中学・高校受験に向けて面接練習をしていると、こんな声を耳にすることがあります。
「練習では答えられたのに、次に聞かれたときにはうまく話せなかった」
「アドバイスをもらったけれど、家で何を練習すればよいのかわからない」
面接練習では質問に答えることや話し方を整えることに意識が向きがちです。
もちろんそれらも大切な準備の一つです。
私が面接指導で大切にしていることの一つは、レッスンで学んだことをその後の練習にどう生かしていくかということです。
一度の練習ですべてができるようになる必要はありません。
大切なのは今日できるようになったことを振り返り、次の練習につなげていくことです。
今回は面接練習のあとに取り組んでいただきたい3つの振り返りをご紹介します。
1.できなかったことより、できるようになったことに目を向ける
面接練習が終わると、どうしても答えられなかった質問や言葉に詰まってしまった場面が気になるものです。
「もっと上手に話せたはずなのに」
「練習したことを忘れてしまった」
そんなふうに感じることもあるでしょう。
けれども少し振り返ってみてください。
最初は何を話せばよいかわからなかった質問に、自分の経験を交えて答えられるようになっていませんか。
以前は途中で話が止まってしまっていたのに、最後まで伝えられるようになっていませんか。
面接指導をしていると生徒さん自身が気づいていない成長に出会うことがあります。
初めは短い言葉でしか答えられなかった生徒さんが、何度か練習するうちに自分の経験や考えを少しずつ言葉にできるようになる。
その変化は必ずしも大きなものとは限りません。
けれども小さな変化を積み重ねることが自信につながっていくと感じています。
今日の振り返り
レッスンが終わったら次の3つを考えてみましょう。
今日初めて答えられるようになった質問は何ですか。
前回よりも上手に伝えられたことは何ですか。
今日の練習で自分のよさを一つ見つけるとしたら何ですか。
できなかったことを確認するだけでなく、できるようになったことも言葉にしてみてください。
2.同じ答えを、違う質問でも伝えられるか試してみる
面接練習では準備した質問に対して何度も回答を練習することがあります。
繰り返し練習することは大切です。
ただし気をつけたいことがあります。
それは回答の文章そのものを覚えることが、練習の目的になってしまうことです。
例えば
「あなたの長所を教えてください」
という質問に対して
「私の長所は最後まで諦めずに取り組むところです」
と答えられるようになったとします。
では次のように聞かれたらどうでしょうか。
「これまでに困難を乗り越えた経験を教えてください」
「目標に向かって努力したことはありますか」
「中学校ではあなたの強みをどのように生かしたいですか」
質問の内容は異なりますが、一つの経験をさまざまな角度から振り返ることで、それぞれの質問に合った回答を考えることができます。
ここで大切なのは準備した文章をそのまま当てはめることではありません。
自分の経験を理解し、質問に合わせて伝える部分を選ぶことです。
面接で何を話せばよいかわからない場合には、まずこれまでの経験を書き出してみることをおすすめしています。
最初は「特別な経験がない」「何を書けばよいかわからない」と感じるかもしれません。
けれども日々の学校生活や習い事、友人との関わりなどを振り返ってみると、自分では気づいていなかった強みや成長が見えてくることがあります。
大切なのは経験の大きさではありません。
その経験の中で何を考え、どのように行動し、何を学んだのか。
そこに目を向けることで自分らしい回答を組み立てるためのヒントが見つかります。
一方で話したいことがたくさんありすぎて、回答が長くなってしまう場合もあります。
そのようなときは質問が何を尋ねているのかを確認し、伝えたいことを一つに絞ってみましょう。
今日の振り返り
今日練習した質問を一つ選び、別の聞き方に変えてみてください。
例えば
「小学校生活で頑張ったことは何ですか」
という質問なら
「その経験から何を学びましたか」
「うまくいかなかったとき、どのように工夫しましたか」
「その経験を中学校生活にどう生かしたいですか」
と質問を広げてみます。
すべての回答を新しく作る必要はありません。
一つの経験をさまざまな角度から振り返ることで、自分の考えをより深く理解できるようになります。
3.次の練習で取り組むことを一つ決める
面接練習を終えたあと
「もっと大きな声で話そう」
「姿勢にも気をつけよう」
「敬語も間違えないようにしよう」
「回答をもっと詳しくしよう」
と、いくつもの課題を抱えてしまうことがあります。
もちろんどれも大切なことです。
けれども一度にすべてを意識しようとすると、かえって緊張してしまうこともあります。
私自身、面接指導ではまず生徒さんが自分の考えを言葉にできるようになることを大切にしています。
何を伝えたいのか。
なぜそう考えたのか。
その経験から何を学んだのか。
そうした内容を少しずつ整理しながら、必要に応じて話し方や表情、姿勢などにも意識を向けていきます。
話し方の癖にも目を向けてみましょう
面接練習では回答の内容だけでなく、自分の話し方の癖に気づくことも大切です。
例えば答えを考えているときに「えーと」「あのー」という言葉が何度も出てしまうことがあります。
また伝えたいことに一生懸命になるあまり、普段の友達との会話のような言葉遣いになってしまうこともあります。
これは必ずしも面接への意識が足りないからではありません。自分の考えを伝えることに集中しているからこそ、無意識に出てしまう場合もあります。
そんなときは一度にすべてを直そうとするのではなく、まず自分の話し方を振り返ってみましょう。
例えば次のような目標を立ててみます。
「えーと」「あのー」を繰り返さず、少し間を取ってから話し始める
話す内容に集中していても「です・ます」の語尾を意識する
質問を最後まで聞いてから落ち着いて答える
話す速さや声の大きさにも気を配る
自分では気づきにくい癖もあるため、練習の様子を録画して見返してみるのも一つの方法です。
ただし話し方を意識するあまり、自分の考えを伝えられなくなってしまっては本末転倒です。
まずは伝えたい内容を整理すること。そのうえで話し方にも少しずつ意識を向けていきましょう。
今日の振り返り
練習の段階によって取り組むべき課題は変わっていきます。
だからこそ次の練習までに意識することを一つ決めてみましょう。
例えば
「次は結論から話してみよう」
「自分の経験を一つ具体的に伝えよう」
「質問を最後まで聞いてから答えよう」
「話し終わるまで丁寧な言葉遣いを意識しよう」
そんな小さな目標で十分です。
次の練習で意識することを一つ決めておくと、自分が取り組むべき課題が明確になります。
一つできるようになったらまた次の目標へ。
その積み重ねが本番で落ち着いて話すための土台になっていきます。
保護者の方へ|練習のあとにかけてほしい言葉
ご家庭で面接練習をするとき、お子さんの回答を聞いているとつい気になる部分を直してあげたくなることもあると思います。
「もう少し詳しく話した方がいいんじゃない?」
「さっき練習したことを忘れていない?」
お子さんのことを思うからこその言葉ですよね。
ただ練習のたびに改善点ばかりが増えてしまうと、お子さん自身が自分の成長に気づきにくくなることもあります。
そんなときは
「前よりも自分の考えを詳しく話せるようになったね」
「今の答えはあなたらしさが伝わってきたよ」
「次はどんなところを頑張ってみたい?」
と、できるようになったことを一緒に見つけてみてはいかがでしょうか。
面接練習は正しい答えを覚えるためだけの時間ではありません。
これまでの経験を振り返り、自分のよさや考え方を知る機会でもあります。
お子さん自身が成長を感じられることも大切にしていただけたらと思います。
おわりに|面接練習は自分自身を知る時間
面接の練習を重ねていくと、最初はうまく言葉にできなかった思いが少しずつ形になっていくことがあります。
「自分はこんなことを大切にしていたんだ」
「この経験からこんなことを学んでいたんだ」
そんな気づきが生まれることもあります。
私は面接対策の大きな意味は、質問に答えられるようになることだけではないと考えています。
自分の経験と向き合い、考えを整理し、それを相手に伝える。
その過程で得られる力は受験が終わったあとにも生きていくものだと思います。
今日の練習で何ができるようになったでしょうか。
そして次はどんな自分を目指したいでしょうか。
面接練習が終わったら、できなかったことだけでなく、できるようになったことにも目を向けてみてください。
今日の小さな成長が次の挑戦への自信となり、本番で自分らしく思いを伝える力につながっていくことを願っています。