「小学生の頃は英語が好きだったのに、中学生になってから苦手になってきました」
「中1の頃はできていたのに、中2になって点数が下がりました」
保護者の方から、このようなご相談をいただくことがあります。
教科書を読んでいる。単語も書いている。宿題も出している。
それなのに、テストになると答えられない。
本人も頑張っているつもりなら、「もっと勉強しなさい」と言われても、何を変えればよいのか分からないでしょう。
こんにちは。英語講師のTaka先生・根岸貴規です。これまで累計14,000人以上の方の英語学習をサポートしてきました。
英語の点数が下がったとき、やる気や才能だけで判断しないでほしいと思っています。
まず確かめたいのは、毎日の勉強で「何ができるようになる練習をしているか」です。
今回は、中学生本人と保護者の方に向けて、家庭で見直したい3つの勉強法をお伝えします。
■学年が上がると、以前の曖昧なところも表に出てきます
小学生の頃に、歌や会話を通して英語に親しんだ経験は、大切な土台です。
ただ、聞き慣れたフレーズを言えることと、主語や時制に合わせて英文を作れることは、同じではありません。
例えば、次の三つの文です。
He plays tennis.
彼はテニスをします。
He played tennis yesterday.
彼は昨日テニスをしました。
Did he play tennis yesterday?
彼は昨日テニスをしましたか。
使っている単語はよく似ています。それでも、自分で書くには、現在と過去の違い、動詞の形、疑問文の作り方を整理しておく必要があります。
このとき、
Did he played tennis yesterday?
と書いてしまう子もいます。
「昨日のことだからplayed」と考えたのかもしれません。過去の文を作る知識はあっても、didを使う疑問文のルールと結びついていない可能性があります。
学ぶ内容が増えると、以前は何となく答えられていた部分を、別の形でも使う必要が出てきます。そこで、基礎の曖昧さが見つかることがあるのです。
だから、今習っている単元だけを何度も解く前に、どこから分からなくなっているのかを確かめます。
年齢で学び方を一律に分けるより、今の学習内容と、お子さんの理解度に合わせて見直していきましょう。
■1.間違えた問題は、答えを写す前に「何が分からなかったか」を確認する
間違えた問題に赤で正解を書き、解説を読んで終わる。
この復習になっていませんか。
正解を確認することは必要です。ただ、それだけでは、次に同じ内容を問われたときに答えられるかは分かりません。
先ほどの例なら、
Did he played tennis yesterday?
↓
Did he play tennis yesterday?
と直したあとに、なぜplayになるのかを確かめます。
「didを使った疑問文では、そのあとの一般動詞を原形にするから」
この説明ができれば、少なくとも、答えを選ぶ理由がはっきりします。
一方で、yesterdayの意味が分からなければ、先に単語を確認します。文の意味がつかめていないまま、動詞の形だけを覚えようとしても、問題が変わると迷いやすくなります。
間違えた問題を一つ選び、次の順番で見てください。
使われている単語の意味は分かるか。
英文全体で何を伝えているか分かるか。
正解になる理由を、自分の言葉で説明できるか。
文法用語をすらすら言える必要はありません。「昨日の話を質問する文だから、最初にDidを置いて、後ろはplayにする」と説明できれば、考え方を確認できます。
ここで分からなかったところが、その日の復習内容です。
■2.理解したら、見本を隠して「自分で言う・書く」
解説を聞いて「なるほど」と思ったあとに、もう一段階、練習を入れてください。
今度は、見本を隠して答えます。
例えば、「彼は昨日テニスをしましたか」を英語で言い、何も見ずに書いてみます。
Did he play tennis yesterday?
書き終えてから、見本と比べます。
Didを忘れたのか。
playedと書いてしまったのか。
yesterdayのつづりを間違えたのか。
できなかった箇所が分かったら、そこを確認し、もう一度隠して書きます。
ノートに同じ文を何回も書いていても、毎回見本を見ながら写していると、「見ずに書けるか」は確かめられません。
私は、音読や書く練習のあとに、答えを見ないで言う・書く時間を取ることを大切にしています。
さらに、元の文が言えるようになったら、一部を変えてみましょう。
He studied English yesterday.
彼は昨日英語を勉強しました。
これを疑問文にすると、
Did he study English yesterday?
彼は昨日英語を勉強しましたか。
となります。
tennisの文だけを覚えていたのか、それともdidのあとに原形を置くことを使えるのか。別の動詞でも試すと、確認できます。
文法を理解することと、例文を覚えることは、両方必要です。意味と形を確かめた英文を繰り返し音読し、見ずに使えるところまで練習してください。
■3.その日にできても、翌日と数日後に再度試す
「昨日は覚えていたのに、今日は出てこない」
これは、英語を勉強していると起こります。
そこで、「覚えたはずなのに」と責めるより、思い出す機会を予定に入れておきましょう。
復習では、最初から答えを開いて読み直すのではなく、まず何も見ずに答えられるかを試します。
外国語の単語を学ぶ大学生を対象にした研究でも、一度正解した単語を繰り返し思い出す練習が、後日の記憶を助けることが示されています。
家庭学習では、例えば次のように取り入れられます。
練習した日の最後に、答えを隠して確認する。
翌日は、見本を開く前にもう一度答える。
数日後には、問題の順番を変えて試す。
単語なら、まず英語を見て意味を答えます。書けるようにすることが目標なら、日本語を見て英単語を書く練習も加えます。
その結果を、
○:すぐに答えられた。
△:考えれば答えられた。
×:出てこなかった、間違えた。
と分けておくと、復習するものを選びやすくなります。
△と×は、その日のうちに確認して、翌日も試します。○も外しっぱなしにせず、日を空けて確かめてください。
大切なのは、「一度正解したから終わり」にしないことです。
理解した英文も、数回音読すれば十分とは限りません。内容をつかみながら繰り返し声に出し、見ずに言えるか、日がたっても思い出せるかを確かめていきます。
■忙しい日は、復習の20分をこう使ってみてください
「理解して、練習して、復習するのは分かった。でも、部活もあって時間がない」
そんな場合は、最初に復習する範囲を絞りましょう。1日に全部をやり直そうとすると、始めるのも大変です。
例えば、20分の復習時間なら、次のように使えます。
【最初の5分】
昨日練習した単語や英文を、答えを見ずに確認する。出てこなかったものに印をつける。
【次の10分】
間違えた文法問題を一つ選び、単語の意味と答えの理由を確認する。正しい英文を音読し、隠して言う・書く練習を繰り返す。
【最後の5分】
同じルールを使う別の問題を解く。できなかったところを、翌日の確認に回す。
「今日は英語を20分やった」という記録に加えて、
「didのあとを原形にして書けた」
「昨日出なかった単語を答えられた」
と、できたことを一つ残しておくとよいと思います。
勉強時間だけでは見えにくかった変化を、本人も確かめられます。
■保護者の声かけも、勉強の中身に目を向けてみる
家庭では、
「何時間勉強したの?」
「単語は覚えたの?」
「前はもっとできていたのに」
と聞きたくなることもあるでしょう。
そんなとき、少しだけ聞き方を変えてみてください。
「今日は、どの問題が分かるようになった?」
「昨日より、見ないで答えられた単語は増えた?」
「次に確認するのは、どこにしようか?」
英語の正解を教えられなくても、何ができるようになり、どこに困っているかを一緒に整理することはできます。
本人にも分からないところは、印をつけて学校や塾の先生に聞く。そのときも、「全部分かりません」ではなく、迷った問題を一つ持っていくと、質問が具体的になります。
中学生の毎日は、勉強だけでできているわけではありません。部活や友達、学校行事など、大切な時間がたくさんあります。
だからこそ、机に向かった時間が、少しでも「できるようになった」という実感につながってほしいと思っています。
■まずは、間違えた問題を一つ選んでください
英語が苦手になったと感じたら、今日の宿題や最近のテストから、間違えた問題を一つ選んでみましょう。
意味と答えの理由を確かめる。
見本を隠して、自分で答える。
翌日と数日後にも、再度試す。
今回お伝えしたのは、この三つです。
「分かった」ところから、「自分でできる」「時間がたってもできる」ところまで、練習を続けていきます。
一つの問題ができたからといって、すぐにテスト全体の点数が変わるとは限りません。でも、つまずいている場所が分かれば、次に何を練習するかは決められます。
「英語が全部苦手」とひとまとめにせず、まだ分からないところ、練習が足りないところを一つずつ確かめていきましょう。
今日の一問を、明日も自分で答えられるようにする。
まずは、そこから始めてみてください。
Taka先生・根岸貴規