韓国料理のレシピを見ていると必ず登場する、お醤油の使い分け。
「チンカンジャン」「ヤンジョカンジャン」「クッカンジャン」……。
レシピによって指定が違ったり、時には「チョソンカンジャン」「チプカンジャン」という名前が出てきたりして、「日本の醤油じゃダメなの?」「どれを揃えればいいの?」と混乱した経験がある方も多いのではないでしょうか。実はこれ、韓国現地でも日常的に迷う人が多いテーマです。
しかし、発酵や調理の理論を紐解いてみると、そこには明確な「使い分ける理由」があります。今回は、家庭で迷わず使いこなせる基本の3種類と、仕上がりが格段に変わるプロの使い分けのコツを整理してお伝えします。
1. 煮物や炒め物の頼れる味方「チンカンジャン(진간장)」
得意な料理: 煮物、炒め物、長時間の煮込み
特徴: 熱を加えても味が崩れにくく、コクと甘みがしっかりしている
熱に強いのが最大の強みです。韓国の家庭で最も幅広く使われており、加熱する料理全般に安心して使えます。タッカルビのタレやプルコギ、煮魚など、しっかり味を染み込ませたい料理にはまずチンカンジャンを選べば間違いありません。
2. 華やかな香りを楽しむ「ヤンジョ(醸造)カンジャン(양조간장)」
得意な料理: 和え物、タレ、お刺身、仕上げの香り付け
特徴: 微生物の力で長い時間をかけてじっくり熟成させた、香り高いお醤油
大豆や小麦を長期間発酵・熟成させて作られるため、非常に華やかな香りとまろやかな旨味を持っています。
もちろん煮物に使っても贅沢で美味しいのですが、香りが繊細な分、強火で長時間加熱しすぎると自慢の香りが飛んでしまうという特徴があります。
プロのひと手間
煮物や炒め物を作る際、火を止める直前、あるいは止めた後にほんの少しだけ「追い醤油」としてヤンジョカンジャンを垂らしてみてください。加熱による旨味は残しつつ、お皿の上で華やかな香りを最大限に活かすことができます。
3. スープや素材の色を活かす「クッカンジャン(국간장)」
得意な料理: スープ(汁物)、チゲ、薄い色の和え物
特徴: 「色は薄いけれど、塩分は高い」(別名:チョソンカンジャン、チプカンジャン)
大豆と塩水のみで作る伝統的な製法がベースになっており、独特の深い旨味と発酵の香りを持ちます。
最大の特徴は、「色が淡く、塩分濃度が高い」こと。スープ(クッ)の色を黒く濁らせず、素材の澄んだ色合いをキープしながら、しっかりとした塩味とアミノ酸の旨味をプラスできます。日本の薄口醤油に近い立ち位置ですが、旨味の深さと香りが異なります。
【実践】ナムルにはどのお醤油を使うのが正解?
生徒さんから最も多くいただく質問が、「ナムルを作る時はどのお醤油を使えばいいですか?」という疑問です。
正解は一つではなく、「仕上がりの色と求めるコク」によって次のように使い分けるのがベストです。
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クッカンジャンを使う場合(色を綺麗に見せたい時)
対象: 豆もやし、大根、青菜など
理由: 素材本来の白い色や鮮やかな緑を美しく保ちたい時にぴったりです。少量でピシッと味が決まり、発酵のコクが加わって上品な味わいに仕上がります。
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チンカンジャン(またはヤンジョカンジャン)を使う場合(コクや甘みを乗せたい時)
対象: ナス、ゼンマイ、キノコ類など
理由: 素材自体に茶色っぽい色があり、醤油ならではの深いコクや甘みをしっかり絡めたい時に適しています。醤油の香ばしさが素材の風味を引き立ててくれます。
理由がわかると、韓国料理はもっと美味しくなる
「この料理には、なぜこの醤油を使うのか」。
その理由がわかるだけで、いつものおうち韓国料理はぐっと本格的になり、失敗もなくなります。
「レシピ通りに作らなきゃ」と構える必要はありません。それぞれの特徴を知っていれば、「今日はスープの色をきれいに仕上げたいからクッカンジャン」「今日はしっかりコクを出したいからチンカンジャン」と、台所で自在にコントロールできるようになります。
韓国の調味料は、知れば知るほど毎日のごはん作りをラクに、美味しくしてくれる知恵が詰まっています。ぜひ、今日のお料理から試してみてください。