こんにちは、吉田結妃です。
サビアンシンボルは、占星術の360の度数それぞれに、1920年代にアメリカの占星術家とチャネラーが創作した短い詩文です。私はこの360個すべてを消しゴムハンコで絵にして、「サビはん」と名づけたのですが、それまで経緯を書いておきたいと思います。
そもそも「サビはん」をなぜ作ろうと思ったか
サビアンシンボルを絵にしようと思ったのは30年ほど前で「松村潔著: 神秘のサビアン占星術 学研」を読んだことから始まります。360個の詩文がとても神秘的でした。でも私はイメージで理解するタイプなので、文章だけのサビアンだけでは、なかなかサビアンの深い世界へ入り込めなかったのです。これが絵で見れたらいいなと思い始めたのが最初。でも360個も作るなんて時間かかるしめんどくさい・・って思ってずっと取り掛からなかったのですが、いろいろなご縁で作りはじめたのでした。その時いちばん彫り慣れている消しゴムはんこでつくる「サビはん」という言葉も一緒に浮かんでいました。でも消しゴムハンコなんてなんでそんな技法を?とお思いでしょうが、私は版画を習っていたのです。
銅版画から、木口木版へ
20代前半に、版画工房の先生について銅版画を習っていたのですが、木口木版という技法にも興味を持ちました。これは写真製版ができるまえの本の図像のための技法で細かく彫ります。版木は年輪が詰まって硬い「柘植」が最適です。ところが、柘植は高くて希少なので、たくさんは使えません。そこで、練習用にゴム材を彫ってみることにしました。
練習のつもりが、自分のスタイルになった
彫ってみると、ゴム版の絵柄のほうが、自分の性格に合っていたのです。細く繊細な線より、ゴムならではののびのびとした、ダイナミックな線。この技法でゴム版画で個展を開いたこともあり、気づけば数多く彫っていました。
彫ったあとの絵は、太い黒の輪郭と、彫り跡の白いかすれが残るのが特徴です。細かい線は出せませんが、そのぶん、ひと目でぱっと印象が伝わります。
どうやって作ったか
図案:最初はジョーンズ版の原文をもとに、イメージを描き出し。AIのない時代すべて自分のイメージ力で生み出した自分には尊い作品たちです。
彫る:ハンコ用の消しゴムを、ハガキの半分ほどの大きさで使い、デザインカッターで彫りました。
色をのせる:彫った版を一度紙に押して、その絵柄をパソコンに取り込み、Illustratorで色を付けました。
カードと本にデザインをする
こうして、2014年から2017年の3年をかけて、360個がそろいました。その後1年ぐらいでカードで本にデザインしていきました。
手が止まった度数
360個のなかには、詩文のイメージがあまり良くないシンボルもあります。彫る手が止まったのは、そういう度数でした。
絵にするとき、いつも考えていたのは、「これを自分のネイタルに持っている人が、この絵を見たらどう思うだろう」ということです。言葉だけなら読み流せても、絵になると、ぱっと目に入ってしまいます。
蟹座5度、牡牛座24度、乙女座25度、天秤座2度、蠍座18度、魚座30度……。そんな度数が、全部でいくつかありました。どう彫ればよかったのかと思うこともあるけど、その制作時のベストなイメージを作ったと自分は思っています。
なぜ360個彫れたんだろう?
サビアンシンボルのイメージでカードにして自分の出生図を見てみたかったからです!!!取り憑かれたようなそんな夢があったのです。あと1回初めてしまったら、全部やらないといけないのでは・・と思ったのもあります。サビアン修行だと思いました。今AIを使う人が聴いたら「なんとタイパ悪い!」と思われるかもしれませんけど、達成感は本当にすごかったですよ。あと一つ一つ考えてつくりましたから、サビアンシンボルを絵で理解できたのでは・・と思っています。
展示もしました
完成した絵は、2017年6月に横浜岩崎ミュージアムで、2017年9月に南阿佐ヶ谷の「ウラナイトナカイ」で、作品を展示しました。


好きで続けてきたことが、つながった
銅版画を習っていなければ、木口木版に興味を持つことも、ゴム版に出会うこともなかったかもしれません。柘植が高価で、思うように使えなかったことさえ、今につながる遠回りでした。
好きで続けてきたことが、思いがけないところで道具になる。サビはんを彫りながら、そのことを何度も思いました。あなたの「好き」も何かにつながっていきますよ。