営している」という意味で、「run + 店や事業」という形とセットで使われます。例文のまま覚えていれば、意味と形が一緒に残ります。
なぜ、長文で処理が止まりやすいのか
長文読解では、単語の意味を個別に知っているかどうか以上に、語順や構文をたどって、正確に、速く読めるかが問われます。一語ずつ訳語を当てはめる読み方では、文の構造を処理する前に、訳語を探す作業が入りやすく、読みの流れが途切れがちです。
私は、難関校ほどこの差が合否に響きやすいと考えています。私自身、一語一語を対応させて覚える方法では、長文を読むときに処理が止まりやすく、十分に機能しませんでした。例文暗唱に切り替えたところ、読みの流れが大きく改善しました。
例文で覚えると、何が変わるのか
一語ずつの対応は、思い出すときの手がかりが「その単語と訳語」の一本に限られるため、不安定になりやすいと考えられます。例文で覚えると、文脈や構文と結びつくので、思い出す手がかりが複数できます。前後の語から思い出せることもあれば、文の形から思い出せることもあります。
たとえるなら、歌詞をメロディに乗せて覚える感覚に近いものです。メロディなしで歌詞だけを口にするのは難しくても、メロディがあれば続きが自然に出てきます。単語を一語ずつ覚える方法は、メロディなしで歌詞を覚えようとするのに似ています。
また、例文を繰り返し暗唱すると、語順や構文の処理が自動化されていきます。その結果、長文を読む速さと正確さの両方が上がりやすくなります。
こんな状態になっていませんか?
単語テストでは高得点なのに、長文では意味が取れない
知っているはずの単語が、文の中に出てくると気づけない
単語テストが終わると、覚えた単語を忘れてしまう
一つの単語の複数の意味を覚えなければと、プレッシャーを感じる
当てはまるものが多いほど、覚え方を見直すタイミングかもしれません。
自分でできる例文暗唱テスト
私の講座では、DUO 3.0・DUO BASICの例文を使って、1回15分の暗唱テストを行っています。
範囲を決める。 例文つきの単語帳で、テストする範囲を決めます。
日本語訳を見て、英文を言う。 日本語訳だけを見て、対応する英文を、何も見ずに声に出します。
出来を10段階で評価して、記録する。 「言えた・言えなかった」の2択ではなく、10段階で評価すると、「ほぼ言えた」「途中で止まった」といった揺れが見えます。
評価の低い例文を優先して、次回に出す。 評価の低い例文は次回以降も優先して出題されます。全ての例文を一巡したら、評価に関係なくランダムに出題します。
続ける上で知っておきたいこと
短期間で覚えた内容は忘れやすく、前は言えた文が言えなくなる揺れは自然なことです。繰り返すなかで、少しずつ長く残るようになります。
DUOのような例文中心の教材は、文法を体系的に学ぶためのものではありません。文法は別に整理する必要があります。
語彙量の確保は大切です。ただ、その方法は、単語単体の暗記だけではありません。例文を通じて語彙を身につけることもできます。
まとめ
単語テストで高得点が取れても、語彙力が身についたとは限らない
文脈や構文と結びつけて覚えると、長文を読むときに使いやすくなる
日本語訳を見て英文を言う暗唱テストで、「覚えたつもり」を確かめる
単語テストのための覚え方から、受験が終わっても使える覚え方へ。まずは、単語帳の例文を5つ、日本語訳だけを見て言ってみてください。