ある訪問看護の現場での出来事が、今の私の活動の原点のひとつです。
ご自宅で療養されていた男性の患者さん。
点滴を受け続ける中で全身のむくみが強くなり、ご家族も不安を抱えていらっしゃいました。
ある日、娘さんから、
「父は“延命は望まない”と言っていた気がするんです。でも、はっきりとは分からなくて……」
と相談を受けました。
私は、ご本人が自分の最期について考えていた方なら、もしかすると何か書き残されているかもしれません、とお伝えしました。
数日後、ご本人の意思が書かれた書面が見つかりました。
その経験を通して、私は改めて感じました。
自分はどうしたいのか。
そして、家族としてどこまで関わりたいのか。
答えは、家族だからといって同じではありません。
私は看護師として37年以上、病院や訪問看護など、さまざまな場所で患者さんやご家族と関わってきました。
そして今、私自身も親の老いと向き合う年代になりました。
親を大切にしたい。
でも、これまでの親との関係を考えると苦しい。
できることはあっても、すべてを引き受けたいわけではない。
距離を置きたいと思う自分に、罪悪感を抱いてしまう。
そんな気持ちは、簡単に「親孝行」「親不孝」という言葉だけでは整理できないものだと思っています。
私の講座では、正解を押しつけるのではなく、
「私はどうしたい?」
「私は何なら引き受けられる?」
「私は何を引き受けない?」
「人や制度に任せられることは何だろう?」
そんな問いを一緒に整理していきます。
できることと、引き受けることは違います。
親を大切にすることと、自分の人生を大切にすること。
どちらか一方を諦めるのではなく、自分なりの「私はここまで」を考えていく。
そして人生の最期についても、介護についても、家族との関係についても、
「どうすべき?」だけではなく、「私はどうしたい?」から考えてみる。
そんな時間をお届けしています
自分らしい人生と家族のことを考える看護師