「やる気が出たら、英語を勉強しよう」
「もう少し英語ができるようになってから、講座を受けよう」
「今は忙しいから、落ち着いたら始めよう」
そう思っているうちに、何週間、何か月と過ぎていませんか?
英語を学びたい気持ちはある。でも、日々の生活に追われて、教材を開くところまでたどり着かない。そんな自分を見て、「やっぱり自分はやる気が足りない」と感じてしまう。
私は、そこで自分の気持ちを責める必要はないと思っています。
まず変えてほしいのは、毎日の生活の中に、英語を勉強する時間が用意されているかどうかです。
こんにちは。
英語講師のTaka先生・根岸貴規です。
外資系投資銀行で約20年勤務し、現在は英語講師として、累計14,000人以上の方の学習をお手伝いしてきました。
私が皆さんにお伝えしたいのは、「今のやる気や英語力を、学び始める条件にしなくていい」ということです。
毎日5分でも10分でも構いません。生活の中に勉強する時間を組み入れて、その時間に自分の身を置く。その積み重ねを支える環境こそ、大切にしてほしいのです。
やる気がある日は進める。ない日にも戻れる場所をつくる
もちろん、英語に興味があることはプラスです。
海外の人と話したい。英検に合格したい。仕事で英語を使いたい。そんな思いは、勉強を始めるきっかけにも、もう少し頑張る力にもなります。
ただ、毎日同じ強さで、その気持ちを持ち続けるのは難しいですよね。人間は感情の動物です。だからこそ感情に依存しない、疲れや心の状態に左右されない環境の中に身を置くことが大切なんです。
仕事で疲れた日もあれば、家のことで頭がいっぱいの日もあります。昨日は楽しかった単語の勉強が、今日は面倒に感じることもあるでしょう。
そのたびに学習量が変化していたら、パフォーマンスが上がらず、むしろモチベーションやヤル気が限られてしまいます。
そこで、例えば「朝の歯磨きが終わったら、食卓で単語帳を5分開く」と決めておきます。
気分が乗る日も、あまり乗らない日も、まずは同じ場所で、決めておいたページに取り組む。やる気がある日は、そこから少し進めればいいのです。5分のスキマ時間を「歯磨き化」してください。
やる気を高める工夫と一緒に、やる気が低い日でも始められる準備をしておきましょう。
今の英語力は、今日取り組む内容を選ぶ手がかり
「中学英語も怪しいのに、勉強を始めて大丈夫でしょうか?」という問い合わせを頂くことがあります。
大丈夫です。全く問題ないです!今できるところから取り組めばよいのです。
be動詞と一般動詞の違いが曖昧なら、そこを学ぶ。単語の意味が出てこないなら、基本語を確認する。英文を理解できても口が動かないなら、理解した短い英文を音読する。
今の英語力によって、必要な教材や練習は変わります。しかし、どの段階にいる人にも、学ぶ時間を生活に組み入れることはできます。これだけは平等なんです!
どんなに忙しい人でも、睡眠、食事、歯磨き、トイレ、入浴は欠かさずすると思います。ならば、その直前や直後に5分間だけやるという環境の中に自分の身を置く。
「英語が苦手だから、自分には無理だ」と大きく考えすぎず、今日の5分で扱う課題を小さくしてください。
「今日は、昨日間違えた5語の意味を確かめる」
「今日は、この例文の主語と動詞を見つける」
ここまで具体的になれば、何から始めればいいのかが分かります。
学習環境は、自宅の小さな準備から変えられる
「環境が大切」と聞くと、留学や英語を使う職場を思い浮かべる方もいるかもしれません。
でも、今回お伝えしたい環境づくりは、今日の自宅からできます。
例えば、勉強のたびに教材を探し、何をするか考え、音源を探し直していたら、始めるまでに時間がかかります。その途中でスマホの通知が来れば、別のことを始めてしまうかもしれません。
そこで、次の四つを準備します。
・教材を、勉強する場所の手に取れる位置に置く。
・次に開くページに、しおりや付箋を挟む。
・その日に取り組む範囲を、先に決めておく。
・5分間は通知を切るなど、学習を中断しにくくする。
音源をスマホで使うなら、すぐ再生できる画面にしておく。紙の教材だけで学べるなら、スマホを少し離れた場所に置く。
こうした小さな準備が、「始めよう」と思ったときの動きやすさを変えます。
学ぶ場所に座ったら、すぐに最初の一問へ進める。そんな状態を用意してください。
毎日していることの直後に、5分をつなげる
「時間が空いたら勉強する」という予定は、忙しい日に後回しになりやすいものです。
私がお勧めしているのは、すでに毎日必ずしている行動と、英語学習をつなげることです。
例えば、次のように決めます。
・朝の歯磨きの後に、単語を5分確認する。
・昼食を片づけた後に、昨日の例文を5分復習する。
・入浴後、髪を乾かしてから、短い英文を5分音読する。
・夜、歯磨きの前に、今日覚えた表現を5分確認する。
全部を実行する必要はありません。まずは、ご自身の生活の中で続けやすそうなタイミングを一つ選んでください。
さらに、「朝食後に英語をやる」から一歩進めて、「朝食後、食卓で、単語帳の昨日印をつけた範囲を5分確認する」と決めます。
いつ、どこで、何をするか。ここまで決めると、その場で迷うことが減ります。
5分を一日続けたら、5分。30日続けたら150分です。10分なら、30日で300分になります。
その時間の中で、同じ単語や英文に繰り返し戻れることにこそ意味があります。自分の人生というのはこのようなスキマ時間の蓄積によってどんどんより良いものになって開花していきます!
5分の中で、実際に何をするのか
時間を確保したら、そこで取り組む練習を決めましょう。
最初の5分は、単語でも、文法でも、音読でも構いません。今の自分に必要なことを一つ選びます。
単語なら、範囲を小さく区切り、日本語訳を隠して、意味が言えるかを確認する。出てこなければ答えを確かめ、少し間を置いてもう一度試します。
「また忘れていた」と感じるたびに、自分の記憶力を判定しなくて大丈夫です。迷った単語に印をつけ、次の5分でも確認できるようにしてください。
音読なら、単語の意味と文の構造を理解した短い英文を使います。音源で発音や区切り方を確かめ、意味を捉えながら声に出して読んでください。
途中で意味が分からなくなったら、その箇所を確認します。5分でたくさん進めようとせず、扱う英文を短くすればよいのです。
10分取れる日は、例えば次のように組み合わせられます。
・前半5分:昨日迷った単語を確認する。
・後半5分:意味を理解してある英文を音読する。
毎回新しい教材を探さなくても、手元にある教材の復習から始められます。
なお、5分は習慣をつくるための出発点です。目標とする英語力や試験までの期間によっては、さらに学習時間や練習量を確保する必要があります。
まず毎日の5分を生活に定着させる。そのうえで、10分に延ばしたり、別の時間帯にもう5分加えたりする。新しい文法の理解や長文の精読には、まとまった時間も使う。
このように、続けるための土台をつくりながら、目標に必要な学習へ広げていきましょう。
できなかった日も、戻るタイミングを決めておく
毎日の学習を目指していても、予定どおりにいかない日はあります。
そんなとき、翌日に全部を取り返そうとして、課題を倍にする必要はありません。まずは、次の決めたタイミングで、いつもの5分に戻ってください。
例えば、朝の5分を逃したときのために、「その日は夕食後に同じ範囲を確認する」と、予備のタイミングを一つ決めておく方法もあります。
体調が悪い日は休み、回復してから再開して構いません。
続かなかったときには、計画も見直しましょう。
原因が分かれば、時間を移す、範囲を減らす、講師に質問するなど、次の工夫ができます。
続けられなかった経験も、続けやすい環境をつくるための材料になります。
一人では後回しになるなら、人と学ぶ予定も使う
自分だけでは、どうしても勉強を後回しにしてしまう。そういう方は、人と学ぶ予定を生活に入れてみてください。
毎週、講座に参加する。決めた範囲の小テストを受ける。分からなかったところを講師に質問する。学習仲間と、今週取り組む内容を確認する。
次に学ぶ日や、確認する機会が決まっていると、その日までに取り組むことを整理しやすくなります。
その際、授業を受ける時間と、普段の5分をつなげることが大切です。授業で理解した内容を、翌日の短い時間に練習し、次の授業で確かめる。その流れをつくります。
私は、英語学習を部活にたとえてお伝えすることがあります。説明を聞いて理解したことを、実際に使えるようになるまで練習する。そのための時間と場所を、生活の中に持ってほしいからです。
英語力に不安がある方も、まずはご自身のレベルに合う学び方を相談してください。学ぶ環境に入る前から、完璧に準備ができている必要はありません。
今日、生活の中に「英語の5分」を一つ置こう
この記事を読み終えたら、次の三つを決めてみてください。
① 毎日している、どの行動の前後5分に勉強するか。
② どの教材の、どの範囲を5分間で扱うか。
③ その教材を、どこに置いておくか。
例えば、「夕食を片づけた後、食卓で、昨日間違えた単語を5分確認する」。そして今のうちに、そのページに付箋を挟んでおく。
ここまで決めれば、今日の学習はずっと始めやすくなります。
今の英語力に合わせた小さな課題を、日常生活の中で繰り返す。私は、そうした学び方を皆さんに身につけてほしいと思っています。
毎日5分でも10分でもいい。スキマ時間で十分です!
英語を学ぶ時間を生活に組み入れ、今日、その環境の中に自分の身を置いてみてください。
根岸貴規