忙しいとき、つい動作が雑になってしまうことはありませんか?
飲み終えたカップを、音を立てて机に置く。
書類を渡したら、相手が受け取るのを待たずに手を引く。
急いでいるときには、誰にでもあることだと思います。
もちろん、少しくらい音がしたからといって、マナー違反というわけではありません。
ただ、こうした何気ない動作には、その人の普段の習慣が表れるものです。
私が茶道や接遇の現場で大切にしてきたことのひとつに、
物を扱うとき、最後まで丁寧に動くということがあります。
美しい所作は、手を離すところまで
茶道では、お茶碗を扱うときも、ただ置けばよいというわけではありません。
器を大切に扱い、相手への心配りを忘れず、ひとつひとつの動作を丁寧に行います。
これは、お茶席に限った話ではありません。
お茶碗を置いたら、それで終わり。
書類を渡したら、それで終わり。
そうではなく、置くところまで、手渡すところまで、そして手を離すところまで。
動作の最後まで意識を向けることが大切です。
仕事で資料を渡すときも、カフェでカップを置くときも、家庭で食器を扱うときも同じです。
ほんの少し手元を意識するだけで、動作の印象は変わります。
私自身、長年茶道に親しみ、接遇やビジネスマナーをお伝えしてきたなかで、こうした何気ない所作こそ、日頃から大切にしたいと感じています。
今日から試してほしい、2つのこと
難しい作法を覚える必要はありません。
まずは、次の2つを意識してみてください。
1.物を置くときは、音まで気を配る
マグカップやグラス、ペンなどを机に置くとき。
急いでいると、つい手を離す動作まで勢いがついてしまいます。
そんなときは、置く場所を確かめ、静かに置くことを意識してみましょう。
大切なのは、ゆっくり動くことではありません。
必要以上に音を立てず、物を丁寧に扱うことです。
忙しいときほど、手元に少し意識を向けてみてください。
2.物を渡すときは、相手の手元まで気を配る
書類や名刺を渡すとき、相手が受け取りやすい向きや位置になっているでしょうか。
自分が渡すことだけに意識が向くと、相手が受け取りやすいかどうかを見落としてしまうことがあります。
相手の手元を確認し、無理なく受け取れるように渡す。
そして、受け取ったことを確かめてから、自然に手を戻す。
それだけで、やり取りがよりスムーズになります。
相手をじっと見続けたり、わざとゆっくり動いたりする必要はありません。
自分の動作だけでなく、相手がどう受け取るかまで考える。
そこに、心配りが表れます。
指先を意識すると、いつもの自分が見えてくる
所作を整えるというと、「美しく見せなければ」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
けれど、私は、いつも完璧に振る舞う必要はないと思っています。
忙しいときには、動作が慌ただしくなることもあります。
そんなときに、自分の手元に気づけること。
そして、少し丁寧に扱ってみようと思えること。
それも、品格を育てる大切な一歩です。
茶道で学ぶ所作には、相手や物を大切にする心が込められています。
その心は、日常の何気ない場面でも生かしていけます。
今日、カップを置くとき。
誰かに書類を渡すとき。
ほんの少し、指先に意識を向けてみてください。
いつもの動作の中に、自分らしい丁寧さを見つけていただけたらうれしいです。
次回は、扉を閉めるときの所作についてお話しします。
何気なく閉めている扉にも、周囲への心配りを表すヒントがあります。どうぞお楽しみに✨
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