オンライン化した働き方でリスキリングに取組む際に気をつけたいこと
オンライン化で変わる働き方:スキルや学習もオンライン化と結びつけてアップデートする必要性
働き方がオンライン主流になった今の時代では、コミュニケーションやマネジメントと言ったソフトスキルにおいても、「そのスキルを、オンライン環境でいかに実践できるか」ということが問われます。
社員が習得したスキルがオンライン化以前の前提だったとしたら、オンライン化以降の前提で再定義されたスキルへのアップデート(=学び直し)が必要となります。
例えばグループ・リーダーシップでは、オンライン化以降はチームをリモート環境でいかに動かせるかが問われ始めています。
またZoomミーティングが増えたことにより、資料共有やプレゼンテーションのみならず議事録作成やファシリテーションまでもがグラフィック化しています。
デザインやビジュアルコミュニケーションへのリタラシーが重視される中で、情報やコンセプトをビジュアルに落とし込む力が問われて来ます。
コミュニケーション形式への配慮:オンライン vs. リアル/対面を、必要に応じて使い分ける必要がある
一方で、オンラインの関係では、“感情の伝達や関係性の構築が難しい” や “雰囲気が伝わりにくい” などの限界がよく言われます。
いつも同じ部屋にいて顔が見えているわけではない、必要なときだけコミュニケーションを取るという「非同期」のタッチポイントにおいては、雰囲気やムードなどを感じ取ることは難しいです。
これらは、特に学習や成長の推進と言った文脈において、重要なポイントになります。
日々の現場の仕事と学習、どちらを優先すべきか、時間の使い方や優先順位など。
意思決定に迷いが生じる場面も増えて来ます。
また学習において、”A-haモーメント”と言われる、刺激や気づきなどがモチベーションの維持には重要とされています。
オンラインではそれらを伝え切る、感じるとることは容易ではありません。
それらを共有するために、リアルや対面で確認し合う場やポイントを、定期的にあるいは局部的に設計しておくことを念頭に置いておく必要があります。
また全体最適な視点での効率や合理性を重視して、全てをオンラインだけで解決しようとしてしまうと、組織と個人との間での認識やモチベーションアライメントにおける「ズレ」が生じてしまう可能性が出てきます。
こういったズレが放置され、亀裂にまで発展したものを、後から修正することは、組織にとって負担や負債となります。
後から修復する努力は、想定以上のコスト増にもつながりかねません。
リスキリングの教育やコミュニケーションにおいても、どこまでをオンラインでやり、どこについては対面で行うかなどについて、あらかじめ組織内で、また各々個人の社員と、定義および合意しておくことが重要です。
リモートの関係において、いかに個人のWill(意欲)を育むかという視点を維持すること
企業人事目線ではなく社員の主体的モチベーションと目線を合わせて行くことが大事と言われている中で、
リモートの関係性の社員が増えると、集団行動や組織の合理性を優先して動くことが少なくなってしまいがちです。
しかしリモートになったからと言って、全ての社員が自分の利益だけを優先して動くかというとそんなこともないでしょう。
特にリスキリングにおいては、「あなたは何を学びたいのか」と「組織は何を学んで貰うと助かる」のバランスを取ることが重要です。
組織が必要なスキルポートフォリオは広いので、その中で選んで貰えれば組織に対しては広義な意味で貢献になります。
そうすると、個人が選ぶところが、win-winの関係においてはとても重要です。
企業は、個人が学びたいスキルを理解しているでしょうか。
例えば、ストアカが実施した調査 主婦がリスキリングしたいスキルTOP10 では、リスキリングに意識が高い主婦層が一番獲得したいと思っているスキルは、テクニカルスキルではなくコミュニケーションスキルだったという結果が出ています。
企業人事が一番気を使うべきことは、「あなたは何を学びたいですか」という質問を個人の社員に直球で投げかけることです。
個々人のウォンツの幅は思ったよりも幅広いことが多いです。聞いてみないと分からないことが多いはずです。
オンライン化した働き方におけるリスキリング推進で重視される要素とは?
自学習を推進できるプログラムになっているかどうか
対象となるスキルが社員のそれまでの経歴からかけ離れていることが多く、リスキリングをやりきるには社員一人一人の意思を尊重する形が重要です。
一律のメニュー提供は効果的ではなく、選べるコンテンツを用意して、個々人が選んだスキルを好きなタイミングで自学習して貰うのが望ましい形です。
自学習を推進する仕組みとして「企業内大学」や「公開講座シリーズ」といった任意受講形式のプログラムを、人事主導で運営する企業も増えて来ています。
リスキリングは働くと並行して学びが行われます。限られた時間の中で効率良く、エンゲージメント高く学んで貰うために、コンテンツの提供形式をフレキシブルに用意しておくことが望ましいです。
自由度高い自学習コンテンツとして動画やeラーニングの品揃えは拡充しておくべきですし、またそれらだけではエンゲージメントに限界があるため、プラスして対人や参加型のコンテンツを用意することを推奨しています。
またキャリア形成を育むために、インプットだけではなく対話や振り返りの場の提供も、推奨しています。
個人の主体性とやる気の創出を前提としている学習が推進されているかどうか
手上げ制参加になっていることも重要です。インタラクションが設計されていることも重要です。無機質なテキストや動画の視聴のみが推奨されていても、社員はあきてしまいます。
学んだことを実践できる場が与えられていること、他者からのフィードバックや反応が得られる場があることなども、自主性と意欲を育むには重要です。
実務に使えるスキルの習得を推進しているかどうか
オンライン化した仕事環境で使える実践型スキルであることが重要です。
スキルが最新の市場環境、リタラシーやトレンドレベルそして市場環境に適応した形でアップデートされているかどうか。
「今更こんなものを学んでも、使えない・・・」と社員に思われるようなスキルや学習領域のままになってないかを今一度確認したいものです。