「お子さんは今、英語でどんなことができるようになりましたか?」
英語を習い始めて何年になるか。週に何回通っているか。月謝はいくらか。
そこは答えられても、「今、一人で何ができるのか」と聞かれると、よく分からない。そんなことはありませんか?
小1・小2のうちから英語に親しむ機会をつくっているなら、その学びをどう続けていくかも考えておきたいところです。中学受験を選ぶことになれば、英検4級・3級を加点や出願条件として使える学校もあります。
ただ、教室に通っている年数だけでは、目標の級にいつ届くかは分かりません。今できることと、次に練習することを、先生と一緒に整理しておく必要があります。
今回は、小学校低学年の保護者の方に向けて、今からできる準備と、小3ごろから小5の終わりまでに3級を目指す計画をお伝えします。英検を入試に使える関東・関西の共学校も、具体的に紹介します。
こんにちは。英語講師のTaka先生・根岸貴規です。私は日本国内で教科書の音読を中心に英語を身につけ、その英語を使って外資系投資銀行で約20年間働いてきました。英検1級・TOEIC980点を取得し、これまで累計14,000人以上の方に英語学習を指導してきました。ストアカでは、2022年から2025年まで4年連続で「最多受講者賞」を、2025年には「ストアカン・オブ・ザ・イヤー」をいただきました。
目次
■ 低学年の今|「小1・小2では、何をしておけばいいの?」
まず大切にしたいのは、英語に親しむ楽しさです。歌、絵本、教室でのやり取りなど、本人が好きなものを入り口にしてください。
そのうえで、家庭では次の三つに取り組んでみましょう。
① 聞いたことのある英語を、文字と結びつける
今使っている教材を、お子さんと一緒に開いてみてください。
例えば、猫の絵を見てcatと言えるなら、音声を聞きながらcatという文字にも目を向けます。文字と音のつながりは、先生や教材の説明に沿って少しずつ学びます。
短い文なら、こんな例があります。
I like cats.
「私は猫が好きです」
音声をまねして言ってみる。文の意味を知る。文字を指で追いながら、もう一度聞く。慣れてきたら、自分でも読んでみる。
最初から一人で読めなくても構いません。今できるところから、音・文字・意味を結びつけていきます。
② 先生に「次に何を学ぶのか」を聞く
教室によって、会話、読み書き、検定対策など、力を入れている内容は違います。将来、英検を受けたいと考えているなら、その希望を先生に伝えておきましょう。
「今、この子は何ができるようになっていますか?」
「読む・書く練習は、どのように進めていきますか?」
「家では、教材のどこを復習すればよいですか?」
こう聞けば、家庭での取り組みも決めやすくなります。
まだ英語を始めていない場合は、文字の読み方から教われば大丈夫です。ほかの子の取得級を見て、急に難しい問題集を始める必要はありません。
③ 毎日の生活に、5分の練習を入れる
朝食の後に教材を開く、夕食の前に音声を聞くなど、毎日繰り返す行動と組み合わせます。
「時間があったらやろう」ではなく、「朝食の後に、このページ」と決めておく。保護者も最初は隣で一緒に取り組んでみてください。
教材を何冊も増やすより、教室で習った短い文を家でも使ってみるところから始めてほしいと思います。
5分は、習慣をつくるための始め方です。それだけで3級まで合格できるという意味ではありません。目標や理解度に合わせて、学習量は調整していきます。
短い復習を生活に組み込む工夫は、こちらの記事で紹介しています。
■ 小3からの計画|「いつ、何級を目指せばいいの?」
私なら、一つの目安として、小3ごろに5級、小4で4級、小5の終わりまでに3級を目指す計画を立てます。
小6で国語・算数などの受験対策に使う時間を確保しやすくするためです。もっとも、これは全員に当てはまる標準ではありません。本人の理解度、他の習い事、学校や塾の学習との兼ね合いで調整します。
① 小3ごろ|5級を目標に、基礎を整える
単語の読み方と意味、be動詞や一般動詞などを学びます。短い英文を自分で読んで、何が書いてあるか分かる経験を増やしましょう。
5級は、その後の4級・3級に向けて、基礎を確かめる目標として考えます。
② 小4|4級を目指し、読める英文を増やす
語彙や文法の範囲を広げ、まとまりのある英文にも取り組みます。意味を理解した英文を聞き、音読して、読む力と聞く力を育てます。
③ 小5|3級に向けて、書く・話す練習を進める
3級では、読む・聞く力に加えて、ライティングと面接への準備が必要です。公益財団法人 日本英語検定協会
習った単語や文の形を使って、自分のことを書く。身近な質問に英語で答える。模範文の意味や組み立て方を理解し、自分でも表現する練習へ進みます。
④ 小6|志望校の受験科目に重点を置く
英検を使う入試方式や提出書類を確認し、国語・算数などの対策を進めます。英語も短い復習を続け、身につけた力を保ちましょう。
英検の公式な難易度の目安は、5級が中学初級、4級が中学中級、3級が中学卒業程度です。小学生にとっては先取り学習ですから、学年の予定に合わせるために、分からないところを飛ばしてはいけません。公益財団法人 日本英語検定協会
■ 中学受験での活用|「どんな学校で、どう使えるの?」
ここからは、英検を受験に使える共学校を5校紹介します。
以下は、2026年11月9日時点で確認した2027年度入試の例です。今、小1・小2のお子さんが受験する頃には、制度が変わる可能性があります。将来の学校選びを考える材料にして、実際の受験年度に改めて募集要項を確認してください。
① 成蹊中学校〈東京〉|3級以上で「英語資格利用型」の出願対象に
2027年度から一般入試に「英語資格利用型」が新設されます。英検3級以上の取得が出願条件の一つで、取得時期は問いません。
国語・算数の筆記試験、英検取得級による「みなし得点」、出願書類を総合して選考します。みなし得点は、3級が50点、準2級が75点、準2級プラスが80点、2級が90点、準1級以上が100点です。
募集人数は男女合わせて若干名。英検3級以上は出願条件の一つですから、合格に向けて国語・算数の準備も欠かせません。www.seikei.ac.jp
② 森村学園中等部〈神奈川〉|第2回入試で英検CSEスコアに応じて加点
第2回入試で「2科目(英語利用)」または「4科目(英語利用)」を選ぶと、英検CSEスコアに応じて判定点に加点されます。
・1456〜1727点:5点加点
・1728点以上:10点加点
募集要項では、それぞれ3級、準2級以上に対応する区分として示されています。英検の合否にかかわらずスコアで判断する制度で、4級は加点対象外です。www.morimura.ac.jp
国語・算数などで取った点数に、英語学習の成果を上乗せできる例です。
③ 立命館中学校〈京都〉|3級相当以上が「英語力優遇」の審査条件に
前期A方式の「英語力優遇」では、英検3級相当以上が出願資格審査の条件の一つです。
小学校の成績や諸活動への参加も条件に含まれます。事前審査を受けたうえで、当日の学科試験・面接などで合否が判定されます。www.ritsumei.ac.jp
英語の先取りに加え、小学校の授業や日々の活動にも丁寧に取り組んでおきたい制度です。
④ 桃山学院中学校〈大阪〉|3級以上の取得者に優遇措置
英検3級以上の取得者には、級に応じた優遇措置があります。国公立大学や難関私立大学などへの進学を目指す「6年選抜」「6年進学」のコースを設けています。www.momoyamagakuin-h.ed.jp
優遇の具体的な扱いや提出書類は、学校に確認しておきましょう。
⑤ 近江兄弟社中学校〈滋賀〉|4級から入試得点に加点
専願・併願入試では、英検4級で10点、3級で20点、準2級以上で30点が加点されます。www.vories.ac.jp
「まだ3級には届いていない」という場合でも、4級を受験に生かせる例です。
このように、同じ級でも、出願条件になるのか、得点に換算されるのか、加点されるのかは学校によって違います。資格だけで合格が決まるわけではありません。
また、「いつまでに取得するか」も大切です。例えば、立命館中学校の2027年度「英語力優遇」は、事前審査書類の郵送期限が2026年11月30日消印有効です。入試当日までに合格すればよい、という制度ではありません。www.ritsumei.ac.jp
志望校が見えてきたら、必要な級、対象の入試方式、証明書の提出期限、取得時期の指定を調べてください。合格発表や証明書の準備まで含めて予定を立てます。
■ 家庭での学習|「読む力がついてきたら、どう練習するの?」
私が大切にしているのは、「分かる」「できる」「忘れない」の3段階です。
説明を聞いて分かったことを、自分でもできるまで練習する。そして、忘れないように繰り返す。
単語や短い英文を読み始めたら、家庭でも次の練習を取り入れてみてください。
① 単語は、一つの意味が1秒で出る状態を目指す
まず、対象の単語を決めます。読み方が分からなければ、音声と一緒に確認します。
日本語の意味を隠し、英単語を見て、一つの意味を思い出してください。
・1秒ほどで意味が出れば「○」
・思い出すのに時間がかかれば「△」
・分からなければ「×」
特に△と×を繰り返します。思い出せない単語の前で長く考え込まず、意味を確認し、次のスキマ時間にも同じ範囲を見直します。
朝食の後、帰宅後、お風呂の前など、短い時間ができるたびに触れる機会を増やしましょう。最初から複数の意味を一度に覚えようとせず、まず一つをすぐに思い出せることを目指します。
② 文法は、短い英文で仕組みを理解する
I play soccer.
「私はサッカーをします」
He plays soccer.
「彼はサッカーをします」
この例では、「誰が」「どうする」「何を」に当たる部分を見ます。現在の習慣を表す文で、主語がHeになると、動詞はplaysになります。
説明を聞いた後は、soccerをtennisに替えるなどして、自分でも文を作ってみます。保護者が文法をすべて教える必要はありません。分からないところは先生に聞き、家では習ったことを使う練習をしてください。
③ 意味を理解した英文を、繰り返し音読する
単語や文の意味が分かったら、音声を聞いてまねをします。
一度読めたら終わりにせず、同じ英文を繰り返しましょう。誰が何をしているのかを思い浮かべ、意味を追いながら読みます。慣れてきたら、音声だけでも内容が分かるか試してみてください。
週に一度は、学んだ範囲の別の英文や問題にも取り組みます。同じ問題の答えを覚えているだけなのか、習った内容を使えるようになったのかが見えやすくなります。
英検に向けた学習の優先順位は、こちらの記事でも解説しています。
■ 保護者の関わり方|「英語が苦手な親にも、できることはある?」
「前は迷っていた単語が、今日はすぐ出たね」
「この文、一人で読めるようになったね」
こうした声かけは、英語が得意でなくてもできます。点数や級だけでなく、昨日までできなかったことに目を向けてあげてください。
うまく進まないときは、「何年も習っているのに」と子どもを責める前に、教材の難しさや復習の量を先生と見直しましょう。
そして、勉強を見ることと同じくらい大切にしてほしいのが、子どもの興味に付き合う時間です。
まだ志望校を決めていなくても、低学年の参加が可能な学校説明会や学園祭があれば、親子で出かけてみてください。
楽しそうな部活動を見る。理科の展示に触れる。そこに通っている生徒と話す。
帰り道には、「どんなところが面白かった?」と聞いてみましょう。親がいいと思った学校でも、本人は別のところに関心を持つかもしれません。
塾や習い事にお金を使うことは、親ができる支援の一つです。それに加えて、一緒に出かけ、話を聞き、子どもの「もっと知りたい」に自分の時間を使う。私は、そこにも保護者の大きな役割があると思っています。
すぐに受験の目標が決まらなくても構いません。本人がどんなことに心を動かされるのかを、少しずつ知っていってほしいのです。
「子どもが勉強しない」と悩む保護者へ|親子で「行きたい」「学びたい」を育てるために
■ 高学年から始める場合|「もう小5では、遅い?」
ここまで低学年の保護者の方に向けて書きましたが、小5だから間に合わないと決める必要はありません。
すでに短い英文を読める子と、アルファベットから学ぶ子では、必要な準備が違います。まずは先生に現在の力を見てもらい、志望校の制度と受験までの時間を踏まえて計画を立てましょう。
他教科の学習状況によっては、国語・算数を優先する判断も必要です。この記事の学年別の予定を、短期間に無理に詰め込まないでください。
■ 今日の一歩|「まず、何から始めよう?」
今日、お子さんと教材を一緒に開き、「好きなページを教えて」と聞いてみてください。
知っている単語を言ってもらう。短い文を一緒に聞く。読めそうなら、読んでもらう。そこから今の学習の様子が分かります。
次に先生と話すときは、将来、英検や中学受験への活用も考えていることを伝え、今の教材で家でも練習したいところを一つ教えてもらいましょう。
低学年の今、受験の予定をすべて決める必要はありません。ただ、数年後に慌てないために、今の習い事がどんな力につながっているかは知っておきたいと思います。
「英語は習わせています」の、その先へ。
「今日はこの文を、一人で読めたね」
そんな会話を、親子の毎日に増やしていってください。
根岸貴規
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