「甘いパンにしたいわけじゃないし、砂糖は減らしちゃおう」。健康のことも考えると、そう思いますよね。
ところが半分に減らして焼いてみたら、
ふくらみが悪い、色が白い、翌日にはもうパサパサ。
甘さが控えめになっただけ、のはずが、別のパンになってしまった……。
パンの砂糖は、甘みをつける以外にも仕事をしています。3つだけ知っておくと、「どこまで減らしていいか」が自分で判断できるようになります。
仕事その1:イーストのごはん
イーストは生きた酵母で、糖を食べてガスを出します。そのガスが生地をふくらませるので、砂糖は発酵のスタートを助けるエネルギー源です。
「じゃあ砂糖ゼロだと発酵しないの?」というと、そんなことはありません。小麦粉のデンプンが酵素で分解されて糖になるので、砂糖なしでもちゃんとふくらみます。実際、バゲットやカンパーニュのレシピに砂糖はほとんど入っていません。
ただし、砂糖があるほうが発酵の立ち上がりは早いです。
粉のデンプンが分解されるのを待つ必要がないからですね。
短い時間で焼き上げたい時短パンでは、ここがけっこう効いてきます。
仕事その2:焼き色をつける
パンのこんがりした色と香ばしい香りは、糖が加熱で変化して生まれます。小麦のたんぱく質と反応して褐色になるもの、
糖そのものが焦げて香りを出すもの、その両方が働いています。
つまり、砂糖を減らすとそのぶん焼き色がつきにくくなります。
「レシピどおり焼いたのに白っぽい」というとき、
オーブンの温度だけでなく、砂糖の量が原因ということもあるわけです。
仕事その3:パサつきを遅らせる
砂糖には水分を抱えこむ性質があります。
生地の中の水を離さずにキープしてくれるので、
焼き上がったパンがしっとり長持ちします。
食パンや菓子パンが翌日もやわらかいのは、
砂糖(と油脂)のおかげです。
砂糖を減らすと、翌日のかたさが目に見えて変わります。
で、減らしてもいい? どこまで?
結論から言うと、減らせます。
ただし目安の範囲があります。粉に対する割合で見てください。
0〜2%……バゲット、カンパーニュなどハード系。本来は砂糖なしが基本
5〜8%……食パン、丸パン、バターロール。ここが一般的なレシピの標準
10%以上……菓子パン、ブリオッシュなど。
たとえば粉250gの食パンで、砂糖15g(6%)を8g(3%)に減らすと、
ふくらみは少し控えめ、焼き色は薄め、翌日はややかたい。
でも十分おいしいパンにはなります。
コツは、一気に半分にせず2%ずつ試すこと。
そして減らした分、発酵に少し長めの時間を見てあげてください。
生地の大きさで判断すれば、時間は気にしなくて大丈夫です。
砂糖の種類で変わること
「どの砂糖を使えばいいですか」もよくいただく質問です。
基本は家にある砂糖で問題ありません。
そのうえで、変えると何が起きるかだけご紹介します。
上白糖……しっとり仕上がる。日本のレシピの標準はこれ
グラニュー糖……すっきりした甘さ。溶けやすく、味の輪郭がはっきりします
きび砂糖……コクと薄い茶色が出て、素朴な味に。同じ量でそのまま置き換えられます
甜菜糖……まろやかでやさしい甘さ。きび砂糖よりクセが控えめ
きび砂糖や甜菜糖は、シンプルな丸パンや全粒粉のパンによく合います。
上白糖と入れ替えるだけなので、最初に試すならこれがいちばん手軽です。
まとめ
砂糖の仕事は「イーストのごはん・焼き色・パサつき防止」の3つ
砂糖ゼロでもパンは焼ける(ハード系がそれ)。ただし立ち上がりは遅い
減らすなら2%ずつ。食パンなら5〜8%が標準ライン
減らした分は、発酵を少し長めに見て「大きさ」で判断
砂糖の種類は上白糖で十分。きび砂糖や甜菜糖でもOK。