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【講師挨拶】コミュニケーションの壁を乗り越えてみて気付いたこと

【講師挨拶】コミュニケーションの壁を乗り越えてみて気付いたこと

株式会社セイル代表、人事コンサルタントの藤原誠です。

普段は人事コンサルティング会社を経営しながら、20年以上にわたり、企業の採用活動、社員研修、組織作りなどのお手伝いをしています。また、本業で得た経験や気づきを個人の方々にも役立てていただければと思い、ストアカでロジカルコミュニケーション講座も約7年ほど開催しています。(休日にほそぼそとですが…)

私はこれまで、人生の節目で何度もコミュニケーションの壁にぶつかってきました。その経験から学んだことは環境が変われば、求められる話し方も変わるということ。そして、伝え方には知っておくと役立つコツや型があるということです。そう考えるようになった私自身の経験を少しお話ししたいと思います。

子どもの頃は、人と話すのが苦手でした

私は生まれつき体が弱く、小学校4年生くらいまでは病院通いが続いていました。そのため、同年代の友達と遊んだり話したりする機会があまりない子供時代でした。

幸い、成長するにつれて体は丈夫になっていったのですが、なんせ人と話してないので、とにかく人の輪に入っていくのが苦手な子供でした。周りの人たちが楽しそうに会話しているのを見ては、「みんな、どうしてそんなに自然に話せるんだろう?」と不思議に思っていました。

そして、こんなことも考えていました。
「話し方にも、何かルールみたいなものがあればいいのになぁ」

スポーツには基本のフォームがありますし、勉強には公式や解き方があります。だったら、人と話すことにも、何か決まったやり方があればいいのに。そうすれば僕はもっと楽に友達が作れるのに、と。

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カナダで思い知った「話さなければ伝わらない」という現実

高校を卒業した私は、カナダの大学で経済学を学び、卒業して日本へ帰国することになります。

カナダに渡った当初もなかなか大変でした。行けばなんとかなると言い訳し、英語をそれほど真剣に勉強しないまま行ってしまったので。コミュニケーションが上手とか下手とかのレベルではなく、そもそも「言葉が通じない」という状況に直面しました。

ただでさえ人と話すことが得意ではないのに、今度は通じない。これはなかなか厳しい。

しかも、大学の授業ではプレゼンテーションやディベートが頻繁にあります。カナダの学生たちは、とにかく積極的です。自分の意見を堂々と主張し、時には熱く議論する。そんな姿に、私はすっかり圧倒されてしまいました。英語もうまく話せませんし、発言することにも消極的になっていました。

そんなある日、教授からこんなことを言われました。

「良いアイデアも、話さなければ、考えていないのと同じだよ」

この言葉は、今でもよく覚えています。最初はそこまで言わなくても!と思いましたが、議論の場では、自分の考えを言葉にしなければ、周囲の人には伝わらない。確かにその通りだと思いました。

そこで私は、考え方を変えることにしました。

「うまく話すことよりも、まずは発言することを大切にしよう」

文法が間違っていても、途中で言葉に詰まっても、とにかく自分の考えを口にする。質よりも量を意識するようにしたんです。もちろん、簡単にできるようになったわけではありません。それでも、少しずつ発言を重ねながら、なんとか大学を卒業することができました。

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帰国後、またコミュニケーションの壁にぶつかる

大学を卒業して日本へ帰国し、企業に就職しました。これで英語の苦労からも解放され、日本語で仕事ができる。さぞかし楽になるだろうと思いきや、今度は別の壁にぶつかりました。社会人として求められるコミュニケーションが、大学時代とはまったく違っていました。

大学時代は、とにかく積極的に自分の意見を発信することを意識していました。ところが、仕事ではそれだけでは不十分です。

「なぜ、そう考えるのか?」
「その根拠は何か?」
「その結論に至るまでの道筋は?」

自分の考えを、根拠や因果関係を示しながら、客観的かつ論理的に説明することが求められました。会議では、周囲の人たちが当たり前のように筋道立てて発言しています。そんな中で、自分の発言に引け目を感じることもありました。

「あれ? 自分ってこんなに頭、悪かったっけ?」そんな気持ちになることもありました。

そして、ある日、会社の先輩からこんなことを言われたんです。

「会議で発言しないのは、いないのと同じだよ」

そのとき、ふと思いました。「あれ? これ、どこかで聞いたような……」
そうです。大学で教授から言われた言葉です。

「良いアイデアも、話さなければ、考えていないのと同じだよ」

国も違えば、言葉も違う。大学の授業と会社の会議という、まったく違う環境なのに、同じようなことを言われている。そして改めて気付きました。

どんなに考えていても、相手に伝えなければ、その考えを仕事に生かすことはできない。だから、うまく説明できなくても、発言することだけはやめないようにしよう。そう考え、周囲の人たちの話し方を参考にしたり、うまく伝わらなかった理由を考えたりしながら、少しずつ仕事で求められる話し方に慣れていきました。

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起業してからは、さらに転機と壁の連続でした

最初に入社した会社は、4年ほどで退職して起業しました。そして、そこからがまた大変でした。さらなる出会いの連続でした。優しい人、厳しい人、怖い人。コンサルタントとして、経営者として、論理的に説明することが必要な場面もあれば、相手への共感が何より大切な場面もありました。気付けば、組織のマネジメントに携わるようになって20年以上が経ちました。そしてこれまでの経験を通じて、一つ確信に近いものを持つようになりました。

人生の転機には、コミュニケーションの壁が現れる

人生の環境や立場が変わる時、求められるコミュニケーションスタイルも変化するので、必ずそこには戸惑いが付き物であるということです。

例えば、転職して新しい会社に入った時。それまでの職場では問題なくコミュニケーションを取れていたのに、新しい職場では自分の意見がうまく伝わらない。あるいは、管理職に昇進したとき。それまでは自分の仕事をきちんとこなせばよかったのに、今度は部下に方針を伝えたり、経営層に説明したりする必要が出てくる。

そんなとき、「自分はコミュニケーション能力が低いのではないか」と感じてしまうことがあると思います。でも、必ずしもそうではないんです。

自分の能力が下がったのではなく、周囲から求められるコミュニケーションの質が変わっただけかもしれません。

私自身、カナダへの留学、帰国後の就職、そして起業と、環境が大きく変わるたびに、コミュニケーションの壁にぶつかってきました。だからこそ、今コミュニケーションに悩んでいる方には、必要以上に自信をなくしてほしくないと思っています。

環境や立場が変われば、求められることも変わります。その変化に合わせて、自分の伝え方も少しずつ変えていけばいいんです。そして、うまく話せないからといって、話すこと自体は諦めてほしくありません。

「話が分かりにくい」と言われたからといって、あなた自身が否定されたわけではありません。

もしかしたら、相手に丁寧に伝えようとするあまり、話が長くなってしまっただけかもしれません。そうであれば、その丁寧さは大切にしながら、伝え方を少し変えてみればいいかもしれません。

最初から完璧な発言を目指さなくても大丈夫。まずは自分の考えを言葉にしてみること。

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大人になって知った「話し方の型」

そんな私が30代で知ったのが、PREP法をはじめとする、話し方の「型」でした。例えば、PREP法は「結論→理由→具体例→結論」という順番で話す方法です。これを知ったときは、ちょっと感動しました。

「なんだ、話し方にもちゃんと型があるんじゃないか!」

子どもの頃に欲しいと思っていたものが、実はちゃんと存在していたんです。

ほかにも、課題解決の道筋を整理するTAPS法、事実・解釈・行動を整理する雲雨傘、商品の魅力を伝えるFABE法、相手に配慮しながら自分の意見を伝えるDESC法など、さまざまな型があります。

目的や場面に応じて型を使い分けることで、自分の考えを整理したり、相手に分かりやすく伝えたりしやすくなります。もちろん、型を知れば何でも解決するわけではありません。でも、何から話せばいいのか分からなくなったときに、立ち戻れる基本がある。それだけでも、ずいぶん心強いものです。

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結局、コミュニケーションは誰のためにするものなのか?

これまでの経験を通じて、私が一番大切だと感じるようになったことがあります。それは、コミュニケーションは、自分のためではなく、相手のためにするものだということです。例えば、会議で発言するとき。

「格好良く話したい」、「頭がいいと思われたい」、「変なことを言って恥をかきたくない」

そんなことばかり考えていると、意識がどんどん自分自身に向いてしまいます。そうすると、周囲の反応が気になったり、失敗することが怖くなったりして、ますます緊張してしまう。私自身、そんな経験をしてきました。

でも、考え方を少し変えてみるとどうでしょう。

「相手は何を知りたいんだろう?」、「どう説明すれば、相手にとって分かりやすいだろう?」、「この話をすることで、相手の役に立てないだろうか?」

こんなふうに、意識を自分ではなく相手に向けてみるんです。すると、不思議と徐々に、緊張が和らいでいきます。自分を格好良く見せようとする必要も、頭がいいと思わせようとする必要もない。守らなければならない自分の見栄がなくなると、ずいぶん気持ちが楽になるものです。

そして、相手の立場に立って話すようになると、相手も話を聞きやすくなります。こちらの話が伝わりやすくなれば、相手も質問や意見を返してくれる。そうすると、こちらも相手のことをもっと理解できるようになる。そんな好循環が生まれるんですね。

もちろん、いつもうまくいくわけではありません。でも、少なくとも私自身は、そう考えるようになってから、コミュニケーションに対する向き合い方が大きく変わりました。

だからこそ、まずは「聞くこと」を大切にしたい

相手のために話すのであれば、まず必要なのは、相手を理解することです。相手が何を知りたいのか、どんな状況にいるのか、何に困っているのか。そこを理解しないまま、いくら流暢に話しても、的外れな答えになってしまいます。

例えば、相手が話している途中で、「次は何を言おうかな?」、「どう答えれば、賢く見えるかな?」なんてことばかり考えていたら、肝心の相手の話が頭に入ってきません。

だから私は、聞くときは聞くことに集中し、聞き終わってから考えることを大切にしています。聞く時はちゃんと聞く。相手に心と体を傾けて聴く。そうすれば相手に寄り添い、相手の期待に応えやすくなる。これは、私が国家資格キャリアコンサルタントの資格を30代で取得する過程のトレーニングで学んだことの一つです。

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このコラムでお伝えしていきたいこと

私の本業は、企業向けの人事コンサルティングです。採用活動や社員研修、組織のマネジメントに携わる中で、コミュニケーションについて考えたり、気づかされたりすることがたくさんあります。

そうした経験を、個人の方々にも役立てていただければと思い、コミュニケーション講座を開催しています。そして、このコラムでは、講座を通じてご相談いただくことが多かったお仕事上のお悩みを取り上げていこうと思っています。

例えば、

  • 会議で突然意見を求められても、落ち着いて答えるには?

  • 「結局、何が言いたいの?」と言われないためには?

  • 上司や部下と、もっとスムーズに意思疎通するには?

  • 相手の話をしっかり聞くには、何を意識すればいい?

  • 自分の考えを短く、分かりやすく伝えるには?

といったテーマです。

難しい理論を並べるのではなく、普段の仕事ですぐに使える考え方や、ちょっとしたコツを中心にご紹介していきたいと思っています。

このコラムが、皆さんにとって「明日、ちょっと試してみようかな」と思えるきっかけになれば、嬉しいです。そして実際に練習してみようと思った方にはPREP法を実際に口に出して鍛える実践型の「PREP100本ノック」や、お一人ずつの課題に寄り添う「マンツーマンレッスン」など、いくつかの講座もご用意しています。ぜひ私が開催しているストアカの講座も覗いてみてください。


藤原 誠(ふじわら まこと)

株式会社セイル 代表/人事コンサルタント

大手通信会社での人事や財務経験を経た後、複数の企業立ち上げに参画。20年以上にわたる人事コンサルタントとして多くの企業をご支援しつつ、経営者として自ら組織マネジメントに携わってきました。

本業で得た知識や経験を個人の方々にも役立てていただくため、ストアカではPREP法、TAPS法、雲雨傘、FABE法、DESC法など、コミュニケーションの型を体感的に学ぶアウトプット重視のレッスンを開催中です。

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