日本全国の中小企業の経営者、後継者の皆様。
私から事業承継についてお話させてください。
この記事は主に会社を現在の経営者様から、後継者様へ引き継ぐ場面の両方の気持ちを代弁している内容になっています。 経営者様は後継者の立場に立って、後継者様は現在の経営者様の立場に立って読んでもらえると効果的だと思います。また、この記事のゴールは事業承継を完了する事が目的ではありません。 事業継承を通して会社がより良い方向に向かうように、今の経営者様と後継者様が相互理解をするためのきっかけになれば嬉しいです。
かくいう私は親族内継承の”後継者”という身分ながら、社長(父親)との確執を作ってしまい、事業継承に失敗して退職しました。 原因となったのは私が社長の想いの理解不足だったと反省しています。
私の失敗したからこそ見える問題点と、これまでの様々な企業を見てきたコンサルタントとして活動を通して見えた、「事業承継のその先」が議論されていない事を問題提起させてください。
後継者の方も、日々 一生懸命に社長から提示される課題や方針をこなして、社内で一番働いていると思います。 めっちゃ頑張っています。
だからこそ、事業承継について視野が狭くなっていませんか?
誰かに相談したいですよね?
目次
事業承継の現状を数字で見る
事業承継の3つの型
現・経営者の立場の方の気持ち
◆『俺(経営者様)の合格点にはまだ遠く及ばない』
「あなたを支えてくれた古参社員全員が、後継者の優秀な社員にはらない」
後継者の気持ちを考えてみる
未来の経営理念を一緒に考える
なぜ、事業継承で経営理念を見直す必要があるのか?
企業理念の見直しについての提案
最後に
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事業承継の現状を数字で見る
まずは数字で『事業承継』の全体像をイメージしてみましょう。
◆全国 約27万社を対象にした調査◆
⇨ 後継者がいない、未定と回答した企業
13.8 万社(50.1%)
帝国データバンク調べ
これは帝国データバンクが2025年に調査したデータです。
数字だけ見ると50%の企業が決まってないの? と思うかもしれませんが、実は 同社が照査した2017年のピークより、16.4ポイントも改善しています。
改善の背景
- 官民の事業承継相談窓口の設置と普及
- 自治体・地域金融機関・M&A仲介業者による啓発活動の浸透
- 副業・兼業やセカンドキャリアとしての事業継承によるハードルの低下
- 事業継承税制の活用などの、継承を促進する制度の整備
国も事業承継の後押しをする動きがあり、とても良い事です。
何より90%以上が中小企業という日本国内で、
後継者不在の廃業となると、地域の雇用や税収が減る事になり、どんどん過疎化し、国の経済力の低下になる。 この事から、私は地域の中小企業の事業継承がうまく進んで欲しいと願っています。
事業承継の3つの型

事業継承の主な3つの型
※この記事を読んでいる方には説明は不要と思います。
キーワードは『脱ファミリー化』
2025年の代表者が交代した経緯を調べると、内部昇格 36.1%、同族継承 32.3%、M&A 20.6% となり、血縁にこだわらず適任者を選ぶ「脱ファミリー化」の段階になりました。
この背景は不確実性(VUCA)の俯瞰から親族内での継承を不安に感じ、
後継者候補に経験豊富(ベテラン)な人材を社内外から選任したい志向が強いと考えます。
私の場合は『親族内継承』の型でしたが、冒頭にも書いた通り、失敗しました。 話が長くなるので、詳細にはお話ししませんが、私の父親(社長)の想いの理解不足です。
私がこの記事で本当にお伝えしたいのは、『親族内継承』での私が経験した内容と、事業継承より先の未来の事です。 会社で沢山の問題が山積みとなっているうえで、お互いに対する不満が「ちゃんと語り合う」事が出来なくなっているように感じます。
これは非常にもったいない!
ちゃんと話して、お互いに気付きを得て、より良い未来へ向け進む事の方が上手くいく気がしませんか?
次のセクションを相互理解をするためのきっかけにしましょう
現・経営者の立場の方の気持ち
今の時点で子どもや親族に事業継承しようとしている社長。
大変お疲れ様です。
あなたが感じている不安や気苦労、私にも分かります。
これまでに経営者であるあなたが、会社を大きくしようと苦労して、問題を1つ1つ、社員と一緒に乗り越えて、たどり着いた今の会社の形、ちゃんと引き継ぎたいですよね。
そんな気持ちを知らぬのか後継者(息子)は、
不採算事業を辞める事を提案、人員を整理する提案、少し強引な新部署設立等など、面倒な事ばかり言って、『何も分かっとらーーーーん!』と言いたいでしょう。
めっちゃ分かります!
これまでに様々な苦難を乗り越えた経営者様の目から後継者は”まだまだ”と映るでしょう。
それが自分の子どもならなおさらです。
「俺の目が黒いうちは、認めるまでやらせん」と思っているハズです。
(実際に私は常に言われていました)
経営者が後継者に対して不足(不満に思っている)している思っている事
- 経営者としての「覚悟」に対する疑念
- 実務能力と経験不足の歯がゆさ
- 古参社員への軋轢への不安 等など
まだまだ沢山の不安があると思いますが、主な不安の出発点は経営者自身の感情によるものが大きいと考えます。
◆『俺(経営者様)の合格点にはまだ遠く及ばない』
これ、言われた(言った)事あるんじゃないですか?
私はめっちゃありますw
社長(父親)もこの思いが積もりに積もって、「だからお前はダメなんだ!」「お前なんていなくていい!」なんて会社のオフィス中が静まりかえるような怒声を浴びていました。
当事者同士もそうだし、聞いている社員さん達もめっちゃしんどいですよね?
1回、2回ならまだいいけど、さすがに月イチペースで言われるのはキツい・・(これで精神的に参ってしまい、退職を決意しました)
もし、私がこの事を客観的に第三者目線で見た時に、経営者様と後継者(あなた)にどんな言葉をかけるか考えてみました。
◆経営者様にかける言葉
後継者の方は何をやっても危なっかしいし、不足しているって思いますよね! そして、つい口を挟んでしまう。めっちゃ分かります。
でも、満足している点に目を向けてみたらどうですか?
〇後継者(あなた)にかける言葉
いやー、毎回あんな感じで怒られるなんてしんどいですよね。
社長はあなたが心配しているんですよ。 それが強くなっているだけ。
1つずつ応えていくしかないですよね。
こう見ると、後継者側の言葉には救いがない事に気付きます。
そうなんです。 会社を引き継ぐってこれ以上の覚悟が必要なんです。
これだけは言わせてください。
しかし、経営者側の方も「あとに引けない感」があるのも分かりますよね?
言い換えると「ここで緩めるわけにはイカン!」という気持ち。
では、経営者の感情にフォーカスして私(第三者)の目線で経営者様に質問します。
あなたの目指している合格点は何点ですか?
※後継者の方も相手の立場に立って考えてみてください
これ、明確に答えられますか?
例えば⇩⇩⇩
- 経営者としての覚悟点
- 古参社員を大切にする点
- 執務態度の点
などなど、あなたの不安や疑念は多岐に渡り、この他にも、財務会計、営業スキル、対金融機関との交渉力など、挙げたらキリがない。
そう、キリがないんです!
つまり、永遠に終わらない。
言い換えると、「俺の合格点に達する日」は来ません。
この事を踏まえて、もう1つ質問。
『経営者様は自分のコピーを作りたいのですか?』
※もし答えがYESなら、あなたが後継者に求めている事は正しい。
いつか後継者様があなたの合格点に達する事をお祈り申し上げます
答えはNO(のはず)です。
部分的に近い事を思っていたとしても、答えはNOであるべきです。
後継者の人生もありますから。
※後継者の人生って考えた事ありますか?
「あなたを支えてくれた古参社員全員が、後継者の優秀な社員にはらない」
(これについて、私はとても苦労しました)
今も会社を支えてくれている先輩(古参社員)は、社内で重要なポストについているはず。
経営陣、執行役員、管理職など、会社を運営していく上で、
とても重要な立場。
協力的で、しっかり職務をこなしてくれる。
あなたにとっても重要な存在であると思います。
ほとんどの経営者の方がこの点について何の疑念もないはず。
しかし、本当にそうですか?
この質問は「今の経営陣を疑え」と言っているわけではありません。
私が関わってきた企業では後継者の方に代わった途端、態度を変える人がいます。
その人達の言い分はこうです
⇩⇩⇩
・『〇〇社長には世話になったけど、新社長の言う事は聞けない』
・『ずっと〇〇社長に言いたくて我慢していた事があったから、ここからは態度を改めさせてもらう!』
・『新社長は研修とかやろうとしているけど、それやったら俺らの給料があがるんか?』
等など、信じていた大切な社員からは聞くに堪えない言葉ばかり。
「ウチは大丈夫だ!」「俺は社員を信じている」と思っていると思います。
ましてや、話したこともない私から言われても当然ですよね。
しかし、残念な事にこういう考えの方は必ず一定数存在します。
あからさまに態度に出さなくても、新社長の方針に従っているフリをしていたり、見えないマイナス効果があるかもしれない事を知ってください。
この話から、私がお伝えしたいのは、
『古参社員を大事にするか』はあまり重要ではありません。
これから、今の経営者様とあなたが残したい企業が、どう進むかを2人で向き合って話すべきです。
(裏切る人は裏切るし、やめる人はやめる)
後継者の気持ちを考えてみる
ここは後継者の立場に立って、事業承継について考えてみましょう。
その前に大前提ですが、
今の経営者様が、創業者 若しくは会社の業績を大きく伸ばした方、または、昭和~令和までの激動の時代を会社経営で乗り越えた方ならば、経営者様にとって、自分の「会社」ってなんですか?
おそらく、あなたの人生そのものではないでしょうか。
これを読んでいる経営者の方のほとんどはそうだと思います。
社員も、企業理念も、お客様も、商品も、地域の方々も全部大切!
そりゃ自分の子どもに務まるのか心配になりますよね。
ここで話を戻しましょう。
経営者にとって会社は「人生そのもの」。
では、後継者(子ども)にとってはどうでしょうか?
「=俺(経営者)の人生を生きる」とは言いません。
ここで視点を少し変えて「人生」という視点でもの事を考えてみましょう。
経営者と、後継者の人生の考え方
〇経営者:会社を守る事(人生そのもの)
〇後継者:”自分の人生”を生きたい
こんな構図があてはまりませんか?
経営者が後継者に感じている不安や焦りといった感情は、
この視点を入れると納得できると思います。
『じゃ、後継者(子ども)に、会社を人生そのものと思わせるような教育をすればいいのか!』
と、思いましたか?
これ、再教育したら後継者の気持ちはどうなりますか?
彼(彼女)の人生観を真っ向から否定する事になります。 前にも書いた通り、「社長のコピー」を作りたいのであれば、この教育は必須となります。 お互いに苦しい思いをして頑張ってください。
◆後継者に『会社=人生』と思うようにする教育をした未来
きっと後継者も真面目で素敵な方だから、あなたの期待に応えようと、取組み始めます。
あなたも応えてくれようとしているのが嬉しくて、どんどん力が入ってきます。 言葉も強くなり、自分では檄を飛ばしているつもり。
しかし、ちょっとした考え方のズレでこの関係は崩壊します。
例えば、将来的な事業計画。 そのための準備として人員を増やしたい。 不採算事業を縮小したい。 等など、こういう話がズレてきて、後継者は「言っても無駄」と思い、意欲がなくなってきます。
それが、あなたにとって面白くなくて、更に力を入れた指導になる。
こうなると悪いループに入る。
正直に言います。
私はこれで大変苦しみました。
社長に報連相でも二言目には「だからお前はダメなんだ」と人格否定される。 報告する気になれず、自己完結から失敗の負のループへ。 耐えられなくなり、会社を辞める事を決意しました。
〇経営者:会社を守る事(人生そのもの)
〇後継者:”自分の人生”を生きたい
この構図をしっかり理解した上で後継者の方と接してください。
後継者様は別人格です。
これまでの内容をまとめます。
〇『自分の合格点に達するまで』は実現しない
⇨ お互いに疲弊してイライラするだけ
〇後継者は社長のコピーではない
⇨ 後継者は”自分の人生”を生きたい
ここのセクションで最後のメッセージとなります。
『親子だから分かり合える』は幻想。
後継者様に対し色んな希望や期待があり、親子だからと思っているからモヤモヤするんです。
はっきりと自分とは違う人格者と認識を改めてください。
ここまで書いていて、解決策がないじゃないか!と
思っている人も多数いるでしょう。
これは私がコンサルタントとして活動していて事業継承において、
とても重要な、且つ 有効な手段を提案いたします。
未来の経営理念を一緒に考える
この記事を読んでいる経営者の方の会社にも立派な企業理念があると思います。
事業継承は経営理念を後継者の方と一緒に考える良い機会だと思ってください。
何も無理に変えろ と言っている話ではありません。
経営理念を通して後継者の方が何を考えているか会話できるチャンスです。
経営に於いてこれ程に濃密な議論ができる場はそうそうありません。
このチャンスはぜひ活用してください。
なぜ、事業継承で経営理念を見直す必要があるのか?
私がコンサルタントとして活動していて、勿体ないと感じている事をシェアします。
そもそも経営理念とは、企業が『なんのために存在し、どんな価値観を大切にし、どこを目指すのか』を言語化した、企業における最上位の信念。
せっかく素晴らしい企業理念を掲げているのに、全然活用できていない経営者様が多い。
どうやって活用するか?
簡単です。 企業理念を通して社員と会話するのです。
これは会社の中に1つ筋を通すのに非常に有効なツールとなり、社内での議論や会話のブレを修正(抑制)する事ができます。 活用しないのはもったいない。
この社内のコミュニケーションに1本筋を通す企業理念を後継者の方と一緒に見直してください。
その会話は確実に未来に向けた、企業をの進む方向を考える、とても有意義な時間になるはずです。
企業理念の見直しについての提案
必ず見直す(変更する)必要はありません。
あくまでも経営者と後継者の方と企業の未来を考える機会にしたい事と明記します。
しかし、せっかく見直して未来に向けた会話するんだから、企業理念をもっと有効なツールにしたいと思いませんか?
もし、そう思うなら下記の提案を考えてみてください。
◆『企業理念』を見直すポイント
①企業理念、MVVを全部書き出す
MVV:ミッション、ビジョン、バリュー
②そこに書かれている言葉がどこに向かっているか考える
社内、社外、時間軸等 さまざまな見方で矢印の方向を見る
③現在と未来を考えて不足しいている箇所を修正する
企業理念、MVV 共に必要ならば全部
社内に「企業理念を浸透させる」事をイメージして
④言葉に出してみて、違和感がないか確かめる
自分で言ってみて、引っかかりが無ければOK
⑤少し時間を置く
2~3日 時間を置いてみましょう。
違和感が無ければ完成です!
(補足)ピンと来ていない経営者様へ
「何で今さら企業理念を変えなくてはならないんだ」と思っている経営者様もいると思います。
それはあなたが「経営者」だからです。
これまでの経験や苦労苦難を乗り越えて、ここまでこれたのです。
素晴らしい事ですし、企業理念を見直す事は決してあなたを否定する事ではありません。 私は後継者様と会社の未来について話す機会を作って欲しいのです。 あなたからの一方的に「企業理念を変更するから来い!」 ではなく、あなたと受け継ぐ人が共に企業理念に想いを乗せて欲しいと考えています。
※特に創業者や、経営者歴が長い剛腕な社長様はこの企業理念を見直す事をやってみてください。 剛腕がゆえにこれまでのやり方を後継者様に引き継ごうとすると、社員さんは疲弊します。 ぜひ次世代の経営者様と会社の進む方針を考えてみてください。
これからの時代は〇〇ハラスメント等、企業側が生き辛い時代になります。
企業理念を通して1本筋の通った社内コミュニケーションを実現して欲しいと思っています。
最後に
ここまで読んでくれて本当にありがとうございます。
お伝えしている通り、私は失敗した側の人間です。
何度も社長とぶつかって、方針変えて、疲弊して、社員に心配をかけて、最終的に会社を辞めた人間です。 とても人から尊敬を集めるような人間ではありません。
しかし、私はこういった経験があるからこそ、同じような思いをしている人には間違って欲しくないのです。 なぜなら、最終的に苦労するのは社員さんになるのだから。
絶対に、事業継承をする事を目的にしないでください。
「ちゃんと未来を考える」これができればちゃんと前に進みます。
後継者の方も、日々 一生懸命に社長から提示される課題や方針をこなして、社内で一番働いていると思います。 めっちゃ頑張ってると思います。
だからこそ、事業継承については視野が狭くなっていませんか?
一旦、社外の人と話してみる事も1つの選択肢として考えましょう。
その際に私を活用してくれると嬉しいです。
【備考】
私は常に『経営者は経営者にしかできない仕事をすべき』と考えています。
それはトップ営業や、業務効率化、利益を出す 事ではありません。
もちろん、この激動の経済環境の中、冒頭にも書きましたがVUCAの時代です。 今の時点での最優先事項は利益を出す事かもしれません。
ここで「社長にしかできない仕事」って考えた事ありますか?
様々な意見があると思いますが、私は会社の精神性を通す事だと思います。
具体的に何? となると思いますが、私の考えをシェアさせてください。
◆社長にしかできない仕事
- なぜ株式会社〇〇は□□年も続いたのか
- なぜ自分の会社は困難を乗り越えてきたのか
- 創業者の想いは何なのか
- 株式会社〇〇の存在意義は何なのか
「わが社の存在哲学は何だ?」と問い続けてください。
これがしっかりすると、社員の考えが変わります。