こんにちは、株式投資講師の神谷拓です。
「インデックス投資はしているけれど、個別株ではなかなか結果が出ない」「テクニカル分析の本を読んでも、結局どうすればいいのか分からない」と感じていませんか。
私自身、株式投資を始めた頃はテクニカル分析にのめり込み、大きな損失を何度も経験しました。だからこそ、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の役割を分けることが、個別株では大切だと考えています。
私の使い分けは、ファンダメンタルズ分析8割、テクニカル分析2割です。企業の利益成長を先に調べ、最後にチャートで株価の位置やタイミングを確認します。
2つの分析の違い
ファンダメンタルズ分析は、企業の業績、財務状況、事業内容、将来性などを調べ、企業が今後どのくらい利益を伸ばせるかを判断する方法です。決算書や決算説明資料、有価証券報告書などを使います。
テクニカル分析は、チャートの形や過去の株価、移動平均線、出来高などから、現在の株価の位置や投資家心理を確認する方法です。企業価値そのものを調べる分析ではありません。
この2つを混同すると、何を根拠に企業を選び、何を根拠に売買時期を考えているのか分からなくなります。それぞれの役割を、車に例えて説明しましょう。
ファンダメンタルズ分析は、車の「目的地」を決めることです。「この会社は利益を伸ばせるから、中長期で成長しそうだ」と判断することが、投資先を選ぶ土台になります。どれだけ道に詳しくても、目的地が決まっていなければ、どこへ向かえばよいか分かりません。
一方、テクニカル分析は、目的地へ向かう「ルートの混み具合」を確認することです。「今は渋滞しているから少し待とう」「株価の流れが変わってきた」と考える材料になります。目的地を決めるものではなく、向かう途中の状況を見るものです。
私がテクニカル分析だけでは判断できなかった理由
投資を始めたばかりの頃、私は「チャートだけを見ていれば勝てる」と信じ、テクニカル分析一辺倒でした。
当時、よく耳にしたのがダウ理論やエリオット波動です。チャートを見て、「これが第1波、これが第2波、次は第3波が来るぞ」と目を皿のようにして研究していました。
しかし、実際にやってみると、これがさっぱり分からない。ある人は「ここが第1波だ」と言い、別の人は「いや、第2波はここからだ」と言います。見る人によって数え方が違い、私は安定した判断につなげられませんでした。
ダウ理論やエリオット波動を使いこなす人もいます。ただ、少なくとも私の場合は、解釈の違いが大きい分析だけで再現性のある判断を作ることはできませんでした。
ほかにもMACD、ストキャスティクス、一目均衡表、ボリンジャーバンドなど、有名な指標を一通り試しました。これらの指標にはそれぞれ役割がありますが、多くの投資家が同じ指標を見ているため、指標が示した形だけで株価の方向を当て続けることは簡単ではありません。
テクニカル分析には、「多くの投資家が同じ形を見て、同じように行動する」という心理的な要素があります。だから役に立つ場面はありますが、それだけで企業を選ぶことはできません。
テクニカル分析は、補助として使う
テクニカル分析が不要ということではありません。私は、企業を選んだ後の参考情報として使っています。
ただし、テクニカル分析へ比重を置きすぎないようにしています。短期的な株価の変動を正確に当て続けることは難しく、チャートの形だけで判断すると、企業の利益成長という土台が抜けてしまうからです。
「ファンダメンタルズ分析8割、テクニカル分析2割」という基準は、全員に当てはまる公式ではなく、私が分析の優先順位を崩さないために使っている比率です。
ファンダメンタルズ分析で確認すること
中長期の株価を支える重要な要素は、企業の利益成長です。私は決算書を読み、「この企業の利益は今後どのくらい成長しそうか」「なぜ利益が伸びているのか」を調べます。
見るのは会社全体の売上だけではありません。どの事業が最も利益に貢献しているのか、その事業の利益がどのくらい伸びているのか、成長した理由が今後も続きそうかを確認します。
例えば、ある会社が画期的な新製品を発表し、その製品によって利益が今後3年間、毎年20%伸びると見込まれるとします。大切なのは「新製品が出た」というニュースだけではなく、その製品がどの事業の利益へ、いつ、どのくらい貢献するのかを確認することです。
企業の利益が伸びる理由を理解していれば、市場全体の下落で株価が動いたときも、企業の成長に変化が起きたのか、それとも市場心理による変動なのかを分けて考えられます。
テクニカル分析で確認すること
私は複雑な分析手法を増やさず、移動平均線、トレンドライン、ローソク足、出来高の4つを中心に見ます。
「え、それだけでいいんですか」と思うかもしれませんが、私にはこれで十分です。テクニカル分析は企業を選ぶものではなく、現在の株価の位置や短期的な勢いを確認する補助だからです。
移動平均線は、多くの投資家が見ている一般的な期間を使います。私は以前、独自に14日移動平均線を作っていました。しかし、ほかの投資家がほとんど見ていない線では、市場心理を確認する目安として使いにくいと分かりました。
移動平均線なら、みんなが見ている25日、50日か75日、200日です。
トレンドラインはブレイクアウトを中心に見ます。ローソク足は、誰でも知っているような形、大陽線、大陰線などの基本の形を見ています。
誰でも知っているテクニカル指標を使うことが、とても重要です。なぜなら、テクニカル分析は「みんながそうなると思っているからそうなる」という大衆心理を利用した分析だからです。
さらに出来高は、株価の動きにどのくらいの売買が伴っているかを見る数字です。株価が動いていても出来高が少ない場合と、多くの投資家が参加している場合では、値動きの意味が違います。
ファンダメンタルズ分析で候補企業を選んだ後、日足チャートを使って株価の位置を確認します。売買タイミングを考えるための視点として使い、企業分析の代わりにはしません。
企業分析を土台にする理由
企業分析を土台にすると、自分がその企業を選んだ理由を言葉で説明できるからです。テクニカル分析は投資家心理の影響を受けますが、ファンダメンタルズ分析は企業の事業と利益という事実から考えます。
市場全体が下落したとき、チャートだけを見ていると「トレンドが変わった」と判断することがあります。しかし、企業の利益成長を確認していれば、会社の成長に変化が起きたのか、市場全体の下落に巻き込まれただけなのかを分けて考えられます。
ファンダメンタルズ分析は、短期的な値動きや感情に流されず、中長期の視点を保つための「羅針盤」です。
使う順番は、市況→セクター→企業→テクニカル
私が確認する順番は、市況→セクター→企業→テクニカルです。市場環境と資金が向かう業種を確認し、利益が伸びる企業を選び、最後にチャートで株価の位置を見ます。
先に企業の目的地を決め、後からルートの状況を確認する。この役割を混同しないことが大切です。
独学するなら、まず「利益のつながり」から
これから独学する方は、まず企業の利益が何によって生まれ、なぜ増減するのかを理解するところから始めると、決算書の数字を読みやすくなります。
事業と利益のつながりを知る。会社が何を売り、どの事業で利益を得ているかを確認します。売上が増えても利益が伸びないことがあるため、その違いにも目を向けます。
一社の決算資料で練習する。数字を全部覚えようとせず、業績予想、四半期の変化、利益の成長理由を順に追います。
市場環境と株価の位置を加える。企業だけで判断せず、市況とセクターを確認し、最後にチャートを補助的に見ます。
最初から多くの指標を覚える必要はありません。一社について「何で利益を得ているか」「なぜ伸びたか」「その理由は続きそうか」を自分の言葉で説明する練習を重ねると、学んだ知識を分析につなげやすくなります。
投資の「基礎の基礎」
株価は中長期では企業の利益から影響を受け、短期では投資家心理にも動かされます。テクニカル分析は短期的なタイミングを考える材料になりますが、ファンダメンタルズ分析という地図がなければ、どこへ向かうのか分かりません。
バスケットボールの練習と同じです。複雑なテクニックの前に、まずパス、ドリブル、シュート、リバウンドという基礎を練習します。投資でも、まず企業の利益を調べる土台を作り、そのうえでシンプルなテクニカル分析を組み合わせることが大切です。
これが、私が20年の投資経験を通じて辿り着いた使い分けです。分析方法を増やす前に、「この企業の利益はなぜ伸びるのか」を自分の言葉で説明できるか、確認してみてください。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買や投資手法を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の見解であり、将来の運用成果を保証するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。