「塾に通わせているのに、成績が変わらない」
「授業では『わかった』と言うのに、テストになると解けない」
保護者の方から、こうしたご相談をいただくことがよくあります。
私は約20年、主に中学生・高校生・大学受験生に教えてきました。その中で強く感じているのは、学力が伸びるかどうかは「誰に教わるか」だけでなく、「毎日どんな仕組みで勉強しているか」に大きく左右される、ということです。
この記事では、学力が伸びやすい3つの仕組みと、塾や自習室などのサポートを選ぶときに見ておきたいポイントをお伝えします。
「わかった」と「できる」は別のもの
授業や解説のあとは「わかった!」と言っていたのに、1週間後に同じ問題を出すと解けない。こんな経験はありませんか。
これは、お子さんの怠慢ではありません。「わかる」と「できる」は、別の働きだからです。
わかる:説明を聞いて「なるほど」と納得すること。受け身の状態で、時間がたつと忘れやすい
できる:自分の力で問題を解けること。自分で試して、間違えて、やり直す中で身につく
説明を聞く時間だけが増えても、「わかった」が積み重なるだけで、「できる」は増えません。伸びやすい子は、授業の外で、自分の力で問題に向き合う時間を持っていることが多いです。
学力が伸びる3つの仕組み
① 毎日の「やること」が決まっている
勉強が続かない理由で多いのは、「今日、何をやるか」が決まっていないことです。何となく問題集を開く、やる量があいまい、何から手をつけるか迷う。これでは、始める前に時間と気力を使ってしまいます。
おすすめは、前日の夜に「明日やること」を決めておくことです。
課題は3つまで。科目・範囲・量まで具体的に決める(例:数学 問題集p.30〜31の6問)
優先順位をつける。テストが近い教科や、苦手な単元を先に
終わらなかった分は、そのまま翌日に積まず、優先順位から見直す
また、同じ勉強時間でも、週に1回まとめてやるより、毎日に分けたほうが記憶に残りやすいと言われています(分散学習の効果)。1日30分でも、毎日続けるほうが力になりやすいです。
② すぐに答えを聞かず、まず自分で考える
わからない問題があったとき、すぐに先生や親に聞いて解説してもらうと、その場はスッキリします。でも、「わからなくて立ち止まり、あれこれ試して、やっと解けた」という経験こそが、本当の力になります。
とはいえ、いつまでも一人で悩み続ける必要はありません。質問する前に、次の3つを自分の言葉にしてみてください。
どこまで考えたか(何を試したか)
どこで止まったか
何がわからないのか
この3つを言葉にする作業が、そのまま考える力の練習になります。質問のしかたが上手になると、先生の説明も身につきやすくなります。
③ ミスを記録して、弱点を見つける
「なんとなく解いて、なんとなく丸つけして終わり」だと、同じミスを繰り返してしまいます。間違えた問題は、次の3つだけ記録しておきましょう。
どの問題か(教材名・問題番号)
なぜ間違えたか(知識不足/解き方がわからない/読み違い/計算ミスなど)
次はどうするか(例:計算の最後に、符号を見直す)
記録がたまると、「自分はこの種類のミスが多い」という弱点のパターンが見えてきます。感覚ではなく、記録をもとに勉強を見直せるようになります。
塾や自習室を選ぶときの3つのチェックポイント
個別指導や家庭教師にも、それぞれの良さがあります。教えてもらう時間が役に立つ場面は、たくさんあります。ただ、サポートを選ぶときは「通っているから安心」ではなく、次の3点を見ておくと、お子さんに合うかどうかを判断しやすくなります。
ポイント1:サポートがない日も、自分で進められているか
先生がいる日は進むのに、一人になると止まってしまう。その状態が続いているなら、サポートの形を見直すタイミングかもしれません。サポートの目的は、いずれ「自分でできる」に近づくことです。
ポイント2:量や回数を、お子さんの状況に合わせて調整できるか
お子さんの状態は、週ごとに変わります。テスト前は増やしたい、部活や行事で忙しい週は減らしたい。そうした変化に合わせて、回数や内容を変えられるかを、契約前に確認しておくと安心です。
ポイント3:授業の時間だけでなく、毎日の勉強まで見ているか
授業のない日に何をやるか、何をどの順番で復習するか。ここまで設計されているかで、結果は大きく変わります。授業の時間は、1週間のうちのほんの一部だからです。
私が取り組んでいること
私はこの考え方にもとづいて、次のような形で運営・開発をしています。
講師待機型オンライン自習室:生徒さんが自分で勉強を進め、講師は待機して、必要なときだけ質問に答えます
DAiLY WORK:忘却曲線にもとづいて、毎日取り組む課題を管理するしくみ(アプリ版)
MiSLOG:間違えた問題を記録し、間隔反復法をもとに復習させるしくみ
くわしい内容は、この記事の下のおすすめサービスをご覧ください。
まとめ:「通っている安心」から「できる問題が増えているか」へ
最後に、一つだけ問いかけさせてください。
今使っている塾やサービスは、お子さんを「自分で勉強できる人」に近づけているでしょうか。
もし答えに迷うなら、まずは今日、「明日やること」を3つ決めるところから始めてみてください。わからない問題が出たら、質問する前に「どこまで考えたか」を一言添える。ミスは3行で記録する。小さな仕組みの積み重ねが、「できる」を増やしていきます。