岡本 みどり

こんなことを教えています

一花 - hitohana -

カメラ歴20年。これまで人物や様々なもの、風景を撮影してきました。

そしてある日、一人の女性から撮影依頼が入りました。お子さんと自分を撮って欲しいと。愛情をたくさん注いでいるつもり。でも、子供たちに伝わっている自信がない。写真でそれを切り取ってもらえたら…という切なる想いに私も心を打たれました。

でも、打合せでじっくりお話を伺う中で気が付いたのです。お子さんと撮る以前に、先ず彼女が一人の人間として撮られるべきだと。

その撮影は、これまで私が経験したどの撮影よりも美しく、撮る側、撮られる側共に涙と鼻水だらけの忘れられないものとなりました。

その日、私は写真の本当の力を知ったのです。それは目の前の人を一切ジャッジせず、カメラを用いてただありのまま、その光を捉えること。

これからは Light Observer -光の立会人- として生きていきたいと決めた日でもありました。

すると、物事が面白いほどに展開していったのです。先ず、2019年9月に大磯で個展をすることが決まりました。そしてこれまで撮り溜めた作品をただ展示するのでは面白くない。そうだ、大磯という土地とのご縁を頂いたお礼に、何か自分のできることを先にさせてもらおう！そう思うに至りました。そして自然の流れで、そのギャラリーでの写真教室開催が決まったのです。

人生何があるか分かりません。

イラスト講師に至っても同様の流れでした。そもそも絵が描けなかったので、都内の小さな専門学校に通っていたのです。しかし2年経ったある日、あることで生徒から突然講師になりました。

自分よりもはるかに画力のある受講生たちを前に、カッコつけたところでどうにもなりません。開き直って、ありのままの自分で始めました。

受講生だった頃よりも勉強して、どうしたらもっと解りやすく伝えられるか？そればかり考え、一人一人と親身に向き合っています。

すると、「できない」が「できる！」に変わる瞬間が誰にも訪れるのです。その場面に立ち会うことが、今、私の喜びになっています。思い込みが外れ意識が変わると、これまで見えなかった世界が見えてきます。皆が上達し、どんどん元気になっていくので、講師ってなんて幸せなお仕事なのだろうと感じています。

写真教室でもその想いは変わりません。撮ることや撮られることが苦手な方たちが変わる瞬間に立ち会いたいですし、ポジティブなツールである写真を用いて、それぞれが自分にしかない一花を咲かせてもらえたらと願っています。