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『仕事がめっちゃできるけど、性格の悪い社員』その人のせいで、何人の優秀な人材を失いましたか?

『仕事がめっちゃできるけど、性格の悪い社員』その人のせいで、何人の優秀な人材を失いましたか?

中小企業の経営者、管理職の皆さん。
どの企業にも仕事がめっちゃできる人っていますよね?
技術が高く、納期は必ず守る、数字も上げる。
それはあなた自身かもしれない。

しかし、その人(あなた自身かも)の部下の評判はどうでしょうか?
『〇〇さん、めっちゃ仕事できますけど、苦手です』
『会議でも横柄で怖いからみんなが委縮する』
『実績も実力もあるから、誰も反論できない』

こんな声が聞こえてきたら、あたなはどう思いますか?
『〇〇がいないと現場が回らなくなる』

こう思っているなら組織崩壊の危険信号です!

私はコンサルタントという立場から、様々な企業の現場の方々と面談してきました。
『仕事はめっちゃできるけど、嫌な人』がもたらす弊害をいくつも見てきました。
そこで感じた事や気付いた事をこの記事にまとめ、読んでくれた方への気付きになればと思っています。   ぜひ最後まで読んでください。

そして、1人でも「〇〇の事か」と思い当れば、その人への対応を考え直してください。

先に結論から言うと『外すべき人を、外す勇気がない』からどんどん人が辞めていく。


目次

  1. ブリリアントジャークとは何か

  2. 「優秀さ」の定義が、狭すぎる

  3. データが示す、驚きの事実

  4. ブリリアントジャークの3つの特徴

  5. なぜ中小製造業で特に問題になるのか

  6. 「属人化」が、彼らを守る盾になる

  7. 「言えない文化」が、問題を深める

  8. 「うちの会社は大丈夫」という錯覚

  9. 見えていない本当のコスト

  10. 辞めるのは「弱い人間」ではない

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私は15年間、食品製造業の管理職として約180名のスタッフと向き合ってきました。
そして今、中小製造業に特化したAI活用・人材育成コンサルタントとして、各地の現場を見て回っています。

その経験の中で、はっきり言います。

「あの人がいないと回らない」と思っている会社ほど、静かに人材が流出している。

辞めていくのは、決して仕事ができない人間だけではありません。
むしろ逆です。  繊細で、誠実で、周囲への気配りができる——本当に次世代のリーダー候補になりうる人間から、先に辞めていく。

彼らは辞める理由を、正直には言いません。
表面的には「一身上の都合」「家庭の事情」「体調不良」

本音は「人間関係」「〇〇さんが苦手」「〇〇さんと一緒には仕事できない」


「ブリリアントジャーク(Brilliant Jerk)」という言葉をご存知ですか?直訳すると、優秀だけど嫌な奴。

Netflixの企業文化を示すドキュメントの中に、こう明記しています。

"No Brilliant Jerks."
”どれだけ結果を出しても、嫌なヤツは要らない”

世界トップクラスの企業が、そう宣言している。
では、あなたの会社はどうだろうか。


ブリリアントジャークとは何か

「仕事ができる」と「チームに貢献している」は別の話

「仕事ができる人間」の定義を、あなたはどう言語化していますか?

納期を守る。数字を出す。技術が高い。
多くの中小製造業の現場では、この3つが揃っていれば「できる社員」と呼ばれます。

けど、それ(だけで)本当に正しい評価基準なのでしょうか?


「優秀さ」の定義が、狭すぎる

ブリリアントジャーク(Brilliant Jerk)とは、個人としての成果は出すが、
周囲への悪影響によってチーム全体のパフォーマンスを下げる人物のこと
。

彼らは「個人では」結果を出しているという点。

だから経営者も上司も、目をつぶる。
「多少、口が悪いのは仕方ない」
「あの強引さがあるから数字が取れるんだ」
「繊細な若手が弱いだけだ」

こうして、問題は先送りにされる。

しかし、ここに根本的な錯覚がある。


チームの成果を下げている人間は、本当に「優秀」と呼べますか?

個人の成績がいくら良くても、その人がいることで会議の質が下がり、部下が萎縮し、新しいアイデアが出なくなるなら——会社全体では「マイナス」の存在になっている可能性が高い。

(ここまで読んでみて「あれ?彼(彼女)の事か?」と思えているあなたは優秀です!)

データが示す、驚きの事実

アメリカの研究者マイケル・ハウスマンらの研究によると、こんな結果が出ている。

スーパースターを1人採用するより、
有害な社員の採用・昇進を1件回避する方が、
業績への貢献度が約2倍高い。

つまり、どれだけ優秀な人材を獲得するより、どれだけ有害な人材を排除できるかの方が、組織の成果に直結するということです。

これを聞いて、あなたはどう思いますか?

「そんなはずはない」と感じるなら、
それがすでに「ブリリアントジャークに慣れた組織」のサインかもしれません。


ブリリアントジャークの3つの特徴

私が現場で見てきた経験から、ブリリアントジャークには共通した特徴があります。

① 自分が正しいという確信が揺るがない
 反論されると感情的になる。自分のやり方以外を認めない。
「俺のやり方で結果が出ているんだから問題ない」が口癖になる。

② 周囲の萎縮に気づかない、あるいは気にしない
 会議で誰も発言しなくなっても、「まとまった、効率的だ」と解釈する。
 自分の発言が場を支配していることを、問題だと思っていない。

③ 自分への評価と他者への評価の基準がずれている
 自分のミスは「状況のせい」、他者のミスは「能力のせい」にする。
 この非対称な評価が、じわじわと周囲の信頼を削っていく。

「仕事ができる」と「チームに貢献している」は、まったく別の能力です。

そして、後者なき前者は——組織にとって、毒になります。
「ブリリアントジャークに慣れた組織」は毒に慣れた組織です。


なぜ中小製造業で特に問題になるのか

「あの人がいないと回らない」という呪縛

中小製造業の現場には、独特の空気がある。

「長く勤めた人が偉い」
「黙って結果を出す人間が信頼される」
「文句を言わずについてくるのが美徳だ」

この文化自体が悪いわけではありません。
ものづくりの現場には、経験と継続から生まれる技術がある。
それは本物だし、尊重されるべきだと、敬意を持って接するべきです。

しかし、この文化が「ブリリアントジャークの温床」
になりやすい構造になっている事も意識してください。


「属人化」が、彼らを守る盾になる

中小製造業の最大の弱点のひとつが、属人化。

特定の社員だけが知っている段取り。
その人しかできないライン調整。
長年の勘と経験で回している品質保持。

こうした属人化が進んだ現場では、「あの人がいないと回らない」が本当に成立してしまう。

だから経営者は強く言えない。
上司も見て見ぬふりをする。
人事も動けない。

そして本人は、それをわかっている。 それを利用している人も一定数存在する。

「自分がいないとダメだ」という自覚が、横柄な態度をさらに加速させる。

これが、中小製造業においてブリリアントジャークが特に長く生き残る構造的な理由。


「言えない文化」が、問題を深める

もうひとつの要因が、発言しにくい職場文化。

製造業の現場では、上下関係が明確なことが多い。
それ自体は規律として機能する面もある。

しかし裏を返せば「おかしい」と思っても言い出せない雰囲気が生まれやすい。

部下がブリリアントジャークの言動に傷ついても、誰かに相談できない。
相談しても「あの人はああいう人だから」で終わる。  人事に訴えても「でも結果出してるから」と流される。

こうして問題は、表に出ないまま積み重なっていく。

そして誰かの辞表が出たとき、初めて経営者は気づく。
「なんで辞めるんだ?」と。

気づいたときには、もう遅い。
あなたの未来にいるはずの頼れる社員の心は戻ってきません。


「うちの会社は大丈夫」という錯覚

ここで真剣に聞かせてください。

あなたの会社で、こんなことは起きていませんか_

  • 特定の上司がいる会議だけ、発言が極端に少ない。

  • (同上)若しくは、会議で発言自体が少ない。

  • 優秀だと思っていた若手が、突然辞めていった

  • 「なぜ辞めるのか」を聞いても、本音を教えてもらえなかった

  • 「あの部署だけ」なぜか離職率が高い

ひとつでも思い当たるなら、すでにブリリアントジャーク問題が起きている可能性があります。

中小製造業の経営者と話していると、「うちの社員は言いたいことを言える雰囲気だと思う」という声をよく聞きます。

しかし現場の社員に同じことを聞くと、答えが全然違います。

「言えるわけがない」「言っても無駄」「何も変わらないから疲れた」

この認識のギャップこそが、問題が見えない最大の理由です。

「あの人がいないと回らない」は事実かもしれません。

しかしそれは、解決すべき属人化という別の問題であって、横柄な態度を許す理由にはならない。

会社の都合で人を縛り、その人の振る舞いで他の人材を失っているなら、それは経営判断のミスです。


見えていない本当のコスト

辞めていった"名前のない優秀な人材"の話

「離職率が上がっている」

この数字を見て、多くの経営者はこう考えるハズ。

「採用を強化しよう」
「給与を見直そう」
「福利厚生を充実させよう」

しかし、本当に見るべき方向は違う。

なぜ、辞めているのか。


辞めるのは「弱い人間」ではない

ブリリアントジャークがいる職場で、最初に辞めていくのはどんな人間か。

気が弱い人間だろうか。
仕事ができない人間だろうか。

違います。

最初に辞めるのは、繊細で、誠実で、周囲への気配りができる人間。

彼らは感受性が高いからこそ、職場の空気の異常に早く気づく。
誠実だからこそ、横柄な振る舞いに対して強い違和感を覚える。
気配りができるからこそ、その環境に消耗するスピードが速い。

そして、そういう人間は転職市場でも引く手は多い。

辞める決断が、誰より早くできる。

気づけば、次のリーダー候補になり得た人材が、静かにいなくなっている。
残るのは、その環境に耐性のある人間か、同じ価値観を持つ人間だけ。


「1人の離職」に隠された本当のコスト

採用コスト目をむけてみましょう。

中途採用にかかるコストは、一般的に年収の20〜30%と言われています。
月給30万円の社員なら、採用だけで70〜90万円。

しかしそれは、そんな簡単に計算させません。

離職によって発生する本当のコストは、こう考えます。

  • 採用費用:求人媒体、エージェント手数料

  • 教育コスト:新人が戦力になるまでの時間と工数

  • 引き継ぎロス:業務の属人化による情報断絶

  • 既存メンバーへの負荷増:穴埋めによる残業・疲弊

  • モチベーション低下:「またか」という職場全体の空気

人が1人辞めるたびに、数百万円単位のコストが発生している。

そして、ブリリアントジャークが1人いる組織では、これが繰り返される。

1年に1人辞めるとして、5年で5人。
5年で5人の優秀な人材を失い、5回の採用コストを払い、5回の教育をやり直す。

それでも「あの人は結果を出しているから」と言えるだろうか。
しっかり考え直すべきです。


数字に出ない、もうひとつのコスト

離職コストは、まだ数字にできる。

もっと怖いのは、数字に出ないコスト。

ブリリアントジャークが1人いる会議を想像してみてください。

5人のメンバーが出席している。
しかし実質的に発言するのは、その1人だけ。
残り4人は黙って「はい」とだけ答えている。

このとき、会社は何を失っているのでしょう?

・4人分のアイデア
・4人分の視点
・4人分の改善提案

それが毎週、毎月、毎年・・・と積み重なっていく。

「言えなかった言葉」の総量が、会社の成長機会の損失になっている。

この数字は、貸借対照表には載りません。 だから経営者は気づかない。
気づいたときには、競合他社との組織力の差が開いている。


「我慢してくれている社員」への負債

今この瞬間も、あなたの会社でブリリアントジャークに耐えながら働いている社員がいるはずです。

辞めずに残ってくれている。
文句も言わずに、働いてくれている。

それは、忠誠心なのか。
それとも、他に選択肢がないからなのか。

もし後者なら、その社員が選択肢を手に入れた瞬間、会社を去ります。

今の労働市場は、10年前とは全く違います。
転職は珍しくない。 副業も増えた。フリーランスという選択肢もある。

「我慢してくれている社員」への負債は、静かに確実に積み上がっています。

コストは見えているものだけではありません。

むしろ、本当に怖いコストは、誰も気づかないうちに失われていくものの中にあると考えます。


ブリリアントジャークが再生産される悪しき文化

ブリリアントジャークは、ブリリアントジャークを育てる

ここまで読んで、こう思った経営者がいるかもしれない。

「うちのあの人は、確かに口は悪い。でも、部下もちゃんとついていっているし、チームとして結果も出ている。だから大丈夫だ」 その判断、ちょっと考え直してください。

「耐えられた人間」だけが残る

ブリリアントジャークのいる職場では、繊細で誠実な人材から先に辞めていく。

では、残った人間はどうなるか。

大きく分けて、3つのパターンがあります。

パターン①:麻痺する
横柄な態度を「普通のこと」として受け入れ、感覚が麻痺していく。「この業界はこういうものだ」「製造業の現場はこれが普通だ」と思い込む。

パターン②:同化する
生き残るために、ブリリアントジャークの価値観や振る舞いを学習していく。強く言えば通る。弱い立場の人間には強く出ていい。いつの間にか、自分も同じことをするようになる。

パターン③:諦める
辞めることも同化することもできず、ただ消耗しながら働き続ける。仕事への意欲を失い、言われたことだけをこなすようになる。

どのパターンが残っても、組織にとっては損失です。

しかし最も深刻なのは、パターン②。

「悪しき文化」はこうして継承される

パターン②の社員が、やがて管理職になる。

そして彼らは、自分が育てられた方法で部下を育てようとする。

強く言えば動く
怒鳴れば従う
萎縮させれば余計なことを言わなくなる

これで「部署が機能する」と体で覚えてしまっているから、他のやり方を知らない。

こうして、ブリリアントジャークは次世代のブリリアントジャークを生み出す。

1人のブリリアントジャークが、3年後に3人になり、5年後は5人になる。

これが「ブリリアントジャークの再生産」の構造です。

気づいたときには、職場全体の文化がそれで染まっている。
新しく入ってきた社員も、「この会社はこういうものだ」と思って適応するか、早々に辞めていくかのどちらかになります。


「カイゼン文化」が壊れる

製造業の現場には、本来「カイゼン」の文化がある。

現場の小さな気づきを拾い上げ、プロセスを改善していく。
この積み重ねが、品質と生産性を高める。

しかしブリリアントジャークがいる職場では、このカイゼン文化が機能しなくなる。

カイゼンは、「言える文化」がなければ成立しないからです。

「ここ、おかしくないですか?」
「こうしたら効率が上がると思うんですが」
「前回のトラブル、原因はここじゃないかと思って」

こういう発言が出るのは、心理的安全性がある職場です。

萎縮した現場では、誰も口を開かない。
問題に気づいても、黙っている。
改善のアイデアがあっても、言わない。

ブリリアントジャークは、製造業の根幹にあるカイゼン文化を静かに潰している。


「うちは大丈夫」が一番危ない

再生産の怖さは、進行がゆっくりであることだ。

1年目は気づかない。
3年目に「なんか雰囲気が変わったな」と感じる。
5年目に「なんで若手が全然育たないんだ」と頭を抱える。
10年目に「気づいたら古株しかいない」という現実に直面する。

そのとき、問題の根っこがブリリアントジャークの再生産にあったと気づいても、文化を変えるには、また数年かかる。

「今のあなたの会社の10年後」は、今の文化の延長線上にあります。

・今の管理職が、どんな言葉で部下に接しているか。
・今の会議で、どんな人間が発言を支配しているか。
・今の職場で、誰が萎縮し、誰が声を上げられないでいるか。

その「今」が、10年後の組織をつくっている事を知ってください。


対処法 「損得」ではなく「善悪」で動かす

上司への訴えかけ方の実践

ここまで読んで、こう思った人がいるかもしれない。

「わかった。でも、具体的にどうすれば?」立場別に分けて考えてみましょう。

  • 部下・同僚の立場でブリリアントジャークに困っている人

  • 経営者・管理職の立場で判断を迫られている人

どちらにも、明確な指針があります。

部下・同僚の立場から:改心させようとするな

同僚や部下の立場で、ブリリアントジャークを改心させようとするのは、ほぼ不可能です。

「話せばわかってくれるはず」
「自分が歩み寄れば変わるかもしれない」
「もう少し様子を見よう」

この考え方は、あなた自身を消耗させるだけ。

彼らの多くは、自分の振る舞いが問題だという認識がそもそもない。周りが困っている様子が見えていないか、見えていても気にしていない。そういう人間は、個人の働きかけでは変わらない。

では、何をすべきか。

証拠を押さえて、人事や上位の管理職に報告する。

ただし、報告の「やり方」が極めて重要。

「損得」で訴えるな。「善悪」で動かす

多くの人が、こう訴える。

「あの人がいると、チームの雰囲気が悪くなります」
「あの人のせいで、メンバーのモチベーションが下がっています」
「このままだと、売上に影響が出ると思います」

これは全部、損得の言語。

損得で訴えると、経営者や上司はこう計算する。

「でも今、彼を外したら売上が下がるリスクの方が大きい」
「雰囲気が悪いのは、メンバー側にも問題があるのでは」
「もう少し様子を見よう」

結果、何も動かない。。。

では、どう訴えるか。

「善悪」と「企業理念」で問いかける。

具体的な訴えかけの言葉

たとえば、こう言う。

「我が社は経営理念として『誠実性』を掲げています。しかし、○○さんの言動は、その理念と明らかに矛盾しています。誠実性を欠いた行動を繰り返す人物を重用することは、会社として正しい判断なのでしょうか」

ポイントは3つ。

① 会社の理念・価値観を引用する
「損得」ではなく「この会社が大切にしていること」を基準にする。経営者が自分で掲げた言葉で問いかけられると、無視しにくくなる。

② 具体的な事実を記録しておく
「なんとなく雰囲気が悪い」では動かない。いつ、どこで、誰に対して、どんな言動があったかを記録しておく。感情ではなく、事実で語る。

③ 「会社の判断」として問う
「私が困っています」ではなく、「会社としてこれを許容するのか」という問いにする。個人の感情論ではなく、組織の意思決定の問題として提起する。


経営者・管理職の立場から:「ナタを振る」勇気を持つ

次に、経営者・管理職の立場で考える。

部下からの報告を受けた。あるいは自分でも気づいていた。
それでも動けずにいるなら、その理由は、おそらくこのどれか。

「今外したら現場が止まる」
「本人と揉めたくない」
「証拠が不十分で、角が立つのが怖い」

気持ちはわかります。
しかし、ここで動けない経営者が、前途の「再生産の構造」を許してしまいます。

外すべき人を外さないことが、最大のリスクだ。

「マネージャーから外す」という選択肢

ブリリアントジャークへの対処は、必ずしも「解雇」である必要はありません。
次のステップを踏めばちゃんと順番を追って手続きができます。

ステップ① フィードバックを明確に伝える
「あなたのこの言動が、チームに悪影響を与えている」と、具体的な事実とともに本人に伝える。曖昧な表現は避ける。「もう少し気をつけてほしい」では伝わらない。

ステップ② 改善の機会を与える
期限を設けて、具体的な行動変容を求める。「3ヶ月間、この基準で行動してほしい」と明示する。

ステップ③ 改善がなければ、マネージャーから外す
「あなたはマネージャーには向いていなかった。専門職として力を発揮してください」と伝える。これは降格ではなく、適材適所の判断。

メタ認知がバグっている人には、別の対応を

ただし、ひとつ注意があります。

ブリリアントジャークにも、グラデーションがある。

「本当に事業を成功させたいがために、結果的にそういう振る舞いになっていた」という人は、フィードバックを受けて変われる可能性がある。自分の行動を客観的に捉え直し、「確かに間違っていた」と認められる人。

しかし、自分をメタで捉え直すことが全くできない人がいます。

・周りが困っていても見えない。
・自分が間違っていると一切認められない。
・誰の意見も聞き入れない。

こういう人に対しては、フィードバックも改善機会も機能しません。

この場合は、段階を踏まずに即座にマネージャーから外す判断が必要。

「勇気がない」ではなく、「外さないことが組織への背任」と認識を変えてほしい。

対処法は、シンプル。

部下・同僚なら——損得ではなく、善悪で訴える。
経営者・管理職なら——外すべき人を、外す。

言葉を変えれば、組織は動く。
判断を変えれば、文化が変わる。


そもそもブリリアントジャークを生み出さないために

採用・昇進基準に「誠実性」を組み込む

ここまで読んできた経営者の中には、こう思った人がいるかもしれません。

「そもそも最初からいなければいい話」
その通り!

ブリリアントジャークへの最善の対処法は、最初から組織に入れないこと、そして育てないこと。


「誠実性」を経営哲学の中心に置く

根本的な話。

ブリリアントジャークが生まれ、生き残り、再生産される組織には、共通した特徴があります。

「結果さえ出せばいい」が、暗黙の最優先価値になっている。

この価値観が組織に蔓延すると、評価基準が歪む。
数字を出した人間が正義になる。
プロセスや、そこに至るまでの周囲への影響は、評価されなくなる。

これを変えるには、経営のトップが「誠実性」を明示的に最優先価値として掲げる必要がある。

掲げるだけでは不十分。

「誠実性を欠いた行動を取ったなら、たとえ結果を出していても評価を下げる」という運用が伴って、初めて機能する。

言葉だけの理念は、現場には届かない。
評価制度と連動して、初めて本気だと伝わる。
この評価を下げる事が意外とできていない。


採用面接で「誠実性」を見抜く

採用の段階で、ブリリアントジャークを見抜くことはできるか?

完全には難しいです。
しかし、いくつかの問いかけが有効です。

「過去に、自分の判断が間違っていたと気づいた経験を教えてください」
自分のミスを認められるか。
そこから何を学んだか。メタ認知の有無が見えます。

「チームで成果を出した経験を教えてください。その中で、あなたはどんな役割でしたか」
「私が」ばかりで語る人間は要注意だ。
チームへの貢献と、他者への感謝が自然に出てくるかを見る。

「一緒に働きたくないと思ったのは、どんな人ですか」
他者への批判の中に、その人自身の価値観が出る。
攻撃的な言葉が多い場合は注意が必要だ。

ただし、面接だけでは限界があります。
だからこそ、試用期間中の観察が重要です。

数字や技術力ではなく、こんな場面を見てください。

  • ミスをしたとき、どう対処するか

  • 自分より立場の弱い人間への接し方

  • 意見が通らなかったときの反応

  • 誰も見ていないときの言動

「誰も見ていないときにどう振る舞うか」が、その人の本質。


昇進基準に「人間性」を明示する

多くの中小製造業では、昇進の基準が曖昧だったりします。

「長く勤めているから」
「数字を出しているから」
「声が大きいから」

これでは、ブリリアントジャークが自然と上に上がっていく構造です。

昇進基準を、こう明文化してください。

【例】
技術・成果(50%)+ チームへの貢献・人材育成(30%)+ 誠実性・価値観の体現(20%)

数字は一例だが、重要なのは「人間性と誠実性」が昇進基準に明示的に含まれること。

「結果だけで上がれる」という構造を変えない限り、ブリリアントジャークは再生産され続けます。


リーダーを選ぶ基準:「公的権力観」を持つ人間か

最後に、最も根本的な問いを投げかけたい。

あなたの会社のリーダーは、なぜ権力を持ちたいのか。

権力には、2つの向き方があります。

◆私的権力観:
「自分の意見を通したい」「自分が認められたい」「自分が得をしたい」から権力を求める。

◆公的権力観:
「チームのために」「会社のために」「社会のために」権力を使おうとする。

ブリリアントジャークの多くは、私的権力観を持っている。
だから権力を得ると、それを自分のために使う。
部下を萎縮させ、意見を封じ、自分の判断だけで動こうとする。

リーダーを選ぶとき、この問いを必ず持ってほしい。

「この人は、誰のために権力を使おうとしているか」

肩書きや実績だけで判断せず、その人の「権力への向き合い方」を見る。
それが、ブリリアントジャークをリーダーにしないための、最も本質的な基準。

採用で防ぎ、評価で抑制し、昇進基準で弾く。

この3つが揃って、初めて「ブリリアントジャークが生まれにくい組織」になります。

しかしその前提として、経営トップが「誠実性」を本気で最優先価値として掲げているかどうか。  すべては、そこから始まります。

言葉の解像度が上がると、組織は動き出す。
採用基準の言葉、評価基準の言葉、理念の言葉。
その言葉が曖昧なままである限り、組織は変わらない。


おわりに

「外す勇気」が、組織の未来を決める

最後まで読んでくれてありがとうございます。

この記事を読みながら、頭の中に「思い当たる顔」が浮かぶ人がいたでしょうか?

あの会議で、空気を支配している人物。
あの部署で、誰も逆らえない存在。
「あの人がいないと回らない」と、自分が言い訳に使ってきた名前。

浮かんだなら、それが今日から変えるべき問題です。

「外す勇気」は、冷酷さではない

「外す」という言葉は、冷たく聞こえるかもしれない。
しかし私はこう思っています。

本当に冷酷なのは、問題を見て見ぬふりをし続けることだ。

ブリリアントジャークに耐えながら、今日も現場に立っている社員がいる。
声を上げられずに、静かに消耗している人間がいる。
「この会社はこういうものだ」と諦めながら、それでも踏みとどまっている人材がいる。

その人たちを守らないことの方が、よほど冷酷。

「外す勇気」は、一人を切り捨てることではありません。
その一人の影響で苦しんでいる、多くの人間を守る決断。

組織は、言葉でできている

15年間、製造業の現場で管理職として働いてきた。
そして今、各地の中小企業の現場を見て回っている。

その経験から、確信していることがひとつあります。

組織の質は、そこで使われている言葉の質で決まる。

経営者がどんな言葉で理念を語るか。
管理職がどんな言葉で部下に接するか。
会議でどんな言葉が飛び交うか。

ブリリアントジャークがいる職場では、言葉が武器になる。
萎縮させるための言葉。封じるための言葉。支配するための言葉。

しかし本来、言葉は人を動かすためにある。
鼓舞するための言葉。引き出すための言葉。つなぐための言葉。

言葉の解像度が上がると、組織は動き出す。

採用基準の言葉を明確にする。
評価基準の言葉を具体化する。
理念の言葉を、行動と連動させる。

その積み重ねが、ブリリアントジャークが生まれにくい組織をつくる。

最後に、一つだけ

この記事を読んで、「うちの会社を変えたい」と思ったなら、1つだけやってほしいことがあります。

今週の会議を、観察してほしい。

誰が発言しているか。
誰が黙っているか。
誰かが発言したとき、場の空気はどう変わるか。

その「観察」が、すべての出発点です。

問題は、気づかれないうちに進行する。
しかし気づいた瞬間から、変えることができる。

あなたの会社の10年後は、今日の判断でつくられる。

「あの人がいないと回らない」という言葉を、
言い訳にしない経営者が、本当に強い組織をつくる。


私個人の意見はブリリアントジャークを許すな! です。
勇気を持って、対応すべきです。
この人材難、採用難の時代に求められる変化だと考えています。

私の大切にしている言葉を共有してもらえると嬉しいです。

人を動かすのは、言葉。
組織を変えるのは、勇気ある判断。
そしてその両方を持つリーダーが、次の時代の製造業を引っ張っていく。

人は1年で出来る事を過大評価するが、
10年で出来る事は過小評価する。


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この記事を書いた先生
樋口 かんじ ゴールドバッジ
組織OSプロデューサー|言語化の解像度を上げる人
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🏆ストアカ講師・満足度 4.98 継続中! ▶元・13部署をマネジメントした管理職経験者 自分の強みは13部署をマネジメントした経験を活かし、「誰もが積極的に行動できる社会を作る」事が目標です。  考え過ぎて動けないの正体の多くは、言葉の解像度が低い事と、自分への問いの質…

樋口 かんじ