学校のテストや宿題で間違えた答えを赤で直し、解説も読んだ。それなのに、少し時間がたつと、同じような問題でまた間違えてしまう。そんなことはありませんか。
私の授業で間違えた理由を尋ねると、「計算ミスです」と答える生徒がいます。しかし、符号を変え忘れたのか、数字を写し間違えたのか、計算の順序を取り違えたのか。それぞれ、次に見直すべきことは違います。
解き直しで大切なのは、正しい答えを書き込むことだけではありません。自分の答案で何が起きたのかを確かめ、言葉にし、そのうえで答えを見ずにもう一度解くことです。
「解き直したのに、また間違える」のはなぜ?
赤で答えを直すことには、正解を記録する意味があります。解き直しノートにも、間違えた問題を振り返りやすくする良さがあります。
ただ、記録を仕上げたところで学習が終わってしまうと、自分の考え方がどこでずれたのかを見過ごすことがあります。そこで、答えだけでなく、間違いが起きた過程まで振り返ることを勧めています。
解き直しは「答えを直す」から「間違いを捉えて、自分で解く」へ
私が基本として勧めているのは、次の流れです。
丸つけをする。 まず、正解した問題と間違えた問題を確認する。
間違えた問題の答え・解説を読む。 正しい考え方を確かめ、自分の答案と比べる。
「何を・どこで・どのように間違えたのか」を言葉にする。 自分で整理しにくければ、指導者と一緒に確かめる。
答えや解説を見ず、最初から解き直す。 白紙に近い状態から、式や手順を自分で組み立てる。

間違えた理由は、短い言葉でもいい
たとえば方程式なら「移項するときに符号を変え忘れた」、文章題なら「求める数量を取り違えていた」。これなら、どの部分を見直すべきかが具体的になります。
長い反省文や整った説明は必要ありません。「どこをどう直す必要があったのか」が本人に分かる短い言葉で十分です。間違いを責めるためではなく、次に同じ問題に向き合うための確認です。
計算間違いも「うっかり」で終わらせない
「計算ミスだった」で終えてしまうと、次に何を直せばよいのかが曖昧なままです。符号、数字の転記、計算の順序、分数の処理など、実際にどの段階で答えがずれたのかを確かめます。
その手がかりになるのが途中式です。式や考えた跡がほとんど残っていないと、後から間違いをたどることが難しくなります。決まった形式を押しつけるためではなく、自分の考え方を見直せるように、普段から式や計算を残しておくことにも意味があります。
また、「計算ミス」と思っていても、計算そのものではなく、問題で求められている数量を取り違えている場合があります。たとえば距離を求める問題で、計算した速さをそのまま答えにしていたなら、計算練習だけでなく、問題文の読み方や式の数字・文字が何を表しているかを確かめる必要があります。
うまく言葉にできないときは、問いを小さくする
もちろん、生徒が一人で間違いの原因を説明できるとは限りません。私の授業では、「この数字は何を表している?」「どこまでは分かっていた?」「どの計算から合わなくなった?」「なぜこの式を使った?」「何を求める問題だった?」と、問いを細かく分けながら一緒に整理します。
説明の流暢さだけで理解度を決めることはしません。大切なのは本人がずれに気づき、次の解き方につなげることです。
整理できたら、答えと解説を閉じて解き直します。途中で手が止まれば、もう一度確認して構いません。必要な基礎が抜けている場合は、そこまで戻って考え直します。
間違えた問題は、全部同じように解き直すべき?
私は、間違えた問題をすべて同じ回数だけ解き直せばよいとは考えていません。
今後の単元でも使う基本計算や、文章題の土台になる考え方は、優先して確認したい部分です。一方で、現時点では前提となる知識が足りない難問に、長い時間をかけ続けることが最善とは限りません。
今の理解度、次の学習へのつながり、目標とするテストでの得点可能性などを踏まえて、取り組む順番を考えます。難しい問題を一律に後回しにするわけでもありません。ノートの見栄えや、解いた回数そのものを目的にしないことが大切です。
「解き直しができた」をどう確かめる?
一つの目安は、答えや解説を見ず、最初の式や考え方から最後の答えまで、自分の力でたどり着けることです。
ただ、解説を読んだ直後に解けたとしても、いつでも解けるようになったとは限りません。必要に応じて日を空け、同じ問題や似た問題を自力で解けるか確かめることも、一つの方法です。
日数や回数に、すべての子に共通する決まりはありません。正解したかどうかだけでなく、どんな式を立て、どこを考え直したのかも、答案や実際の解き方から見ていきます。
家庭で抱え込まず、指導者と役割を分けてもよい

ここまでの確認を、保護者がすべて引き受ける必要はありません。間違いの原因を探し、本人の説明を引き出し、どの問題を優先するか判断することは、学校や塾、家庭教師などの指導者に任せられる部分です。
私の授業でも、答案や途中式を見ながら、生徒と一緒に考え方がずれた場所を整理しています。授業中に時間が取れなければ、本人に授業後の解き直しを伝え、保護者への報告でも必要性を共有することがあります。
家庭での確認が親子双方の負担になっているなら、保護者が教える役割まで担わず、必要な場面で指導者に相談する方法もあります。一方、親子で無理なく学習を振り返れているなら、その関わり方を否定する必要もありません。家庭ごとに合う距離で支えてよいと思います。
まとめ|次に自分で解けることを目指して
私が勧めるのは、丸つけ → 解説の確認 →「何を・どこで・どう間違えたか」を言葉にする → 答えを見ずに最初から解くという流れです。
計算の誤りも「うっかり」で片づけず、必要なら指導者と一緒に原因を整理する。そして、優先すべき問題から取り組み、必要に応じて、後日も自力で解けるかを確かめる。解き直しを、正解を書き込む作業で終わらせないために、私が大切にしていることです。
オンライン家庭教師の授業でも、途中式や考え方を確認し、必要に応じて基礎まで戻りながら、自力で解けることを目指しています。こうした指導方針が合いそうだと感じた方は、記事下部の関連講座もご覧ください。