「慎重に考えてから動く方ですね」と伝えたら、「いえ、思いついたらすぐ動きます」と返ってきた。そんな場面を想像すると、次の言葉に困ってしまう方もいるのではないでしょうか。
こんなときに練習しておきたいのは、①相手の返答を受け止める、②必要なことを一つ確認する、③最初の相談に戻るという流れです。自分の読み方を説明し直す前に、相手が話したことを確かめてみましょう。
こんにちは。手相講師のこあです。私のZoomの鑑定練習会では、手の写真を見て自分の見立てを発表し、講師や参加者と読み方・伝え方を確かめています。個別練習でも、専門用語の言い換えや、決めつけない伝え方を一緒に考えています。
これまでの記事では、写真を使った鑑定練習や、練習後の振り返りを紹介しました。今回は、相手から自分の見立てと違う答えが返ってきたときの、会話の続け方を取り上げます。基本線を学び、人に伝える練習を始めた方に試してほしい内容です。
「違います」のあと、別の解釈を急いで足さない
「慎重ではない」と言われて、すぐに「では、大胆な一面もあるのですね」と言い換える。これを繰り返すと、相手の答えに合わせて説明を変え続ける会話になってしまいます。
いったん、手に見える特徴と、そこから自分が考えた解釈を分けてみてください。「線がこの方向に伸びて見える」は観察したこと。「慎重な人だ」は、その特徴から組み立てた見立てです。見立てが合わなかったときは、その部分を見直します。
線の見分け方そのものに迷いがあれば、手や写真に戻って確認します。違う答えが出たことを、すぐに相手の「隠れた性格」の説明へつなげる必要はありません。
会話を続けるための3ステップ
① まず、返答をそのまま受け止める
「そうでしたか。今の言い方は、ご自身の感覚とは違いましたね」
まずは、この一言で立ち止まります。「でも手相には出ています」「ご自身で気づいていないだけです」と押し返すと、相手は自分の話を続けにくくなります。
こちらが「あなたはこういう人です」と言い切ってしまったなら、「決めつけた言い方になってしまいましたね」と訂正してもよいと思います。相手の返答を受け止めることと、線の読み方を復習することは、それぞれ必要な場面で行えます。
② 必要なことを、一つだけ確認する
「普段、ご自身ではどのように決めることが多いですか」
確認するときは、相手が自分の言葉で答えられる質問を一つ選びます。「本当は慎重ですよね?」のように、自分の解釈へ戻すための聞き方は避けたいところです。
すでに相手が具体的に話してくれたなら、質問を足さず、その内容を短く確認するだけでもかまいません。話したくない様子なら、無理に理由を聞かず、次の話題へ進むか確認します。
③ 最初の相談に戻り、話す範囲を決める
「今日は、新しい学びをどう始めるかが気になる、というお話でしたね。今迷っている点から、もう少し伺ってもよいですか」
相手の性格を言い当てることに集中すると、もとの相談から離れやすくなります。何について話したかったのかを、ここで確かめ直しましょう。
手相として伝えられる範囲と、相手が話してくれた希望や状況を分けながら、相談を続けます。相手の返答に合わせて線の意味まで変える必要はありません。読み方の疑問は、鑑定後に教材へ戻って確認します。
返答の違いで比べる、3つの会話例
以下は、返し方を練習するために作った架空の会話です。実際の相談記録や受講生の発言ではありません。どの例も、決まったせりふを暗記するより、相手の言葉に合わせて短く返すことを意識してください。
例1:「私は逆です」と言われたとき
相談者:「慎重というより、思いついたらすぐ動くほうです」
鑑定者:「そうでしたか。慎重とまとめたのは合いませんでしたね。今回の学びを始めるうえで、今いちばん気になることは何ですか」
ここでは、合わなかった説明をいったん取り下げ、もとの相談に関係することを聞いています。本人が「すぐ動く」と話したことを、手相で読み取れた事実として扱わないようにしましょう。
例2:「仕事ではそうですが、普段は違います」と言われたとき
相談者:「仕事ではよく考えますが、趣味のことは直感で決めます」
鑑定者:「仕事と趣味では、決め方が違うのですね。今回の学びは、どんなふうに決めたいと感じていますか」
「やはり当たっていますね」と結論づけず、本人が話した場面の違いを確認します。同じ言葉でも、どの場面の話かによって受け取り方が変わることがあります。
例3:「よく分かりません」と言われたとき
相談者:「そういう面があるか、よく分かりません」
鑑定者:「今は思い当たることがないのですね。この点はいったん置いて、今日いちばん聞いておきたいことを伺ってもよいですか」
答えが出ないまま終える項目があってもかまいません。沈黙やうなずきだけを「当たった」という返答に置き換えず、確認できなかったこととして残します。
一人でもできる、3分の声出し練習
ノートを読むだけでなく、返答を受けたつもりで声に出してみましょう。3分は取り組みやすくするための練習時間の目安です。
最初の1分:会話例を一つ選び、相談者のせりふを読んでから、受け止める一言を自分の言葉で返します。
次の1分:確認したいことを一つ選び、最初の相談へ戻るところまで続けます。
最後の1分:「言い返さなかったか」「質問を重ねすぎなかったか」「相談に戻れたか」の3点を確かめます。
練習相手がいる場合は、相談者役と鑑定者役を交代します。終わったら「自分の話を続けやすかった言葉はどれでしたか」と、聞き手の感想をもらってみてください。
これは会話の練習です。手相の解釈の正しさを証明するものではありません。また、本人がいない写真練習では、返答は架空の設定として扱い、ご本人について分かったことと混ぜないようにします。
次の練習で、一言だけ試してみる
私の練習会では、自分の読み方を発表することに加え、ほかの人の説明を聞き、疑問や感想を交わす時間を大切にしています。うまく話すための言葉を増やすだけでなく、いったん止まって確かめることも、伝え方の練習になります。
まずは「そうでしたか。ご自身の感覚とは違いましたね」の一言から試してみてください。そのあとに何を聞くかは、相手の返答と、その日の相談によって変えていきます。
手相は占いとしての解釈です。相手の性格や将来を決めつけず、自分の見立てと、ご本人が話したことを区別する。その姿勢を、次の一回の練習でも確かめてみましょう。