「高校生で英検準1級に合格するのは、どれくらいすごいことか?」
高校生で準1級に合格したなら、ぜひ自信を持ってほしいと思います。英検協会の目安では、2級が「高校卒業程度」、準1級が「大学中級程度」。そこに届くまでには、単語を覚えるだけでなく、文章を読み、話を聞き、自分の考えを英語で伝える練習を重ねてきたはずです。
一方で、これから受験する方には、こんな心配もあるでしょう。
「2級には受かったけれど、準1級の単語が全然分からない」
「部活や定期テストもあるのに、勉強を続けられるだろうか」
準1級の教材を開いて難しく感じたら、どこで分からなくなるのかを見てください。単語なのか、一文の読み方なのか、理由を英語で説明することなのか。それによって、今やるべき勉強は変わります。
今回は、2級との違いを踏まえながら、塾や部活で忙しい高校生活と両立しやすい勉強の進め方をお話しします。
こんにちは。英語講師のTaka先生・根岸貴規です。私は日本国内で教科書の音読を中心に英語を身につけ、その英語を使って外資系投資銀行で約20年間働いてきました。英検1級・TOEIC980点を取得し、これまで累計14,000人以上の方に英語学習を指導してきました。ストアカでは、2022年から2025年まで4年連続で「最多受講者賞」を、2025年には「ストアカン・オブ・ザ・イヤー」をいただきました。
目次
■ 2級との違い|単語に加えて、文章の内容も難しくなる
準1級では、教育、環境、科学技術、医療など、社会的な話題を扱います。2級でも社会的なテーマは出てきますが、準1級では文章や話の内容がより複雑になり、主張と根拠のつながりを捉える力が求められます。
例えば、環境問題の文章で「新しい取り組みによって汚染が減る」と書かれていたとします。その後に、費用がかかることや、実施に反対する人の意見が続くかもしれません。
「環境によさそうな話だった」と読むだけでは、筆者が何を述べているのかを取り違えてしまいます。利点と課題を区別しながら、話の流れを追う必要があります。
高校生で準1級を目指すなら、語彙を増やしながら、その英語で内容を理解し、書いたり話したりするスキルを高める必要があります。
■ 学習の出発点|「どこで解けなくなったのか」を見る
「高校生の合格率は何%ですか?」という数字が気になる方もいると思います。ただ、合格率を見るときは、調査の年度や対象、一次試験だけの数字なのかにも注意が必要です。その数字が、そのままお子さんの合格可能性を表すわけではありません。
勉強の計画を立てるとき、私が見たいのは、実際に解けなかった問題です。
・単語の意味を調べたら読めたのか。
・単語は分かっていても、主語と動詞を捉えられなかったのか。
・文章は読めたのに、設問の根拠を見落としたのか。
同じ不正解でも、必要な復習は違います。
2級に合格していても、文法や基本語彙に覚え残しが見つかることはあります。その場合は、該当するところへ戻って学び直してください。分からなかった一文が読めるようになれば、その復習は準1級の勉強にも役立ちます。
すでに受験した方は、技能別のCSEスコアも参考にできます。ただし、スコアだけでは、何が原因で失点したかまでは分かりません。答案や問題を見返して、次に直す箇所を絞りましょう。
英検の合否はCSEスコアで判定されるため、過去問で何割正解したら必ず合格、とは言えません。正答率は、学習の進み具合を把握する目安として使ってください。
■ 語彙|思い出せなかった単語に、何度も繰り返し出会う
単語帳を何周もしているのに覚えられないときは、意味を見ながら「分かる」と思っているだけになっていないか、振り返ってみてください。
まず、日本語の意味を隠して英単語を見ます。
○:すぐに意味が出る
△:見覚えはあるが、意味が曖昧
×:意味が分からない
私は、意味を素早く取り出す練習では、1秒程度で答えられなければ意味を見て、次へ進むようにご指導しています。一語の前で長く止まるより、覚えていなかった意味を短時間で何度も確かめたほうが長期記憶に残りやすくなるからです。
△と×を中心に繰り返し、○も1日に1回程度は見直します。忘れていたら、印を戻して構いません。
例えば200語のうち、すぐに意味が出なかったものが80語あれば、その80語の意味を繰り返し確認する。単語帳を開いた回数に加えて、どの単語の意味が瞬時で言えるようになったかも意識してください。
発音は付属の音声で覚えましょう。文字では分かる単語でも、音を知らなければリスニングで気づけないことがあります。例文も読み、その単語が文の中でどう使われるのかを押さえておくと、長文を読むときにも役立ちます。
■ 長文と音読|意味を理解した英文を、繰り返し読む
私が学習の順序として大切にしているのは、単語・文法を土台にして英文を正確に読み、その内容を理解したうえで英文の精読をし、音読することです。
例えば、次の英文を読んでみてください。説明のために作った例文です。
Some cities are improving public transportation to reduce air pollution.
「大気汚染を減らすために、公共交通機関を改善している都市もあります」
文の中心は、Some cities are improving public transportationです。
「いくつかの都市が」「改善している」「公共交通機関を」と捉え、その後のto reduce air pollutionで「大気汚染を減らすために」という目的を受け取ります。
日本語訳を読んで分かったつもりになっていると、英文に戻った途端、どの語句がどこにつながるのか分からなくなることがあります。そんなときは、主語と動詞からたどってみてください。
長文では、一文ずつの意味に加えて、段落の役割も見ます。問題点を述べているのか、解決策を示しているのか、具体例で説明しているのか。設問の答えが本文のどこに書かれているかも探します。
そこまで読めた文章を、音読の教材にしてください。
例えば、1日5回を6日間で30回。回数を決めておくと、復習を予定に入れやすくなります。読むときは、声を出しながら内容を思い浮かべてください。意味が追いつかなくなったら、速度を落として一文ずつ読み直します。
準1級だからといって、毎日新しい長文を増やす必要はありません。一度取り組んだ文章を、英語の順番で理解できるようにする。そのための反復にも時間を使いましょう。
■ リスニング|「読めば分かるか」で復習を分ける
聞き取れなかった音声は、スクリプトを読んでみてください。
読んでも分からないなら、単語や文法を調べるところからです。読めば分かるのに聞き取れないなら、知っている単語が実際にはどう発音されているのかを聞き直します。
音がつながっていたり、思っていたより弱く短く発音されていたりする箇所を、文字と照らし合わせて探してください。
復習は、次の流れで進められます。
① 音声を聞いて問題を解く。
② スクリプトを読み、内容と正解の根拠を理解する。
③ 聞き取れなかった箇所を、音声と文字で照らし合わせる。
④ 短く区切って、音声をまねして声に出す。
⑤ スクリプトを閉じて何度も繰り返し聞く。
最後に文字を見ずに聞くと、復習した内容を音声だけで追えるか分かります。まだ分からない箇所が残ったら、そこへ戻れば大丈夫です。
■ ライティング|英作文は自分の意見、要約は本文の内容
準1級の英作文は、提示された四つのPOINTSから二つを使い、120〜150語を目安に意見を論じます。英文要約は、本文の内容を60〜70語にまとめる課題です。
この二つは、書く前の準備を分けて考えてください。
① 英作文は、理由の続きを説明する
公共交通機関への支援に賛成するなら、例えば次のような理由が考えられます。
Better public transportation can reduce traffic congestion.
「公共交通機関が充実すれば、交通渋滞を減らせます」
ここで終わらず、「なぜ交通渋滞が減るのか」を説明します。
If buses run more frequently, more people may choose them instead of driving.
「バスの本数が増えれば、車を運転する代わりにバスを選ぶ人が増えるかもしれません」
理由が浮かんでも、その先を書けないときは、「誰の行動がどう変わるのか」と考えてみてください。この例なら、バスの本数が増えることで、移動する人の選択が変わります。
最初は、こうした二、三文のまとまりを作る練習から始めます。慣れてきたら、二つの理由を使って答案全体を書いてみましょう。
② 要約は、残す情報を選んでから書く
要約では、本文のどの情報を残すかが先です。
何についての文章なのか。どんな取り組みや変化が説明されているのか。それに対する評価や課題は何か。段落ごとの要点を短くメモすると、内容を整理しやすくなります。
そのメモをもとに、情報のつながりを保ちながら英文にします。自分の賛否や、本文に書かれていない知識は加えません。
書き終えたら、原文と比べて、重要な内容が抜けていないか、意味を変えていないかを読み直してください。
英作文でも要約でも、添削や解答例を読んだ後に、直す理由が分かったかどうかが大事です。使いたい表現を音読し、翌日に自分でもう一度書いてみる。そこまで取り組むと、次の答案で使えるかを確かめられます。
■ スピーキング|書いた表現を、話す練習にも使う
準1級の面接では、4コマのイラストの展開を説明したり、質問に対して自分の意見を述べたりします。
まずは、英作文で練習した短い表現を、英文を見ずに言ってみてください。先ほどの交通渋滞についての二文でも構いません。書ける表現でも、口に出そうとすると止まることがあります。出てこなかった部分を練習し直しましょう。
イラストは、「誰が、何をしたのか」を順に説明するところから始めます。場面のつながりや、絵から分かる登場人物の様子も加えていきます。
読む・聞く・書く対策を進めながら、声に出して答える時間も少しずつ作っておいてください。
■ 学習時間|平日に60分取れるなら、どう使う?
合格までに必要な期間は、現在の英語力と、毎日の取り組み方によって変わります。「2級に合格した人は、あと何時間」と一律に決められるものではありません。
まずは、学校や部活の予定を見ながら、続けられそうな時間を確保します。
平日に合計60分取れるなら、例えば次のように分けられます。
・登校前の10分:△と×の単語を復習する。
・帰宅後の20分:短い長文を精読し、理解した箇所を音読する。
・夕食後の15分:リスニングを聞き直す。
・残りの15分:曜日ごとに、英作文・要約・スピーキングを練習する。
最後の15分は、「理由の段落を一つ書く」「要約に残す情報を選ぶ」など、作業を区切って使います。答案を最初から最後まで書く練習や、時間を計って過去問を解く練習は、休日などにまとまった時間を取りましょう。
2週間ほど続けてみて、毎回やり残す課題があれば、量や配分を調整します。定期テストの週は軽くするなど、学校の予定も最初から組み込んでおくと続けやすくなります。
大学入試で利用したい方は、志望校の最新の募集要項を読んでください。必要な資格やスコアだけでなく、対象となる取得時期や提出期限まで調べ、受験の予定を立てましょう。
■ 保護者の方へ|勉強の中身を、本人の言葉で聞いてみる
保護者の方が英語を教えられなくても、できることはあります。
例えば、週末に「今週、前より分かるようになったことはある?」と聞いてみてください。
「意味を覚えていなかった単語が、今日は答えられた」
「何度も聞いたら、聞こえなかった一文が分かった」
そんな話が出たら、何を練習してできるようになったのかも聞いてみましょう。本人にとっても、自分の勉強を振り返る機会になります。
うまく進まなかったときは、「どこが難しかった?」「来週は何からやろうか?」と一緒に考えてください。勉強量を増やす必要があるのか、内容が難しすぎるのか、取り組む時間が合っていないのか。困っていることが分かれば、手伝えることも見えてきます。
不合格だったときは、まず本人の気持ちを聞き、落ち着いてから結果を振り返りましょう。技能別のスコアと実際の答案を見て、次の勉強で変えることを具体的に決めます。
高校生で準1級に合格するのは、立派な成果です。そして、そのために続けてきた勉強にも目を向けてほしいと思います。読めなかった文章が読めるようになったこと、理由を添えて意見を書けたことは、合否にかかわらず残る力です。
■ 一人で勉強を進めるのが不安な方へ|準1級合格を一緒に目指しましょう
「2級には合格したけれど、準1級は何から始めればよいか分からない」
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根岸貴規