「英語を全然やっていない小学4年生が、卒業するまでに英検4級を取ろうとするのは無謀かな。できれば、もう少し早く取れたらと思うんだけど……」
先日、こんな相談を頂きました。
続けて出てきたのが、
「しかも、どちらかというと英語がそんなに好きじゃない。何から始めればいいのかな?」
英検という目標はある。でも、今は英語にあまり興味がない。親としては何か始めてあげたいけれど、無理に勉強させて、もっと嫌いになっても困る。
同じように迷っている保護者の方もいらっしゃると思います。
私の答えは、小学4年生から、小学校卒業までに英検4級を目指すことは、無謀な目標ではないというものです。
ただ、今のお子さんがどこまで分かっているか、どんなペースで取り組めるかによって、必要な時間は変わります。まずは、安心して始められるところを探してみましょう。
こんにちは。英語講師のTaka先生・根岸貴規です。
学生時代、独学で英語を身につけ、外資系投資銀行で約20年、英語を使って仕事をしてきました。英検1級・TOEIC980点を独学で取得した経験をもとに、オンライン英語講師としてこれまで14,000人以上の方に英語を指導しています。
今回、私が最初にお伝えしたいのは、「英語に取り組める習慣」と「文字を見て、知っている英語が分かる経験」をつくってみよう、ということでした。
まずは5分、一緒に「知っていること」を探す
「英語を全然やっていない」といっても、知っていることは一人ひとり違います。
学校や日常生活で聞いたことのある単語があるかもしれません。大文字は分かっていても、小文字にはまだ慣れていないかもしれません。
最初に、次のようなことを少しだけ確認してみてください。
A・B・Cなどの大文字を見て、大文字だと分かるか。
a・b・cなどの小文字も分かるか。
dog、cat、appleなどを聞いて、対応する絵を選べるか。
その単語を文字で見たときにも、意味が分かるか。
全部を一度に調べなくてもかまいません。「これ、見たことある?」「どれがdogかな?」と、一緒に見ながら確かめます。
例えば、dogという音を聞けば犬だと分かるけれど、文字で見ると分からない。
その場合は、すでに知っている音と、dogという文字を結びつけるところから始められます。
アルファベットの名前が言えることと、単語が読めることも別です。ABCが言えたら、次は音声を聞きながら、単語の音・文字・意味を一緒に確かめていきます。
このとき、お子さんがどこで困った顔になるかも見てください。読むのが難しいのか、書くのが面倒なのか、量が多くて嫌なのか。それによって、取り組み方を調整できます。
英語があまり好きではないなら、最初の難しさと量を調整する
初日からたくさん覚えようとすると、始める前よりも英語が負担になってしまうことがあります。
私は、まず1日5〜10分くらいから試してみることをおすすめします。
「夕食の前に5分」「お風呂に入る前に音声を一つ」など、いつ取り組むかを、お子さんと相談して決めてみてください。
動物が好きなら動物の単語、食べ物が好きなら食べ物の単語からでもよいと思います。「今日はどちらのページにする?」と、本人が選べるようにしてみましょう。
5分でも嫌がるなら、最初は単語を一つ聞いて、絵を指さすところまで。反対に、本人が楽しそうに続けられるなら、少し増やしてもかまいません。
5〜10分は、学習を始めるための目安です。 その時間だけで英検4級まで十分という意味ではありません。慣れてきたら、理解度に合わせて練習する内容や量を増やしていきます。
最初の教材は、今の状態に合うものを1冊
今回の相談では、次の2冊を候補として紹介しました。どちらも旺文社の教材です。
アルファベットから確かめたい場合は、『小学生のための英語練習帳 1 アルファベット 改訂版』。
大文字・小文字の読み方や書き方を練習する本です。ゲームやクイズを交えた内容で、音声は本の二次元コードから再生できます。
『小学生のための英語練習帳 1 アルファベット 改訂版』の詳細(旺文社)
アルファベットがだいたい分かり、身近な単語へ進みたい場合は、『小学生のための英語練習帳 2 英単語400 改訂版』。
食べ物や生き物、乗り物などの分野に分けて単語を学ぶ本です。小学校で学ぶ単語と英検5級の重要単語を合わせて約400語収録し、音声を聞く、声に出す、なぞる、書くという練習を進められます。
『小学生のための英語練習帳 2 英単語400 改訂版』の詳細(旺文社)
最初から2冊そろえなくても大丈夫です。今のお子さんに合う方を選び、取り組める分量から始めてください。
保護者の方が発音に自信を持てなくても、教材の音声を一緒に聞けます。
単語の練習は、少ない数を翌日も繰り返す
単語の本なら、例えば、次のように使ってみてください。
お子さんが興味を持てそうな単語を3〜5語選ぶ。
音声を聞いて、一緒に声に出す。
聞こえた単語の絵を指さす。
絵と文字を見比べながら、もう一度聞いて言う。
翌日も同じ単語を確かめる。
最初から、スペルを見ずに全部書けることまで求めなくてよいと思います。教材のなぞり書きなどを使いながら、書く練習も少しずつ加えていきます。
前日に分かった単語を、翌日には忘れていることもあります。そんなときは、「もう一度聞いてみようか」と、その単語に戻ってください。
覚え直すことも練習の一部です。
九九を覚えるときも、何度も声に出し、すぐに言えないところを繰り返したと思います。英語でも、音と意味を確かめたうえで、同じ単語や短い文に繰り返し触れることを大切にしたいです。
新しいページへ進む日があっても、前に学んだところを少し混ぜて復習してみてください。
「できたこと」を、具体的に伝える
お子さんへの声かけも、大げさなものでなくてかまいません。
「昨日は音を聞いてから分かったけれど、今日は文字を見て分かったね」
「この小文字、もう迷わなくなったね」
「今日は自分で音声を再生できたね」
こうした言葉なら、何ができるようになったかを本人も確かめられます。
本を何ページ終えたかに加えて、聞いて分かった単語や、自分で読めた言葉にも目を向けてあげてください。
今すぐ「英語が大好き」にならなくても、取り組みやすい内容から始めることはできます。お子さんの様子を見ながら、「これならできそう」と思える課題を探していきましょう。
単語に慣れたら、短い英文、5級の内容、そして4級へ
英検協会が示す推奨目安は、5級が「中学初級程度」、4級が「中学中級程度」です。
4級に向けては、単語に加え、基本的な文の形や、英文を読んだり聞いたりする練習が必要になります。
身近な単語が分かってきたら、例えば I like dogs. のような短い文を、音声と一緒に学びます。「私は犬が好きです」という意味を確かめ、dogsをcatsなどに替えて言ってみることもできます。
短い文に慣れながら、5級の学習内容を身につけ、その後に4級の内容へ進みます。単語をすべて完璧に覚え終わるまで、文の練習を待つ必要はありません。
受験を考える段階では、その級の過去問も使い、読んで分かるか、音声を聞いて答えられるかを確認します。つまずいたところに戻り、できることを増やしながら、受験時期を考えてください。
「卒業までに、できればもう少し早く」という目標は持っていてよいと思います。そのうえで、実際の理解度と、お子さんの気持ちを見ながら予定を調整していきましょう。
今日やることは、小さく決められます。
お子さんと一緒に知っている文字や単語を探す。今の状態に合う教材を1冊選ぶ。そして、5分だけ一緒に取り組んでみる。
「英語を全然やっていないから、もう遅いかな」と感じているなら、まずは、そこから始めてみてください。
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Taka先生・根岸貴規