「もっと上手に話せるようになりたい」
「自分の声や話し方に自信がない」
「人と話すとき、つい考えすぎてしまう」
そんな思いで、話し方のレッスンにいらっしゃる方は少なくありません。
実は、レッスンの中で、生徒さんからよく聞く言葉があります。
それが、
「えっ、これでいいんですか?」
という言葉です。
いったい、どんなときに出てくるのでしょうか?
生き生きと話していたのに、なぜ?
私のレッスンでは、知識を学ぶだけでなく、実際に体験することを大切にしています。
頭で理解することと、実際にできることは、また別のもの。
だからこそ、呼吸や発声はもちろん、即興的なゲームで言葉を交わしたり、思いついたことをスピーチしたり、さまざまな体験を取り入れています。
最初は緊張していたり、言葉を選びながら慎重に話していたりする方も、ワークを重ねるうちに、少しずつ表情や声が変わってくることが多くあります。
そして、スピーチをしていただく中で、表情が豊かになり、身振り手振りも交えながら、とても生き生きと話し始める方がいらっしゃいます。
その方の思いや楽しさがこちらにも伝わってきて、感じたことをお伝えすると、
「えっ、これでいいんですか?」
と驚かれることがあるのです。
こうした反応は、実は一度や二度ではありません。
「ちゃんと話さなきゃ」が
増えていませんか?
お話を伺っていると、
「きちんと話さなければ」
「こんなことを言ってはいけない」
「相手にどう思われるだろう」
そんな思いを抱えている方もいらっしゃいます。
もちろん、話し方の技術や知識は役に立ちます。
ただ、何かを意識することに一生懸命になりすぎると、自分が何を伝えたいのか、今どんな気持ちなのか、わからなくなってしまうこともあります。
私がレッスンで大切にしているのは、何か一つの正しい話し方に当てはめることではありません。
実際に声を出したり、身体を動かしたり、人とやり取りしたりする中で、自分自身が何を感じ、どんな変化が起きているのかに気づいていくことです。
そして、話したことを誰かに受け取ってもらう体験も、とても大切だと感じています。
自分では「こんな話でいいのかな」と思っていても、相手にはその人らしさや思いがちゃんと伝わっていることがあるのです。
ちょっと試してみませんか?
30秒の小さな実験
ここで、一人でもできる簡単なワークをご紹介します。
上手に話そうとせず、気軽に試してみてくださいね。
① まずは30秒、声に出して話してみましょう
今日あったこと、好きなこと、今思っていること。内容は何でも構いません。
誰かに聞いてもらうつもりで、思いつくまま話してみてください。
② 呼吸をしてみましょう
いったん話すのをやめて、ゆっくり息を吐き、無理のない自然な呼吸を数回繰り返してみます。
肩や胸、お腹など、身体の感じにも少し意識を向けてみましょう。
③ もう一度、30秒話してみましょう
先ほどと同じ話でも、違う話でも大丈夫です。
④ 何か違いはありましたか?
声の出しやすさ、話す速さ、身体の緊張、言葉の出てき方、気持ちの変化など。
何か気づいたことはあったでしょうか?
もちろん、特に違いを感じなくても大丈夫。
大切なのは「こう変わるのが正解」と決めることではなく、今の自分がどんな状態なのか、少し目を向けてみることです。
あなたの中にも、まだ知らない
表現があるかもしれません
話し方をよくしたいと思うと、つい「何を直せばいいのか」「どんな方法が正しいのか」を探したくなるものです。
でも、レッスンを通して私が何度も出会ってきたのは、何かを新しく身につける前から、その人の中に豊かな表現があるという瞬間です。
それが、安心して話せる場や、さまざまな体験の中で、ふっと表に出てくることがあります。
「えっ、これでいいんですか?」
そんな言葉を聞くたびに、私は、その人自身がまだ気づいていなかった表現に出会えたのかもしれないな、と感じます。
上手に話すことも大切。
でも、ときには「こう話さなきゃ」を少し横に置いて、自分の声や言葉を感じてみる。
そこから、思いがけない発見が生まれるかもしれません。