何気ない去り際に、普段の習慣が表れる
会議室を出るとき。
カフェの化粧室を出るとき。
自宅の部屋を出入りするとき。
扉を閉める際、こんなことはありませんか?
歩きながら後ろ手でドアノブを引く。
手を離すのが早く、扉が「バタン」と音を立てて閉まる。
急いでいると、つい無意識にしてしまう動作です。
もちろん、いつも完璧にできなければいけないわけではありません。
ただ、扉をどのように閉めるかによって、周囲に与える印象が変わることがあります。
静かに扉を閉める人からは、落ち着いた印象を受けます。
一方、勢いよく閉めると、本人にそのつもりがなくても、慌ただしい印象を与えてしまうことがあります。
ほんの数秒の動作ですが、こうしたところにも、日頃の心配りが表れるのです。
茶道で学んだ、建具を丁寧に扱うということ
私が幼い頃から親しんできた茶道では、障子や襖の開け閉めも大切な所作のひとつです。
お茶室では、建具を乱暴に扱わず、静かに開け閉めします。
必要な動作をひとつずつ丁寧に行い、周囲への配慮を忘れない。
こうした作法には、相手を思いやる心が表れています。
私自身、茶道を学び続けるなかで、道具や建具を丁寧に扱うことが、単に美しく見せるためのものではないと感じるようになりました。
その場にいる人が心地よく過ごせるようにすること。
そして、自分の動作によって、その場の静けさを乱さないこと。
こうした心配りは、茶室だけでなく、職場や日常生活にも生かせるものです。
今日から意識したい、扉を閉めるときの3つのポイント
特別な作法を身につける必要はありません。
普段のドアの閉め方を、少し意識するところから始めてみましょう。
1.身体を扉のほうへ向ける
扉を閉めるとき、身体は進行方向を向いたまま、手だけを後ろに伸ばしていませんか?
そんなときは、身体を扉のほうへ向けてから閉めてみましょう。
ドアノブに手を添え、扉の動きを確認しながら閉める。
身体の向きを少し変えるだけで、動作をコントロールしやすくなります。
2.扉が閉まるまで、手を添えておく
ドアノブから手を離すのが早いと、扉が勢いよく閉まってしまうことがあります。
最後まで手を添え、扉が静かに閉まるように動きを調整してみてください。
大切なのは、必要以上にゆっくり動くことではありません。
最後まで自分の動作に意識を向けることです。
なお、自動ドアやドアクローザー付きの扉などは、仕組みに応じた扱いを優先しましょう。
3.その場にいる人への配慮を忘れない
部屋を出るとき、後ろに人がいないか、扉が誰かに当たる心配はないか。
ほんの少し周囲を確認するだけでも、事故や思わぬトラブルを防ぐことにつながります。
会議室や応接室を出るときには、挨拶をしてから退出する。
扉の扱いだけでなく、その場にいる人への配慮までできると、より自然で感じのよい振る舞いになります。
美しい所作は、特別な場面だけのものではない
品格というと、格式の高い場所での立ち居振る舞いや、難しい作法を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。
けれど、私は、日常の何気ない動作を大切にすることも、品格を育てるうえで欠かせないと考えています。
誰も見ていないと思う場面でも、扉を丁寧に閉める。
急いでいるときにも、周囲への配慮を忘れない。
そんな小さな積み重ねが、自分自身の振る舞いを整えていきます。
すべてを完璧にする必要はありません。
まずは今日、部屋を出るときに、扉が静かに閉まるまで手を添えてみてください。
いつもの動作を少し意識することから、自分らしい品格を育てていきましょう。
次回は、お辞儀のあとに残る、穏やかなまなざしについてお話しします。
言葉を交わしたあと、相手に好印象を残すための小さな心配りをご紹介します。
どうぞお楽しみに。
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