「勉強しなさい」と声をかけると、つい言い合いになってしまう。テストの結果が気になって家で教えようとしても、子どもが嫌がって話が進まない。そんなとき、「親はどこまで勉強に関わればいいのだろう」と迷うことはありませんか。
先に結論を言えば、親が教えることでうまく学べているなら、その関わり方を続けて構いません。一方、勉強のたびに言い合いになるなら、親が教える範囲を減らしてもよいでしょう。親がすべてを教えなくても、子どもの勉強を支える方法はあります。
中学生の勉強に、親はどこまで関わるべき?
私はこれまで、塾講師として18年、そのうち12年は塾長を務め、現在はオンライン家庭教師として小中学生の学習を見ています。その経験からも、「親が勉強を教えたほうがいいですか」と聞かれて、一律に「はい」「いいえ」と答えることはできません。
親の説明で納得できる子もいれば、親から勉強の話をされるだけで身構えてしまう子もいます。保護者の時間や得意科目、普段の親子の距離感も家庭ごとに違います。
たとえば、子どもから「ここを教えて」と頼まれ、親も無理なく説明できるなら、その関わり方を続けて構いません。反対に、親が説明するほどお互いにいら立つなら、勉強を教える役割を少し手放すことも選択肢です。
大事なのは、親がどれだけ教えたかではなく、その関わり方が今の親子にとって無理のないものかどうか。教える・教えないの二択ではなく、必要なときだけ手伝う、学習の予定だけ相談する、といった距離の取り方もあります。
こんな様子が続いたら、関わり方を見直してみよう
次のようなことが続いているなら、少し振り返ってみてもよいかもしれません。
勉強の話が、いつも言い合いになってしまう。
最初は「宿題は終わった?」という一言だったのに、気づけば声が強くなっている。そんなやりとりが続くと、勉強の中身を確認する前に親子が疲れてしまいます。話すタイミングや、親がどこまで口を出すかを変えてみる余地があります。

できていないところばかりが話題になる。
テストの間違いや提出物の遅れは、どうしても気になります。ただ、そればかりを指摘する会話になっていないか、一度思い返してみてください。子どもが取り組んだことや、前より自分でできたことを見落としている場合もあります。
勉強の準備や声かけを、親が一人で抱え込んでいる。
予定を調べたり、教材を用意したり、声をかけたり。子どものために動いているのに、本人との温度差を感じることもあるでしょう。それは熱心さが悪いということではありません。親子それぞれが何を望み、どこに負担を感じているかを確かめるきっかけにできれば十分です。
勉強を教える以外にも、家庭でできることはある
勉強への関わり方は、問題を解説したり、点数を確認したりすることだけではありません。
たとえば、子どもが自分から机に向かったとき。分からない問題をそのままにせず質問できたとき。自分で「今日はここまでやる」と決めたとき。そうした小さな行動に気づいたら、短く言葉にしてもよいと思います。
「自分から始めたんだね」
「先生に聞けたんだね」
「予定は自分で決めたんだね」

声をかけられるのを嫌がる子もいます。その場合は、あえて何も言わず、余計な口を挟まずに見守ることも、その子に合った認め方です。
点数だけに目を向けず、できたことに気づいたときに認める。それくらいの自然な関わり方でもよいのではないでしょうか。
勉強の理解確認や間違いの修正は、指導者に任せてもよい
親が勉強を教えようとすると、問題の解き方だけでなく、「そもそも、どこから分からなくなったのか」まで確認する必要が出てくる場合もあります。これは時間もかかりますし、親子だからこそ冷静に進めにくい場合もあります。
学校の先生や塾、家庭教師など、勉強を見る人がいるなら、理解度の確認や間違いの原因を探す役割を任せることもできます。すべての家庭で、新たに塾や家庭教師を利用する必要があるということではありません。
とくに数学や理科では、答えが合っていても、途中の考え方まで理解できているとは限りません。オンラインで指導するときは、間違えた問題をその場で直すだけで終わらせず、必要なら、その問題を解くための基礎まで戻ります。また、正解した問題でも、途中式や「どう考えたか」を確かめることがあります。
ただし、考え方を流暢に説明できないからといって、それだけで理解できていないとは判断しません。言葉で説明することに慣れていない子もいるため、「これは何を表している?」「この数字の単位は?」「なぜこの式を使った?」と細かく尋ねながら確認します。
答えを赤で写して終わりにせず、最後は自分の力で解けることを目指しています。

こうした確認を学校や指導者に任せられれば、家庭では「何に困っている?」「今週の予定はどうする?」と話を聞いたり、勉強しやすい環境を一緒に考えたりできます。
教える役割を減らすことは、子どもの勉強に無関心になることではありません。役割を分けても、気にかけたり、必要なときに相談に乗ったりすることはできます。
ただし、成績の大きな低下や提出物の未提出が続いている場合は、関わりを急に減らして様子を見るだけでは不十分なこともあります。家庭で確認することと、学校や指導者に相談することを分けて、必要な支援を考えていきましょう。
親子で勉強の話がつらくなったとき、まず試したいこと
勉強の話をするたびに雰囲気が悪くなるなら、すべてを変えようとしなくて大丈夫です。まずは、次の三つだけ振り返ってみてください。
最近、勉強についてどんな言葉をかけていただろう。
子ども自身がどうしたいか、聞く機会はあっただろうか。
自分がその場で教えたり、確認したりしなくてもよい部分はないだろうか。
一つ変えるなら、間違いを見つけてすぐ解き方を説明する代わりに、「今、困っているところはある?」と聞いてみるのはどうでしょう。
「自分でやってみる」と返ってきたら、いったん任せてもよいと思います。「ここが分からない」と言われたら、教えるか、先生に聞けるよう一緒に整理するかを考えられます。
一方、「別に」「分からない」と返ってきたり、何も答えなかったりすることもあります。その場で答えを出させようとせず、「必要になったら声をかけて」と伝えて、いったん話を終えても構いません。
言い合いになりそうなときは、その場で結論を出そうとせず、少し時間を置く。毎回うまく話し合おうと頑張るより、まず一度、いつもと違う声のかけ方を試すくらいで十分です。
まとめ|親がすべてを背負わなくてもいい
中学生の勉強に、親がどこまで関わるべきか。家庭によって答えは違いますし、今うまくいっている関わり方を変える必要もありません。
ただ、勉強をめぐる言い合いが続き、親子のどちらかが負担を感じているなら、役割を見直してもよいと思います。必要に応じて、理解度の確認や間違いの修正を学校や指導者に任せ、家庭では子どもの話を聞く。子どもが自分で動けたときに、そっと認める。そんな支え方もあります。
まずは次に勉強の話をするとき、説明する前に一度、子ども自身の考えを聞いてみてください。答えが返ってこなければ、その場では追いかけず、話せる余地だけ残しておきましょう。
関連講座では、中学生の数学・理科を中心に、答えだけでなく途中式や考え方を確認し、必要に応じて基礎まで戻って授業を進めています。
家庭で教えると言い合いになってしまう、どこから分からなくなったのか判断しにくいという場合も、講座ページからご相談ください。